義務付け訴訟とは(全体像)
義務付け訴訟とは、行政庁が一定の処分や裁決をすべきだ、と命ずることを求める訴訟のこと。「動いてほしい」を裁判で求める、積極的な救済手段だ。
押さえるのは、義務付け訴訟が2つの類型に分かれること。
- ①申請型 … 法令に基づく申請をした人が、その申請への処分の義務づけを求める。
- ②非申請型 … 申請とは関係なく、たとえば第三者の規制権限の発動(近隣の違法業者への規制など)を求める。
この申請型と非申請型の区別が、試験の最大のポイントになる。
詳しく:申請型と非申請型の区別
ここが心臓部。2類型の要件と、併合の関係を押さえる。
申請型と非申請型のちがい
| 申請型 | 非申請型 | |
|---|---|---|
| 場面 | 法令申請への処分を求める | 第三者の規制権限の発動など |
| 併合 | 不作為違法確認訴訟または取消訴訟との併合が必要 | 単独で提起できる |
| 特有の要件 | (申請の存在が前提) | 重大な損害+補充性(他に適当な方法がない) |
まず申請型。法令に基づく申請をした人が、その申請に対する処分を義務づけるよう求めるもの。単独では提起できず、不作為違法確認訴訟または取消訴訟と併合して提起する必要がある。
次に非申請型。申請とは無関係に、行政庁の権限発動を求めるもの。たとえば、近隣の違法な業者への規制権限の発動を住民が求めるケースだ。これには、重大な損害が生ずるおそれがあり、かつ他に適当な方法がない(補充性)という、特有の要件がある。
なお、本案で勝つには、処分すべきことが法令上明らかか、または行政庁の裁量権の逸脱・濫用が認められることが必要。裁量がある処分では、その逸脱・濫用の範囲でしか処分内容は拘束されない。
わかりやすく言い換えると
つまり義務付け訴訟は「処分をしてほしい、と命じてもらう訴訟」。申請した人が使う申請型(併合が必要)と、第三者の規制などを求める非申請型(重大損害+補充性)の2つを、まず区別する。
要するに押さえどころは2つ。①申請型は不作為違法確認訴訟などと併合が必要、②非申請型は重大な損害+補充性が要件。
試験のツボ
🔴 一番出る:申請型と非申請型の区別
①申請型 = 法令申請への処分を求める。不作為違法確認訴訟などと併合が必要
②非申請型 = 第三者の規制権限の発動など。重大な損害+補充性が要件
🔴 次に出る:本案勝訴要件
処分すべきことが法令上明らか、または裁量権の逸脱・濫用が認められること。
🟡 押さえると安定:裁量との関係
裁量がある処分では、逸脱・濫用が認められる範囲でのみ処分内容が拘束される。
よくある間違い
①「義務付け訴訟は、申請型と非申請型を区別せず一律に扱える」→ ✗ 要件も併合の関係も大きく異なり、明確に区別される。
②「申請型の義務付け訴訟は、単独で提起できる」→ ✗ 不作為違法確認訴訟または取消訴訟との併合が必要。
③「非申請型に、重大な損害の要件はない」→ ✗ 非申請型は、重大な損害+補充性(他に適当な方法がない)が要件。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(義務付け訴訟の意味)
義務付け訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 義務付け訴訟とは、処分の取消しを求める訴訟をいうものとされる
- 義務付け訴訟とは、処分をしないよう求める訴訟をいうものとされる
- 義務付け訴訟とは、行政庁に一定の処分をすべきと命ずるよう求める訴訟
- 義務付け訴訟とは、命令等の案について意見を募る手続をいうものとされる
解答は 3 だ。
義務付け訴訟とは、行政庁に一定の処分をすべきだと命ずるよう求める抗告訴訟だ。「処分をしてほしい」を裁判で求める手段だ。
選択肢1は取消訴訟、選択肢2は差止訴訟、選択肢4はパブコメであって、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 取消訴訟とは別 |
| 2 | ✗ | それは差止訴訟 |
| 3 | ✓ | 処分をすべきと命ずるよう求める訴訟で正しい |
| 4 | ✗ | パブコメとは別 |
オリジナル問題2(2つの類型)
義務付け訴訟の類型に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 義務付け訴訟には、申請型と非申請型という2つの類型がある
- 義務付け訴訟は、申請型のただ1つの類型だけからなるものとされている
- 義務付け訴訟は、申請型と非申請型をまったく区別しないものとされている
- 義務付け訴訟は、当事者訴訟の一種であるとされている
解答は 1 だ。
義務付け訴訟には、申請型と非申請型の2つの類型がある。両者は要件も併合の関係も異なるので、しっかり区別して覚えよう。
選択肢2の「申請型だけ」、選択肢3の「区別しない」、選択肢4の「当事者訴訟の一種」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 申請型と非申請型の2類型で正しい |
| 2 | ✗ | 申請型だけではない |
| 3 | ✗ | 両者は明確に区別される |
| 4 | ✗ | 抗告訴訟の一類型 |
オリジナル問題3(要件と併合)
申請型・非申請型の義務付け訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 申請型の義務付け訴訟は、単独でだけ提起できるものとされている
- 非申請型の義務付け訴訟には、重大な損害の要件はないものとされている
- 申請型と非申請型は、要件も併合の関係もまったく同じであるとされる
- 申請型は、不作為違法確認訴訟などと併合して提起する必要がある
解答は 4 だ。
申請型の義務付け訴訟は、不作為違法確認訴訟または取消訴訟と併合して提起する必要がある。非申請型は、重大な損害+補充性が要件だ。
選択肢1の「単独でだけ」、選択肢2の「重大な損害の要件はない」、選択肢3の「まったく同じ」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 申請型は併合が必要 |
| 2 | ✗ | 非申請型は重大な損害+補充性が要件 |
| 3 | ✗ | 要件も併合も大きく異なる |
| 4 | ✓ | 申請型は併合提起が必要で正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 意味 = 行政庁に一定の処分をすべきと命ずるよう求める抗告訴訟。
- 🔴 申請型 = 法令申請への処分を求める。不作為違法確認訴訟または取消訴訟との併合が必要。
- 🟡 非申請型 = 第三者の規制権限の発動など。重大な損害+補充性(他に適当な方法がない)が要件。
次に学ぶ
- 抗告訴訟 ── 義務付け訴訟をふくむ5類型の全体像。
- 不作為の違法確認訴訟 ── 申請型義務付け訴訟と併合される訴訟。
- 取消訴訟 ── 申請型義務付け訴訟と併合されることもある中核類型。
執筆: SikakuQuest編集部