処分基準とは(全体像)
処分基準とは、不利益処分をするかどうか、また、どのような不利益処分にするかを、その法令の定めに従って判断するために必要な基準のこと。たとえば「業務停止は何日にするか」といった、不利益処分のための「ものさし」だ。
押さえるのは義務の強さ。行政庁は、処分基準を定めるよう努め、公表するよう努める。つまり、設定も公表も努力義務だ。
なぜ義務ではなく努力義務なのか。それは、処分基準をはっきり示して公表すると、基準ぎりぎりを狙って違反するような脱法行為を招くおそれがあるためだ。だから、あえて義務までは課していない。
詳しく:審査基準との違いと公表基準の重み
ここが心臓部。審査基準との義務の違いと、公表した基準の重みを押さえる。
処分基準と審査基準の義務のちがい
| 設定 | 公表 | 場面 | |
|---|---|---|---|
| 処分基準 | 努力義務 | 努力義務 | 不利益処分 |
| 審査基準 | 義務 | 原則として義務 | 申請に対する処分 |
ここが最大の引っかけ。審査基準は設定が義務だが、処分基準は設定も公表も努力義務。「不利益処分の基準(処分基準)は努力義務」と覚えると、審査基準と混ざらない。
ただし、努力義務だからといって、自由に外していいわけではない。
公表した処分基準の重み
| 誤解 | 正しい理解 |
|---|---|
| 努力義務だから公表基準と違う処分も自由 | 公表した基準と異なる処分は、合理的な理由がなければ違法となりうる |
いったん公表した処分基準は、それなりの重みを持つ。判例は、公表した基準と異なる処分をする合理的な理由がない場合は、裁量権の逸脱・濫用として違法になるとした。「努力義務だから何でもOK」ではない、という点に注意する。
わかりやすく言い換えると
つまり処分基準は「不利益処分のためのものさし」。設定も公表も努力義務で、義務の審査基準とは強さが違う。
要するに押さえどころは2つ。①処分基準は設定も公表も努力義務(審査基準は設定が義務)、②公表した基準と違う処分は、合理的な理由がなければ違法になりうる。
試験のツボ
🔴 一番出る:設定も公表も努力義務
①設定 = 定めるよう努める(努力義務)
②公表 = 公表するよう努める(努力義務)
🔴 次に出る:審査基準との違い
審査基準は設定が義務。処分基準は設定も公表も努力義務。ここが分かれ目。
🟡 押さえると安定:公表基準からの逸脱
公表した基準と異なる処分は、合理的な理由がなければ違法となりうる。
よくある間違い
①「処分基準の設定・公表は、義務」→ ✗ 処分基準は設定も公表も努力義務。設定が義務なのは審査基準のほう。
②「努力義務だから、公表した基準と違う処分も自由」→ ✗ 合理的な理由がなければ、裁量権の逸脱・濫用として違法となりうる。
③「処分基準は、申請を許可するかどうかの基準」→ ✗ それは審査基準。処分基準は不利益処分のための基準。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(処分基準の意味)
処分基準に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 処分基準とは、不利益処分をするかどうかや、その内容を判断するのに必要な基準
- 処分基準とは、申請を許可するかどうかを判断するための基準をいうものとされる
- 処分基準とは、申請から処分までにかかる標準的な期間をいうものとされている
- 処分基準とは、不利益処分を受けた人が不服を申し立てる手続をいうものとされる
解答は 1 です。
処分基準とは、不利益処分をするかどうかや、どのような内容にするかを判断するための基準です。不利益処分のための「ものさし」と考えるとわかりやすいです。
選択肢2は審査基準、選択肢3は標準処理期間の説明であって誤り。選択肢4の「不服申立ての手続」も誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 不利益処分の判断基準で正しい |
| 2 | ✗ | それは審査基準の説明 |
| 3 | ✗ | それは標準処理期間の説明 |
| 4 | ✗ | 不服申立ての手続とは別 |
オリジナル問題2(審査基準との違い)
処分基準の設定・公表に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 処分基準は、その設定も公表も、行政庁に課された義務であるとされている
- 処分基準は、設定は義務であるが、公表のほうは努力義務にとどまるとされる
- 処分基準は、申請の審査基準と同じく、設定そのものが義務であるとされる
- 処分基準は、設定も公表も努力義務であり、審査基準とは義務の強さが異なる
解答は 4 です。
処分基準は、設定も公表も努力義務で、設定が義務の審査基準とは義務の強さが違います。「不利益処分の基準は努力義務」と覚えましょう。
選択肢1の「設定も公表も義務」、選択肢2の「設定は義務」、選択肢3の「設定が義務」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 設定も公表も努力義務 |
| 2 | ✗ | 設定も努力義務 |
| 3 | ✗ | 設定が義務なのは審査基準 |
| 4 | ✓ | 設定も公表も努力義務で正しい |
オリジナル問題3(公表基準からの逸脱)
公表した処分基準に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 処分基準は努力義務なので、公表した基準と異なる処分も常に自由であるとされる
- 公表された処分基準と異なる処分は、合理的な理由がなければ違法となりうる
- 公表した処分基準は、いかなる場合も行政庁を一切拘束しないものとされている
- 処分基準を公表する努力義務は、脱法行為を助けるために定められたとされる
解答は 2 です。
いったん公表した処分基準と異なる処分は、合理的な理由がなければ裁量権の逸脱・濫用として違法となりえます。「努力義務だから自由」ではない、という点に注意しましょう。
選択肢1の「常に自由」、選択肢3の「一切拘束しない」、選択肢4の「脱法を助けるため」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 理由なき逸脱は違法となりうる |
| 2 | ✓ | 合理的理由なき逸脱は違法となりうるで正しい |
| 3 | ✗ | 公表基準には一定の重みがある |
| 4 | ✗ | 努力義務は脱法を防ぐ趣旨 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 意味 = 不利益処分をするかどうか・どんな内容にするかを判断するための基準(不利益処分のものさし)。
- 🔴 義務の強さ = 設定も公表も努力義務(審査基準は設定が義務)。
- 🟡 公表基準からの逸脱 = 公表した基準と異なる処分は、合理的な理由がなければ違法となりうる。
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執筆: SikakuQuest編集部