適用除外とは(全体像)
適用除外とは、行政手続法の規定を適用しないと決められている処分などのこと。行政手続法は手続の共通ルールだが、なじまない分野には適用しない、という線引きをしている。
主な対象は、次のようなもの。
- 国会・議会の議決による処分、裁判所の裁判 … 三権分立の尊重から。
- 刑事事件に関する処分 … 刑事訴訟のルールが別にあるため。
- 学校・刑務所・少年院などでの処分 … その施設にいる目的を達成するため。
- 外国人の出入国・難民認定など … 別の手続が用意されているため。
要するに、「ほかに専用のルールがある」「行政手続法の手続になじまない」分野が、適用除外になっている。
詳しく:地方公共団体の処分と「除外=不要ではない」
ここが心臓部。最頻出の地方公共団体の処分の扱いと、適用除外の注意点を押さえる。
地方公共団体の処分の適用関係
| 処分の根拠 | 行政手続法の適用 |
|---|---|
| 法律に基づく処分 | 原則として適用される |
| 条例・規則に基づく処分 | 適用除外(第2章・第3章) |
ここがよく問われる。地方公共団体がする処分でも、根拠が「法律」なら原則として行政手続法が適用される。一方、根拠が「条例・規則」なら適用除外となり、その地方公共団体が条例で手続を定める。地方自治を尊重して、条例ベースの処分は地元に任せる、というしくみだ。
そして、適用除外でうっかりしやすい注意点。
適用除外でも手続はゼロではない
| 誤解 | 正しい理解 |
|---|---|
| 適用除外=手続が一切不要 | 個別の法律や条例が独自の手続を定めていれば、それに従う |
「除外」という言葉から「何の手続もいらない」と思いがちだが、それは誤り。行政手続法が適用されないだけで、個別の法律や条例が独自の手続を置いていれば、その手続を守る必要がある。
わかりやすく言い換えると
つまり適用除外は「行政手続法は使わない、と決められた分野」。国会・裁判所・刑事・施設内などが代表例。
そして要するに、地方公共団体の処分は法律ベースなら原則適用・条例ベースなら除外。さらに、除外でも個別法や条例の手続には従う(手続ゼロではない)、と押さえる。
試験のツボ
🔴 一番出る:地方公共団体の処分
①法律に基づく処分 = 原則として行政手続法が適用される
②条例・規則に基づく処分 = 適用除外(第2章・第3章)
🔴 次に出る:適用除外の代表例
国会・議会の議決、裁判所の裁判、刑事事件に関する処分、施設内の処分など。
🟡 押さえると安定:除外=手続ゼロではない
行政手続法が適用されないだけで、個別法や条例の手続には従う。
よくある間違い
①「地方公共団体の処分は、すべて行政手続法の適用除外」→ ✗ 法律に基づく処分は原則適用。適用除外は条例・規則に基づく処分など。
②「適用除外なら、どんな手続もいらない」→ ✗ 行政手続法が適用されないだけ。個別法や条例の手続があればそれに従う。
③「刑事事件に関する処分にも、行政手続法がそのまま適用される」→ ✗ 刑事事件に関する処分は適用除外。刑事訴訟のルールが別にある。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(適用除外の意味)
行政手続法の適用除外に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 適用除外とは、行政手続法をすべての処分に等しく適用することを意味するものとされる
- 適用除外とは、いったん行った処分を後から取り消すことを意味するものとされている
- 適用除外とは、国会や裁判所の行為など、行政手続法の規定を適用しない処分等のこと
- 適用除外とは、行政手続法を個別の法律に優先して適用することをいうものとされる
解答は 3 です。
適用除外とは、国会や裁判所の行為など、行政手続法の規定を適用しないと決められている処分などのことです。ほかに専用のルールがある分野などが対象になります。
選択肢1の「すべてに適用」、選択肢2の「処分の取消し」、選択肢4の「個別法に優先して適用」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 適用除外は適用しない処分の話 |
| 2 | ✗ | 取消しとは別の概念 |
| 3 | ✓ | 適用しない処分等のことで正しい |
| 4 | ✗ | 行政手続法は一般法で個別法が優先 |
オリジナル問題2(地方公共団体の処分)
地方公共団体の処分と行政手続法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 地方公共団体の処分でも、法律に基づくものは、原則として行政手続法が適用される
- 地方公共団体がする処分は、その根拠を問わずすべて行政手続法の適用除外とされる
- 地方公共団体の条例に基づく処分にも、行政手続法がそのまま適用されるものとされる
- 地方公共団体の処分は、法律に基づくものも条例に基づくものも適用除外とされている
解答は 1 です。
地方公共団体の処分でも、法律に基づくものは原則として行政手続法が適用されます。条例・規則に基づく処分が適用除外になる、という区別がポイントです。
選択肢2の「根拠を問わず全部除外」、選択肢3の「条例に基づく処分にも適用」、選択肢4の「すべて除外」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 法律に基づく処分は原則適用で正しい |
| 2 | ✗ | 法律に基づく処分は原則適用 |
| 3 | ✗ | 条例に基づく処分は適用除外 |
| 4 | ✗ | 法律に基づくものは原則適用 |
オリジナル問題3(除外でも手続はある)
適用除外となる処分の手続に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 適用除外となる処分には、いかなる手続規定も適用されず、手続は一切不要とされる
- 適用除外であっても、個別の法律や条例が独自の手続を定めていれば、それに従う
- 適用除外となる処分は、行政手続法も個別法も条例も、すべて適用されるとされる
- 適用除外となる処分では、行政庁が手続を完全に省略する義務を負うものとされる
解答は 2 です。
適用除外でも、個別の法律や条例が独自の手続を定めていれば、それに従う必要があります。「除外=手続が一切不要」ではない、という点に注意しましょう。
選択肢1の「手続は一切不要」、選択肢3の「すべて適用される」、選択肢4の「省略する義務」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 個別法・条例の手続には従う |
| 2 | ✓ | 個別法・条例の手続に従うで正しい |
| 3 | ✗ | 行政手続法は適用されない |
| 4 | ✗ | 省略義務を負うわけではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 地方公共団体の処分 = 法律に基づくものは原則適用、条例・規則に基づくものは適用除外。
- 🔴 代表例 = 国会・議会の議決、裁判所の裁判、刑事事件に関する処分、施設内の処分など。
- 🟡 除外=手続ゼロではない = 行政手続法が適用されないだけで、個別法や条例の手続には従う。
次に学ぶ
- 行政手続法の目的 ── 適用除外の前提となる、行政手続法の全体像と一般法の位置づけ。
- 行政行為(行政処分) ── 適用除外の対象となる「処分」とは何かを押さえる。
- 公定力 ── 行政行為がもつ効力。手続のルールとあわせて理解する。
執筆: SikakuQuest編集部