訴えの利益とは?事情変動による消滅と、効果が消えた後の利益

公開: 更新: カテゴリ: 行政法

30秒で結論

訴えの利益とは(全体像)

訴えの利益とは、取消訴訟を起こすことの、客観的で現在的な必要性のこと。「いま、この処分を取り消してもらう実益があるか」を問う要件だ。

これは、原告適格とよく似ているが別物。

つまり、訴える資格がある人(原告適格あり)でも、いま争う実益がなければ、訴えの利益がなく、訴えは却下される。


詳しく:事情変動による消滅と、効果が消えた後の利益

ここが心臓部。実益が消えると却下されること、効果消滅後も残る利益を押さえる。

原告適格と訴えの利益

何を問うか
原告適格誰が訴えうるか(法律上の利益をもつ人か)
訴えの利益いま取消しを求める実益があるか

まず事情変動による消滅。訴訟の途中で事情が変わり、取り消してもらう実益がなくなると、訴えの利益も消える。たとえば、争っている処分の効果が、期間の経過などでもう消えてしまった場合だ。実益が消えれば、訴えは却下される。

ただし、ここに大事な例外がある。

処分の効果が消滅した後

状況訴えの利益
効果が消え、回復すべき利益も残らないなし(却下)
効果は消えたが、回復すべき法律上の利益が残るあり

処分の効果が消えても、取消しによって回復すべき法律上の利益が残っているなら、訴えの利益は認められる。たとえば、営業停止処分の期間が過ぎても、その処分が将来の加重(次回さらに重い処分になること)の理由になるなど、消えない不利益が残るなら、取り消す実益がある。「効果が消えた=必ず訴えの利益も消える」ではない、という点が最大のヤマだ。

わかりやすく言い換えると

つまり訴えの利益は「いま争う実益があるかのチェック」。原告適格(誰が)とは別で、実益が消えれば却下。ただし効果が消えても、回復すべき利益が残るなら争える。

要するに押さえどころは2つ。①訴えの利益は「いま実益があるか」で、原告適格(誰が)とは別の要件②効果が消滅しても、回復すべき法律上の利益が残れば訴えの利益はある


試験のツボ

🔴 一番出る:原告適格との区別

①原告適格は「誰が訴えうるか」、訴えの利益は「いま実益があるか」

②両者は別の要件。混同しない

🔴 次に出る:事情変動による消滅

事情が変わって取消しの実益がなくなったときは、訴えの利益は消滅し、訴えは却下。

🟡 押さえると安定:効果消滅後の回復利益

効果が消えても、回復すべき法律上の利益が残れば訴えの利益はある。


よくある間違い

「訴えの利益と原告適格は、同じ概念である」→ ✗  原告適格は「誰が」、訴えの利益は「いま実益があるか」を問う、別の要件。

「処分の効果が消滅すれば、訴えの利益も必ず消滅する」→ ✗  回復すべき法律上の利益が残れば、訴えの利益は認められる。

「訴えの利益は、事情が変わっても消滅しない」→ ✗  取消しの実益がなくなったときは、訴えの利益は消滅し、訴えは却下される。


試験での出題パターン

実際の問題でたしかめてみよう。

オリジナル問題1(訴えの利益の意味)

📝 オリジナル問題 1 訴えの利益の意味

訴えの利益に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 訴えの利益とは、現に取消しを求める実益があるかという客観的な必要性
  2. 訴えの利益とは、私人どうしの契約を取り消す利益をいうものとされる
  3. 訴えの利益とは、行政庁が処分を出すことの利益をいうものとされる
  4. 訴えの利益とは、命令等の案について意見を述べる利益をいうものとされる
アドゴレ
アドゴレ 解答・解説

解答は 1 だ。

訴えの利益とは、現に取消しを求める実益があるかという、客観的な必要性だ。「いま争う意味があるか」を問う要件だ。

選択肢2の「私人間の契約」、選択肢3の「処分を出す利益」、選択肢4の「意見を述べる利益」は、いずれも誤りだ。

選択肢判定理由
1現に取消しを求める実益を問う要件で正しい
2私人間の契約とは別
3処分を求める側の話ではない
4パブコメとは別

オリジナル問題2(原告適格との区別)

📝 オリジナル問題 2 原告適格との区別

訴えの利益と原告適格に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 訴えの利益と原告適格とは、まったく同じひとつの概念であるものとされる
  2. 訴えの利益は「誰が訴えうるか」、原告適格は「実益があるか」を問う
  3. 原告適格は「誰が訴えうるか」、訴えの利益は「実益があるか」を問う
  4. 訴えの利益も原告適格も、処分を出す側の資格を問うものとされる
アドゴレ
アドゴレ 解答・解説

解答は 3 だ。

原告適格は「誰が訴えうるか」訴えの利益は「いま実益があるか」を問う、別の要件だ。役割を取り違えないことが大事だ。

選択肢1の「同じ概念」、選択肢2の「役割が逆」、選択肢4の「処分を出す側」は、いずれも誤りだ。

選択肢判定理由
1両者は別の要件
2役割が逆になっている
3原告適格=誰が、訴えの利益=実益で正しい
4どちらも訴える側に関する要件

オリジナル問題3(効果消滅後の回復利益)

📝 オリジナル問題 3 処分の効果が消滅した後

処分の効果が消滅した後の訴えの利益に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 処分の効果が消滅すれば、訴えの利益もつねに消滅してしまうものとされる
  2. 効果が消滅しても、回復すべき法律上の利益が残れば訴えの利益はある
  3. 訴えの利益は、事情が変わっても決して消滅しないものとされている
  4. 処分の効果が残っていても、訴えの利益はないものとされている
アドゴレ
アドゴレ 解答・解説

解答は 2 だ。

処分の効果が消えても、取消しによって回復すべき法律上の利益が残れば、訴えの利益は認められる。効果消滅イコール終わり、ではないぞ。

選択肢1の「つねに消滅」、選択肢3の「決して消滅しない」、選択肢4の「効果が残ってもない」は、いずれも誤りだ。

選択肢判定理由
1回復すべき利益が残れば消えない
2回復すべき利益が残れば訴えの利益ありで正しい
3実益が消えれば消滅する
4効果が残るなら実益がある

まとめ

押さえどころ

次に学ぶ


執筆: SikakuQuest編集部

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