原告適格とは(全体像)
原告適格とは、取消訴訟の原告となりうる資格のこと。処分性が「訴える対象」の入口なら、原告適格は「訴える人」の入口だ。
条文は、原告適格をもつ者を「処分の取消しを求めるにつき、法律上の利益を有する者」と定める。ここでいう法律上の利益とは、その処分によって、自己の権利や、法律上保護された利益を侵害される(またはそのおそれがある)ことをいう。
つまり、「なんとなく困る」では足りない。法律が守ろうとしている利益を侵されるかどうか、が基準になる。
詳しく:反射的利益との区別と、第三者の原告適格
ここが心臓部。「法律上の利益」と「反射的利益」の線引き、第三者への広がりを押さえる。
法律上の利益と反射的利益
| 区分 | 原告適格 |
|---|---|
| 法律上保護された利益(法律が守ろうとする利益)を侵される | 認められる |
| 反射的利益(事実上の利益にとどまるもの)を侵されるだけ | 認められない |
まず反射的利益との区別。法律が、ある人の利益を直接守ろうとしているなら、その人には原告適格がある。一方、法律が公益を守った結果、たまたま事実上の恩恵を受けていただけ(反射的利益)なら、原告適格は認められない。「事実上の不利益があるから」だけでは足りない、という点が引っかけだ。
次に第三者の原告適格。
第三者の原告適格の判断
| みるポイント | 内容 |
|---|---|
| 法令の趣旨・目的 | その法律が、第三者の利益も守ろうとしているか |
| 利益の内容・性質 | 侵害される利益が、生命・健康など重いものか |
処分の直接の相手方でない第三者(たとえば周辺住民)にも、原告適格が認められる場合がある。判断では、法令の趣旨・目的や、侵害される利益の内容・性質などを考慮して、実質的にみる。「第三者にはおよそ認められない」と決めつけないことが大切だ。
わかりやすく言い換えると
つまり原告適格は「訴える資格があるかどうかのチェック」。法律が守る利益を侵されるなら資格あり、ただの事実上の利益(反射的利益)なら資格なし。周辺住民などの第三者も、法令の趣旨しだいで資格が認められる。
要するに押さえどころは2つ。①原告適格は「法律上の利益」をもつ者に認められ、反射的利益では足りない、②第三者にも、法令の趣旨などを考慮して認められる場合がある。
試験のツボ
🔴 一番出る:法律上の利益
①原告適格は、処分の取消しを求めるにつき法律上の利益をもつ者に認められる
②法律上保護された利益が必要で、反射的利益では足りない
🔴 次に出る:第三者の原告適格
法令の趣旨・目的、利益の内容・性質などを考慮し、第三者にも認められる場合がある。
🟡 押さえると安定:処分性との関係
処分性は「対象」の入口、原告適格は「人」の入口。両方そろって取消訴訟に入れる。
よくある間違い
①「事実上の不利益があれば、原告適格は認められる」→ ✗ 法律上保護された利益が必要。反射的利益にとどまるものでは足りない。
②「第三者には、原告適格がおよそ認められない」→ ✗ 法令の趣旨などを考慮して、第三者にも認められる場合がある。
③「原告適格は、誰でも自由に取消訴訟を起こせる資格である」→ ✗ 法律上の利益をもつ者に限られる。誰でもよいわけではない。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(原告適格の意味)
原告適格に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 原告適格とは、誰でも自由に取消訴訟を起こせる資格をいうとされる
- 原告適格とは、処分の取消しを求めるにつき法律上の利益をもつ者の資格
- 原告適格とは、行政庁の側が訴訟を起こすための資格をいうものとされている
- 原告適格とは、命令等の案について意見を述べる資格をいうものとされる
解答は 2 だ。
原告適格とは、処分の取消しを求めるにつき、法律上の利益をもつ者の資格だ。訴える「人」の入口にあたる。
選択肢1の「誰でも自由に」、選択肢3の「行政庁の側」、選択肢4の「意見を述べる資格」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 法律上の利益をもつ者に限られる |
| 2 | ✓ | 法律上の利益をもつ者の資格で正しい |
| 3 | ✗ | 原告は訴える側の住民など |
| 4 | ✗ | パブコメとは別 |
オリジナル問題2(反射的利益との区別)
原告適格における利益に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 原告適格は、事実上の不利益があるだけで認められるものとされている
- 原告適格は、反射的利益にとどまる者にも広く認められるとされる
- 原告適格は、処分に不満があれば誰にでも認められるとされる
- 原告適格には、法律上保護された利益が必要で、反射的利益では不可
解答は 4 だ。
原告適格には、法律上保護された利益が必要で、反射的利益にとどまるものでは認められない。事実上の不利益だけでは足りないぞ。
選択肢1の「事実上の不利益だけ」、選択肢2の「反射的利益でも」、選択肢3の「誰にでも」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 事実上の不利益だけでは足りない |
| 2 | ✗ | 反射的利益では認められない |
| 3 | ✗ | 法律上の利益が必要 |
| 4 | ✓ | 法律上保護された利益が必要で正しい |
オリジナル問題3(第三者の原告適格)
第三者の原告適格に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 第三者には、原告適格がおよそ認められることはないとされている
- 周辺住民の利益は、つねに反射的利益にすぎないとされている
- 第三者にも、法令の趣旨や目的を考慮して原告適格が認められうる
- 第三者の原告適格は、本人の同意がなければ認められないとされている
解答は 3 だ。
第三者にも、法令の趣旨や目的、利益の内容・性質などを考慮して、原告適格が認められる場合がある。周辺住民などが典型だ。
選択肢1の「およそ認められない」、選択肢2の「つねに反射的利益」、選択肢4の「本人の同意が必要」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 第三者にも認められる場合がある |
| 2 | ✗ | 法律上の利益にあたる場合がある |
| 3 | ✓ | 法令の趣旨などを考慮して認められうるで正しい |
| 4 | ✗ | 本人の同意は要件ではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 意味 = 取消訴訟の原告になれる資格。法律上の利益をもつ者に認められる。
- 🔴 反射的利益との区別 = 法律上保護された利益が必要。事実上の利益(反射的利益)では足りない。
- 🟡 第三者の原告適格 = 法令の趣旨・利益の性質などを考慮し、周辺住民などにも認められうる。
次に学ぶ
執筆: SikakuQuest編集部