被告適格とは(全体像)
被告適格とは、取消訴訟の被告となりうる資格のこと。原告適格が「訴える人」の入口なら、被告適格は「訴えられる側」を誰にするかの問題だ。
原則を押さえる。被告は、処分や裁決をした行政庁が所属する、国や公共団体になる。これを行政主体主義という。
昔は、処分をした行政庁そのものを被告にするのが原則だった。いまは、その行政庁が所属する国や公共団体を被告にするのが原則だ。
つまり、「処分庁を訴える」ではなく、「その背後にある国や公共団体を訴える」のが、いまの基本形だ。
詳しく:原則と例外、そして被告を間違えたとき
ここが心臓部。原則(行政主体主義)と例外、被告変更の救済を押さえる。
誰を被告にするか
| 場面 | 被告 |
|---|---|
| 原則 | 処分・裁決をした行政庁が所属する国や公共団体 |
| 例外(処分庁が国・公共団体に所属しない場合) | その行政庁そのもの |
まず原則。処分庁が所属する国や公共団体を被告にする。たとえば、国の出先機関がした処分なら、被告は国であって、その出先機関ではない。
次に例外。処分庁が、国や公共団体のどこにも所属していないような場合には、その行政庁そのものを被告にする。
そして、試験でよく問われる救済がこれだ。
被告を間違えたとき
| できること | 内容 |
|---|---|
| 被告の変更 | 原告の申立てにより、裁判所が決定で被告を変更できる |
被告を間違えて訴えてしまっても、すぐに却下されるわけではない。原告の申立てにより、裁判所が決定で被告を変更できる。間違えただけで門前払い、とはならない仕組みが用意されている。
わかりやすく言い換えると
つまり被告適格は「誰を訴えればいいか」の問題。原則は処分庁ではなく、その所属する国や公共団体。万一まちがえても、申立てで裁判所が被告を変えてくれる。
要するに押さえどころは2つ。①原則は、処分庁が所属する国や公共団体が被告(行政主体主義)、②被告を誤っても、申立てにより裁判所の決定で被告を変更できる。
試験のツボ
🔴 一番出る:原則は行政主体主義
①被告は、処分庁が所属する国や公共団体(処分庁そのものではない)
②昔の処分庁主義から、いまの行政主体主義へ変わった
🔴 次に出る:被告変更の救済
被告を誤っても、申立てにより裁判所の決定で被告を変更できる。
🟡 押さえると安定:例外
処分庁が国や公共団体に所属しない場合は、その行政庁そのものが被告になる。
よくある間違い
①「いまも、処分庁そのものを被告とすべきである」→ ✗ 原則は、処分庁が所属する国や公共団体が被告(行政主体主義)。
②「被告を誤れば、訴えは必ず却下される」→ ✗ 申立てにより、裁判所の決定で被告を変更できる。
③「被告適格は、訴える原告の側の資格である」→ ✗ 被告適格は「訴えられる側」の資格。訴える側は原告適格。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(被告適格の原則)
被告適格に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 被告適格とは、取消訴訟で原告となる側の資格をいうものとされる
- 被告適格は、つねに処分をした行政庁そのものだけに認められるとされる
- 被告適格は、処分とは無関係な第三者に認められるものとされる
- 被告適格は原則として、処分庁が所属する国や公共団体に認められる
解答は 4 だ。
被告適格は、原則として、処分庁が所属する国や公共団体に認められる(行政主体主義)。処分庁そのものを被告にするのではないぞ。
選択肢1の「原告の側」、選択肢2の「つねに処分庁」、選択肢3の「無関係な第三者」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 訴える側は原告適格 |
| 2 | ✗ | 原則は所属する国や公共団体 |
| 3 | ✗ | 無関係な第三者ではない |
| 4 | ✓ | 処分庁が所属する国や公共団体で正しい |
オリジナル問題2(例外)
被告適格の例外に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 処分庁が国や公共団体に所属しないときは、その行政庁が被告となる
- 処分庁が国や公共団体に所属していても、原則は処分庁が被告とされる
- 被告は、処分とまったく関係のない行政機関から自由に選べるとされる
- 被告は、原告がどの国や公共団体でも自由に指定できるとされる
解答は 1 だ。
処分庁が、国や公共団体のどこにも所属していない場合には、例外としてその行政庁そのものが被告になる。これが原則の裏側だ。
選択肢2の「所属していても処分庁」、選択肢3の「無関係な機関から自由に」、選択肢4の「自由に指定」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 所属しない場合はその行政庁が被告で正しい |
| 2 | ✗ | 所属するなら国や公共団体が被告 |
| 3 | ✗ | 自由に選べるわけではない |
| 4 | ✗ | 自由に指定できるわけではない |
オリジナル問題3(被告を間違えたとき)
被告を誤って訴えた場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 被告を誤って訴えれば、その訴えはつねに却下されてしまうものとされる
- 被告を誤っても、原告の申立てにより裁判所の決定で被告を変更できる
- 被告を誤った場合、原告は二度と取消訴訟を起こせないとされる
- 被告の変更は、行政庁の側の同意がなければできないものとされる
解答は 2 だ。
被告を誤っても、原告の申立てにより、裁判所が決定で被告を変更できる。間違えただけで却下される、とはならないぞ。
選択肢1の「つねに却下」、選択肢3の「二度と起こせない」、選択肢4の「行政庁の同意が必要」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 被告変更の救済がある |
| 2 | ✓ | 申立てにより裁判所が被告を変更でき正しい |
| 3 | ✗ | 起こせなくなるわけではない |
| 4 | ✗ | 行政庁の同意は要件ではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 意味と原則 = 取消訴訟で訴えられる側の資格。原則は処分庁が所属する国や公共団体(行政主体主義)。
- 🔴 被告変更の救済 = 被告を誤っても、申立てにより裁判所の決定で被告を変更できる。
- 🟡 例外 = 処分庁が国や公共団体に所属しない場合は、その行政庁そのものが被告。
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執筆: SikakuQuest編集部