申請に対する処分とは(全体像)
申請に対する処分とは、許認可などを求める申請に対して、行政庁が「許可する/しない」を応答する処分のこと。ポイントは、許可も不許可も、どちらも「処分」だということ。
この場面では、申請した人を守るために、行政庁にいくつかの義務が課されている。ねらいは、申請者の権利利益の保護と、審査の公正の確保だ。
おおまかな流れは、こう。①審査の基準をあらかじめ用意して公表しておく → ②形式が整った申請は速やかに審査を始める → ③結論を出す。拒否するなら理由を示す。
詳しく:行政庁の義務を整理する
ここが心臓部。各義務の「設定/公表が義務か努力義務か」を正確に押さえる。
申請に対する処分のおもな義務
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 審査基準 | 設定が義務、原則として公表も義務 |
| 標準処理期間 | 設定は努力義務、定めたときは公表が義務 |
| 審査の開始 | 形式上の要件を満たす申請は、速やかに審査を始める |
| 理由提示 | 拒否処分のとき、原則として理由を示す義務 |
ここで間違えやすいのが2つ。まず審査基準と標準処理期間で扱いが違うこと。審査基準は設定そのものが義務だが、標準処理期間は設定は努力義務(定めるよう努める)で、定めたなら公表する。
もうひとつが理由提示。理由を示す義務があるのは拒否処分のときだけ。許可するときには理由提示はいらない。拒否された申請者が、その後に不服を申し立てられるよう、理由を知らせる必要があるからだ。
なお、形式上の要件を満たした申請は、受け取りを拒んだり放置したりせず、速やかに審査を始める義務がある。
わかりやすく言い換えると
つまり申請に対する処分は「許可・不許可を返す手続」で、申請者を守るためのルールがセットになっている。
要するに押さえどころは2つ。①審査基準は設定・公表が義務、標準処理期間は設定が努力義務・公表が義務、②理由提示が必要なのは拒否のときだけ(許可には不要)。
試験のツボ
🔴 一番出る:審査基準と標準処理期間のちがい
①審査基準 = 設定が義務、原則として公表も義務
②標準処理期間 = 設定は努力義務、定めたときは公表が義務
🔴 次に出る:理由提示は拒否のときだけ
拒否処分には原則として理由提示義務。許可処分には不要。
🟡 押さえると安定:審査開始の義務
形式上の要件を満たす申請は、速やかに審査を始める義務がある。
よくある間違い
①「標準処理期間は、設定も公表も義務」→ ✗ 設定は努力義務、定めたときに公表が義務。審査基準とは扱いが違う。
②「許可処分にも、理由提示が必要」→ ✗ 理由提示の義務があるのは拒否処分のとき。許可には不要。
③「形式が整った申請でも、受け取りを拒める」→ ✗ 形式上の要件を満たす申請は、速やかに審査を始める義務がある。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(申請に対する処分の意味)
申請に対する処分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 申請に対する処分とは、行政庁が義務を課したり相手の権利を制限したりする不利益処分をいう
- 申請に対する処分とは、許可した場合だけを指し、拒否は処分に当たらないものとされる
- 申請に対する処分とは、行政庁が職権で一方的に始める処分のことをいうものとされる
- 申請に対する処分とは、許認可などの申請に対し、行政庁が許可・不許可を応答する処分
解答は 4 です。
申請に対する処分とは、許認可などを求める申請に対して、行政庁が許可・不許可を応答する処分です。許可も不許可も、どちらも処分にあたります。
選択肢1の「不利益処分」、選択肢2の「許可だけ」、選択肢3の「職権で始める」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | それは不利益処分の説明 |
| 2 | ✗ | 拒否も処分にあたる |
| 3 | ✗ | 申請を受けて応答する処分 |
| 4 | ✓ | 許可・不許可を応答する処分で正しい |
オリジナル問題2(審査基準と標準処理期間)
審査基準と標準処理期間に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 行政庁は審査基準を定めて原則として公表し、標準処理期間を定めたときはこれを公表する
- 審査基準は定める必要がなく、標準処理期間は必ず定めて公表しなければならないとされる
- 審査基準も標準処理期間も、定めることも公表することも一切不要であるとされている
- 審査基準は非公開とし、標準処理期間だけを公表すればよいものとされている
解答は 1 です。
行政庁は審査基準を定めて原則として公表し、標準処理期間を定めたときは公表します。審査基準は設定が義務、標準処理期間は設定が努力義務、という違いがポイントです。
選択肢2の「審査基準は不要」、選択肢3の「すべて不要」、選択肢4の「審査基準は非公開」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 審査基準は設定・公表、標準処理期間は定めたら公表で正しい |
| 2 | ✗ | 審査基準は設定が義務 |
| 3 | ✗ | 審査基準の設定・公表は義務 |
| 4 | ✗ | 審査基準は原則として公表する |
オリジナル問題3(理由提示)
申請に対する処分の理由提示に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 申請を許可する処分にも、行政庁は必ず理由を示さなければならないものとされる
- 申請を拒否する処分には、行政庁は理由を示す必要はないものとされている
- 申請を拒否する処分には、行政庁は原則として理由を示さなければならない
- 申請に対する処分では、許可にも拒否にも理由提示は一切不要とされている
解答は 3 です。
申請を拒否する処分には、行政庁は原則として理由を示さなければなりません。拒否された人が、その後に不服を申し立てられるようにするためです。許可には理由提示はいりません。
選択肢1の「許可にも理由」、選択肢2の「拒否に理由不要」、選択肢4の「一切不要」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 許可には理由提示は不要 |
| 2 | ✗ | 拒否には理由提示が必要 |
| 3 | ✓ | 拒否処分に原則として理由提示で正しい |
| 4 | ✗ | 拒否には理由提示が必要 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 意味 = 許認可などの申請に、行政庁が許可・不許可を応答する処分(どちらも処分)。
- 🔴 審査基準と標準処理期間 = 審査基準は設定・公表が義務、標準処理期間は設定が努力義務・公表が義務。
- 🟡 理由提示 = 拒否処分には原則として理由提示義務。許可には不要。
次に学ぶ
- 行政手続法の目的 ── 申請に対する処分のルールが守る、公正・透明性・権利利益の保護。
- 適用除外 ── 申請に対する処分でも、行政手続法が適用されない場面の整理。
- 行政行為(行政処分) ── 申請に対する処分の「処分」とは何かを押さえる。
執筆: SikakuQuest編集部