審査基準とは(全体像)
審査基準とは、申請で求められた許認可などをするかどうかを、その法令の定めに従って判断するために必要な基準のこと。いわば、申請の合否を決める「ものさし」だ。
審査基準があると、申請する人は「どんな基準で判断されるのか」が事前にわかる(予測可能性)。また、役所がそのときの気分で勝手に判断することも防げる(恣意的判断の排除)。
そのため、行政庁には次の義務がある。
- 設定する義務 … 審査基準は、必ず定めなければならない。
- 具体的に定める … できる限り具体的にする(「適切に判断する」だけ、では不十分)。
- 公表する義務 … 特別の支障がない限り、公表する(原則公表)。
詳しく:設定義務・公表義務と違反の効果
ここが心臓部。2つの義務の区別と、基準に違反した処分の扱いを押さえる。
審査基準の2つの義務
| 義務 | 内容 |
|---|---|
| 設定 | 必ず定める(設定義務)。できる限り具体的に。 |
| 公表 | 特別の支障がない限り公表する(原則公表義務) |
ここで間違えやすいのが、よく似た標準処理期間との違い。標準処理期間は「設定は努力義務」だが、審査基準は設定そのものが義務。ここを取り違えないことが得点源になる。
そして、審査基準に違反してされた処分はどうなるか。
審査基準違反の処分
| 誤解 | 正しい理解 |
|---|---|
| 当然に無効になる | 当然無効ではなく、裁量権の逸脱・濫用として違法となる可能性がある |
審査基準に反する処分は「当然に無効」になるわけではない。あくまで、裁量権の逸脱・濫用として違法になる可能性がある、というレベルだ。「違法になりうる」と「無効になる」は別、と区別する。
わかりやすく言い換えると
つまり審査基準は「申請の合否を決めるものさし」。事前に用意して見せておくことで、申請者を守り、役所の勝手を防ぐ。
要するに押さえどころは2つ。①設定は必ずする義務・公表は原則する義務(標準処理期間とちがい設定が義務)、②基準違反の処分は当然無効ではなく、違法となる可能性がある。
試験のツボ
🔴 一番出る:設定義務と公表義務
①設定 = 必ず定める義務(できる限り具体的に)
②公表 = 特別の支障がない限り公表する義務(原則公表)
🔴 次に出る:標準処理期間との違い
審査基準は設定が義務。標準処理期間は設定が努力義務。ここが分かれ目。
🟡 押さえると安定:違反の効果
審査基準違反の処分は当然無効ではなく、裁量権の逸脱・濫用として違法となる可能性。
よくある間違い
①「審査基準の設定は、努力義務にとどまる」→ ✗ 設定は必ずしなければならない義務。努力義務は標準処理期間のほう。
②「審査基準は、公表してはならない」→ ✗ 特別の支障がない限り公表する義務がある(原則公表)。
③「審査基準に違反した処分は、当然に無効」→ ✗ 当然無効ではなく、裁量権の逸脱・濫用として違法となる可能性がある。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(審査基準の意味)
審査基準に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 審査基準とは、不利益処分をするかどうかを判断するために定める基準をいうものとされる
- 審査基準とは、申請を処理するのにかかる標準的な期間を定めたものをいうものとされる
- 審査基準とは、許認可などをするかどうかを法令の定めに従って判断するために必要な基準
- 審査基準とは、行政庁が申請を受け取った日を記録するための書類をいうものとされている
解答は 3 です。
審査基準とは、許認可などをするかどうかを、法令に従って判断するために必要な基準です。申請の合否を決める「ものさし」と考えるとわかりやすいです。
選択肢1は処分基準、選択肢2は標準処理期間の説明であって誤り。選択肢4の「受け取った日の記録」も誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | それは処分基準の説明 |
| 2 | ✗ | それは標準処理期間の説明 |
| 3 | ✓ | 許認可の合否を判断する基準で正しい |
| 4 | ✗ | 日付の記録のための書類ではない |
オリジナル問題2(設定義務と公表義務)
審査基準の設定・公表に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 審査基準は、定めるかどうかは行政庁の努力義務にとどまるものとされている
- 審査基準は、定める義務はあるが、公表は一切してはならないものとされている
- 審査基準は、定める必要はないが、定めたときは必ず公表しなければならないとされる
- 審査基準は必ず定める義務があり、行政上特別の支障がない限り公表する義務がある
解答は 4 です。
審査基準は、必ず定める義務があり、特別の支障がない限り公表する義務があります。設定は必ず、公表は原則、とセットで覚えましょう。
選択肢1の「設定は努力義務」、選択肢2の「公表してはならない」、選択肢3の「定める必要はない」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 設定は努力義務ではなく義務 |
| 2 | ✗ | 原則として公表する義務がある |
| 3 | ✗ | 審査基準の設定は義務 |
| 4 | ✓ | 設定は義務・公表は原則義務で正しい |
オリジナル問題3(基準違反の効果)
審査基準に違反してされた処分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 審査基準に違反してされた処分は、当然に無効となり効力を生じないものとされている
- 審査基準に違反した処分は、裁量権の逸脱・濫用として違法となる可能性がある
- 審査基準に違反した処分でも、つねに適法であり問題は生じないものとされている
- 審査基準に違反した処分は、無効か取消しかを問わず効力に影響しないとされる
解答は 2 です。
審査基準に違反した処分は、裁量権の逸脱・濫用として違法となる可能性があります。「当然に無効」ではなく「違法になりうる」どまり、という点に注意しましょう。
選択肢1の「当然に無効」、選択肢3の「つねに適法」、選択肢4の「効力に影響しない」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 当然無効ではない |
| 2 | ✓ | 裁量権の逸脱・濫用で違法の可能性で正しい |
| 3 | ✗ | つねに適法とはいえない |
| 4 | ✗ | 違法となる可能性がある |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 意味 = 許認可などをするかどうかを法令に従って判断するための基準(合否のものさし)。
- 🔴 2つの義務 = 設定は必ずする義務、公表は特別の支障がない限りする義務(原則公表)。
- 🟡 違反の効果 = 当然無効ではなく、裁量権の逸脱・濫用として違法となる可能性がある。
次に学ぶ
- 申請に対する処分 ── 審査基準が使われる、申請への応答の手続全体。
- 行政手続法の目的 ── 審査基準が支える、公正・透明性・権利利益の保護。
- 行政行為の瑕疵 ── 違法と無効の違い。基準違反が「違法」にとどまる理由につながる。
執筆: SikakuQuest編集部