処分性とは(全体像)
処分性とは、取消訴訟の対象となる「行政庁の処分その他、公権力の行使にあたる行為」に該当する性質のこと。取消訴訟を起こす最初の関門で、ここを通らないと中身の審理に入れない入口論点だ。
判例は、処分性をこう定義する。
公権力の主体(国・公共団体)が行う行為のうち、その行為によって、直接、国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが、法律上認められているもの。
ポイントを分解すると、①公権力性(一方的な権力の行使)、②直接性(直接、権利義務を形成・確定)、③外部性(行政内部でなく、対外的な行為)の3つだ。
詳しく:3つの要素と、判例の傾向
ここが心臓部。処分性を判断する要素と、認められる・認められない例を押さえる。
処分性を支える3つの要素
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 公権力性 | 国・公共団体による、一方的な権力の行使であること |
| 直接性 | 直接、国民の権利義務を形成し、または確定すること |
| 外部性 | 行政内部の行為ではなく、対外的な行為であること |
この3つを実質的にみて判断するのが、判例の立場。条文の言葉だけで形式的に決めるのではなく、実際に国民の権利義務へどう影響するかを重視する。
処分性が認められる・認められない例
| 行為 | 処分性 |
|---|---|
| 強制力をもつ勧告(従わないと不利益が及ぶもの) | 認められた |
| 通達(行政内部の上級機関から下級機関への命令) | 認められない |
注意したいのが勧告。行政指導や勧告は本来は任意で、処分性が否定されるのが原則。ところが、従わないと実際に不利益が及ぶような、事実上の強制力をもつ勧告には、処分性が認められた例がある。「勧告だから必ず処分性なし」と決めつけないこと。
逆に通達は、行政の内部で上級機関が下級機関に出す命令で、国民の権利義務を直接左右しない。だから処分性は否定される。
わかりやすく言い換えると
つまり処分性は「取消訴訟で争える行為かどうかの入口チェック」。直接、国民の権利義務を動かす公権力行為かを、実質で判断する。強制力ある勧告は中に入れた一方、内部命令の通達は門前で止まる。
要するに押さえどころは2つ。①処分性は取消訴訟の入口で、直接に権利義務を形成・確定する公権力行為に認められる、②強制力をもつ勧告には認められ、行政内部の通達には認められない。
試験のツボ
🔴 一番出る:処分性の定義
①直接、国民の権利義務を形成・確定する公権力の行使にあたる行為
②取消訴訟の対象になれるかを決める入口論点
🔴 次に出る:3つの要素
公権力性・直接性・外部性を実質的にみて判断する。形式論では決めない。
🟡 押さえると安定:判例の傾向
強制力をもつ勧告には処分性が認められた。行政内部の通達には認められない。
よくある間違い
①「勧告や行政指導には、処分性が必ず否定される」→ ✗ 事実上の強制力をもつ勧告には、処分性が認められた例がある。
②「通達には、処分性が認められる」→ ✗ 通達は行政内部の命令で、国民の権利義務を直接左右しないため否定される。
③「処分性は、条文の文言だけで形式的に決まる」→ ✗ 判例は、権利義務への実質的な影響を重視して判断する。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(処分性の意味)
処分性に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 処分性とは、私人どうしの契約に法的効果を与える性質をいうものとされる
- 処分性とは、行政の内部だけで完結する命令の性質をいうものとされる
- 処分性とは、直接に国民の権利義務を形成・確定する公権力の行為の性質
- 処分性とは、命令等の案について意見を募る手続の性質をいうものとされる
解答は 3 だ。
処分性とは、直接に国民の権利義務を形成・確定する、公権力の行使にあたる行為の性質だ。取消訴訟で争えるかを決める入口の性質だ。
選択肢1は私人間の契約、選択肢2は行政内部の命令、選択肢4はパブコメであって、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 私人間の契約とは別 |
| 2 | ✗ | 内部命令は外部性を欠く |
| 3 | ✓ | 直接に権利義務を形成・確定する公権力行為で正しい |
| 4 | ✗ | パブコメとは別 |
オリジナル問題2(判断の要素)
処分性の判断に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 処分性は、公権力性・直接性・外部性といった要素から判断される
- 処分性は、行政の内部的な命令であっても認められるとされている
- 処分性は、私人間の合意であっても広く認められるものとされる
- 処分性は、国民の権利義務に影響しない行為にも認められるとされる
解答は 1 だ。
処分性は、公権力性・直接性・外部性といった要素を実質的にみて判断される。形式ではなく、権利義務への影響という中身が決め手だ。
選択肢2の「内部命令でも」、選択肢3の「私人間の合意でも」、選択肢4の「影響しない行為でも」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 公権力性・直接性・外部性で判断され正しい |
| 2 | ✗ | 内部命令は外部性を欠く |
| 3 | ✗ | 私人間の合意は公権力性を欠く |
| 4 | ✗ | 直接性(権利義務への影響)が必要 |
オリジナル問題3(判例の傾向)
処分性に関する判例の傾向についての次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 行政指導や勧告は、強制力があっても処分性は否定されるとされる
- 事実上の強制力をもつ勧告には処分性が認められ、通達には否定される
- 通達は国民の権利義務を直接左右するため、処分性が認められるとされる
- 処分性は条文の文言だけで形式的に決まり、判例の影響はないとされる
解答は 2 だ。
事実上の強制力をもつ勧告には処分性が認められた一方、行政内部の命令である通達には処分性が否定される。中身の影響でわかれるぞ。
選択肢1の「勧告は強制力があっても否定」、選択肢3の「通達は認められる」、選択肢4の「形式だけで決まる」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 強制力ある勧告は認められた |
| 2 | ✓ | 強制力ある勧告は肯定・通達は否定で正しい |
| 3 | ✗ | 通達は内部命令で否定される |
| 4 | ✗ | 判例は実質を重視して判断する |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 意味 = 直接に国民の権利義務を形成・確定する公権力行為の性質。取消訴訟の入口。
- 🔴 3つの要素 = 公権力性・直接性・外部性を、実質的にみて判断する。
- 🟡 判例の傾向 = 強制力をもつ勧告には認められ、行政内部の通達には認められない。
次に学ぶ
- 取消訴訟 ── 処分性が入口になる、抗告訴訟の中核。
- 原告適格 ── 処分性と並ぶ、取消訴訟のもうひとつの関門。
- 行政行為(行政処分) ── 処分性が問題となる「処分」そのもののしくみ。
執筆: SikakuQuest編集部