不作為の違法確認訴訟とは(全体像)
不作為の違法確認訴訟とは、行政庁が、法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分や裁決をすべきなのに、それをしないこと(不作為)について、違法の確認を求める訴訟のこと。抗告訴訟の5類型のひとつだ。
押さえるのは2つ。
- ①前提として、法令に基づく申請があること。申請をしていない人は提起できない(原告適格は申請をした者)。
- ②「相当の期間」が過ぎていること。どれくらいが「相当」かは事案によるが、標準処理期間が目安になる。
つまり、「申請したのに、いつまでも返事がない」状態を、裁判で違法だと確認してもらう訴訟だ。
詳しく:前提となる申請と、効果の限界
ここが心臓部。前提(申請の存在)と、判決の効果の限界を押さえる。
不作為の違法確認訴訟の要件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 前提 | 法令に基づく申請があること(申請をした者だけが提起できる) |
| 相当の期間の経過 | 申請から相当の期間が過ぎても応答がないこと |
まず前提。この訴訟は、法令に基づく申請があってはじめて使える。申請をしていないのに「行政が動かない」と訴えても、原告適格がなく不適法だ。「不作為」という言葉につられて、広く使えると思い込まないこと。
次に効果の限界。
判決の効果
| できること | できないこと |
|---|---|
| 不作為が違法であることの確認 | 処分そのものを直接に強制すること |
この訴訟で得られるのは、不作為が違法だという「確認」まで。処分そのものをするよう強制する力はない。そのため、確認だけでは足りず、処分までさせたいなら義務付け訴訟と一緒に(併合して)提起するのが一般的だ。
わかりやすく言い換えると
つまり不作為の違法確認訴訟は「申請したのに返事がないのは違法だ、と確認してもらう訴訟」。申請があることが前提で、確認まで。処分まで求めるなら義務付け訴訟とセットだ。
要するに押さえどころは2つ。①前提として法令に基づく申請が必要(申請をした者だけ)、②違法の確認まで・処分強制には義務付け訴訟が要る(併合提起が一般的)。
試験のツボ
🔴 一番出る:前提は法令に基づく申請
①法令に基づく申請があることが前提(申請をした者だけが提起できる)
②相当の期間が過ぎても応答がないこと
🔴 次に出る:効果は違法の確認まで
判決で得られるのは不作為の違法の確認。処分そのものを強制する力はない。
🟡 押さえると安定:義務付け訴訟との併合
処分までさせたいなら、義務付け訴訟と一緒に提起するのが一般的。
よくある間違い
①「申請がなくても、不作為の違法確認訴訟は提起できる」→ ✗ 法令に基づく申請があることが前提。申請をした者だけが提起できる。
②「違法確認の判決で、処分まで直接に強制できる」→ ✗ できるのは違法の確認まで。処分強制には義務付け訴訟が必要。
③「相当の期間を待たずに、すぐ提起できる」→ ✗ 相当の期間が過ぎても応答がないことが要件。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(不作為の違法確認訴訟の意味)
不作為の違法確認訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 不作為の違法確認訴訟とは、処分の取消しを求める訴訟をいうものとされる
- 不作為の違法確認訴訟とは、行政機関に不服を申し立てる審査請求をいうとされる
- 不作為の違法確認訴訟とは、私人どうしの契約上の紛争を解決する民事訴訟をいう
- 不作為の違法確認訴訟とは、申請に応答しないことが違法だと確認を求める訴訟
解答は 4 だ。
不作為の違法確認訴訟とは、法令に基づく申請に応答しないことが違法だと確認を求める抗告訴訟だ。「申請したのに返事がない」状態を争う訴訟だ。
選択肢1は取消訴訟、選択肢2は審査請求、選択肢3は民事訴訟であって、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 取消訴訟とは別 |
| 2 | ✗ | 審査請求は訴訟ではない |
| 3 | ✗ | 私人間の民事訴訟とは別 |
| 4 | ✓ | 不応答が違法だと確認を求める訴訟で正しい |
オリジナル問題2(前提となる申請)
不作為の違法確認訴訟の前提に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 不作為の違法確認訴訟には、前提として法令に基づく申請の存在が必要である
- 不作為の違法確認訴訟は、申請がなくても誰でも提起できるものとされている
- 不作為の違法確認訴訟は、相当の期間を待たずに提起できるものとされる
- 不作為の違法確認訴訟は、処分の相手方でなくても提起できるとされている
解答は 1 だ。
不作為の違法確認訴訟には、前提として法令に基づく申請があることが必要だ。申請をした者だけが提起でき、申請がなければ不適法だぞ。
選択肢2の「申請がなくても誰でも」、選択肢3の「相当の期間を待たずに」、選択肢4の「相手方でなくても」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 前提として法令に基づく申請が必要で正しい |
| 2 | ✗ | 申請をした者だけが提起できる |
| 3 | ✗ | 相当の期間の経過が要件 |
| 4 | ✗ | 申請をした者に限られる |
オリジナル問題3(効果の限界)
不作為の違法確認訴訟の効果に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 不作為の違法確認訴訟の判決でも、処分まで直接に強制できるものとされる
- 不作為の違法確認訴訟は、違法を確認すれば処分が自動でされるとされる
- 不作為の違法確認訴訟は違法確認のみで、処分強制には義務付け訴訟が要る
- 不作為の違法確認訴訟は、義務付け訴訟と併合できないものとされている
解答は 3 だ。
不作為の違法確認訴訟でできるのは違法の確認までで、処分そのものを強制するには義務付け訴訟が必要だ。だから両者を併合して提起することが多い。
選択肢1の「処分まで強制」、選択肢2の「自動で処分」、選択肢4の「併合できない」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 処分強制には義務付け訴訟が必要 |
| 2 | ✗ | 確認だけで処分はされない |
| 3 | ✓ | 確認のみ・処分強制は義務付け訴訟で正しい |
| 4 | ✗ | 義務付け訴訟と併合できる |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 意味 = 申請に相当の期間が過ぎても応答しないことが違法だと確認を求める抗告訴訟。
- 🔴 前提 = 法令に基づく申請があること(申請をした者だけが提起できる)。
- 🟡 効果の限界 = 違法の確認まで。処分強制には義務付け訴訟が必要(併合提起が一般的)。
次に学ぶ
執筆: SikakuQuest編集部