抗告訴訟とは(全体像)
抗告訴訟とは、行政庁の公権力の行使(処分など、行政庁が一方的に行う行為)に対して、不服を申し立てる訴訟のこと。行政事件訴訟のなかでも、中心となる類型だ。
押さえるのは、抗告訴訟が5つの類型からなること。
- ①取消訴訟 … 処分の取消しを求める。
- ②無効等確認訴訟 … 処分が無効であることなどの確認を求める。
- ③不作為の違法確認訴訟 … 申請に応答しない(不作為)ことが違法だと確認を求める。
- ④義務付け訴訟 … 一定の処分をするよう義務づけを求める。
- ⑤差止訴訟 … 一定の処分をしないよう差止めを求める。
このうち、④義務付け訴訟と⑤差止訴訟は、改正で新しく加わったもの。これで救済の幅が広がった。
詳しく:5類型と、ほかの訴訟との区別
ここが心臓部。5類型と、当事者訴訟などとの区別を押さえる。
抗告訴訟の5類型
| 類型 | 求めるもの |
|---|---|
| 取消訴訟 | 処分の取消し |
| 無効等確認訴訟 | 処分が無効であることなどの確認 |
| 不作為の違法確認訴訟 | 不作為が違法であることの確認 |
| 義務付け訴訟 | 一定の処分をするよう義務づけ |
| 差止訴訟 | 一定の処分をしないよう差止め |
5類型のうち、はじめの3つ(取消・無効等確認・不作為の違法確認)が古くからのもの。義務付け訴訟と差止訴訟は、改正で新設された。「抗告訴訟は3類型」ではなく、いまは5類型だ、と更新する。
そして、抗告訴訟は行政事件訴訟の一類型にすぎない。
行政事件訴訟の類型
| 類型 | 中身 |
|---|---|
| 抗告訴訟 | 公権力の行使への不服(5類型) |
| 当事者訴訟・民衆訴訟・機関訴訟 | 抗告訴訟とは別の類型 |
行政事件訴訟には、抗告訴訟のほかに、当事者訴訟・民衆訴訟・機関訴訟がある。これらは抗告訴訟とは別の類型。とくに、当事者訴訟は抗告訴訟に含まれない点に注意する。
わかりやすく言い換えると
つまり抗告訴訟は「公権力の行使にもの申す訴訟のまとまり」で、中身は5つの型。義務付け・差止めはあとから加わった新しい型だ。
要するに押さえどころは2つ。①抗告訴訟は5類型(取消・無効等確認・不作為違法確認・義務付け・差止)、②当事者訴訟などは抗告訴訟とは別の類型。
試験のツボ
🔴 一番出る:5類型
①取消・無効等確認・不作為の違法確認・義務付け・差止の5類型
②義務付け訴訟と差止訴訟は、改正で新設された
🔴 次に出る:ほかの訴訟との区別
抗告訴訟は行政事件訴訟の一類型。当事者訴訟などは抗告訴訟とは別。
🟡 押さえると安定:「3類型」ではない
改正で5類型に拡充された。古い「3類型」の知識は更新する。
よくある間違い
①「抗告訴訟は、3類型しかない」→ ✗ 改正で義務付け訴訟・差止訴訟が加わり、いまは5類型。
②「当事者訴訟も、抗告訴訟に含まれる」→ ✗ 当事者訴訟は抗告訴訟とは別の類型。
③「抗告訴訟は、私人どうしの民事の争いの訴訟」→ ✗ 抗告訴訟は、行政庁の公権力の行使に対する不服の訴訟。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(抗告訴訟の意味)
抗告訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 抗告訴訟とは、公権力の行使に関する不服の訴訟で、行政事件訴訟の中核
- 抗告訴訟とは、私人どうしの契約上の紛争を解決する民事訴訟をいうとされる
- 抗告訴訟とは、行政機関に不服を申し立てる審査請求をいうものとされる
- 抗告訴訟とは、命令等の案について意見を募る手続をいうものとされている
解答は 1 だ。
抗告訴訟とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟で、行政事件訴訟の中核になる類型だ。
選択肢2は民事訴訟、選択肢3は審査請求(不服申立て)、選択肢4はパブコメであって、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 公権力の行使への不服の訴訟で正しい |
| 2 | ✗ | 私人間の民事訴訟とは別 |
| 3 | ✗ | 審査請求は訴訟ではない |
| 4 | ✗ | パブコメとは別 |
オリジナル問題2(5類型)
抗告訴訟の類型に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 抗告訴訟は、取消訴訟というただ1つの類型だけからなるものとされている
- 抗告訴訟は、当事者訴訟と民衆訴訟の2つからなるものとされている
- 抗告訴訟は、義務付け訴訟と差止訴訟を含まないものとされている
- 抗告訴訟は、取消・無効等確認・不作為違法確認・義務付け・差止の5類型
解答は 4 だ。
抗告訴訟は、取消・無効等確認・不作為違法確認・義務付け・差止の5類型からなる。義務付けと差止は、あとから加わった新しい型だ。
選択肢1の「取消だけ」、選択肢2の「当事者訴訟・民衆訴訟」、選択肢3の「義務付け・差止を含まない」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 取消訴訟だけではない |
| 2 | ✗ | それらは抗告訴訟とは別の類型 |
| 3 | ✗ | 義務付け・差止も含む |
| 4 | ✓ | 5類型からなるで正しい |
オリジナル問題3(ほかの訴訟との区別)
抗告訴訟とほかの訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 当事者訴訟は、抗告訴訟に含まれる一つの類型であるとされている
- 抗告訴訟は、改正前から一貫して5類型であったとされている
- 当事者訴訟は抗告訴訟とは別の類型で、抗告訴訟は5類型からなる
- 抗告訴訟と民衆訴訟は、まったく同じ意味であるとされている
解答は 3 だ。
当事者訴訟は抗告訴訟とは別の類型で、抗告訴訟は5類型からなる。当事者訴訟・民衆訴訟・機関訴訟は、抗告訴訟と区別して覚えよう。
選択肢1の「当事者訴訟は抗告訴訟に含まれる」、選択肢2の「もとから5類型」、選択肢4の「民衆訴訟と同じ」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 当事者訴訟は別の類型 |
| 2 | ✗ | 改正で5類型に拡充された |
| 3 | ✓ | 当事者訴訟は別・抗告訴訟は5類型で正しい |
| 4 | ✗ | 民衆訴訟とは別の類型 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 意味 = 公権力の行使に関する不服の訴訟で、行政事件訴訟の中核。
- 🔴 5類型 = 取消・無効等確認・不作為違法確認・義務付け・差止(義務付け・差止は改正で新設)。
- 🟡 ほかの訴訟との区別 = 当事者訴訟・民衆訴訟・機関訴訟は、抗告訴訟とは別の類型。
次に学ぶ
- 行政行為(行政処分) ── 抗告訴訟の対象となる「処分」とは何かを押さえる。
- 審査請求 ── 訴訟ではなく行政内部で争う不服申立て。抗告訴訟と対比で押さえる。
- 行政行為の瑕疵 ── 取消訴訟・無効等確認訴訟の前提となる、違法と無効の区別。
執筆: SikakuQuest編集部