審査請求とは(全体像)
審査請求とは、行政庁の違法または不当な処分(その他公権力の行使)や、法令に基づく申請に対する不作為について、不服のある人が、その是正を求める不服申立てのこと。
申立先は、原則として最上級行政庁(処分をした行政庁の上級行政庁のいちばん上)。なお、かつては「異議申立て・審査請求・再審査請求」の三本立てだったが、改正で原則として審査請求に一元化された。
押さえどころは2つ。①違法だけでなく「不当」も主張できること、②取消訴訟とは自由に選べること。順番に見ていく。
詳しく:「不当」も主張できる・自由選択主義
ここが心臓部。審査請求の強み(不当も主張可)と、訴訟との関係を押さえる。
審査請求と取消訴訟のちがい
| 主張できること | 判断する機関 | |
|---|---|---|
| 審査請求 | 違法+不当 | 行政機関(最上級行政庁など) |
| 取消訴訟 | 違法のみ | 裁判所 |
まず「不当」も主張できること。取消訴訟(裁判)で争えるのは違法だけ。一方、審査請求は違法に加えて「不当」(違法とまではいえないが妥当でない、という裁量の問題)も主張できる。ここが、裁判による救済にはない、審査請求の強みだ。
次に自由選択主義。
審査請求と訴訟の関係
| 原則 | 例外 |
|---|---|
| 自由選択(どちらを先に行ってもよい) | 個別の法律が「審査請求が先」と定める場合(不服申立前置) |
審査請求と取消訴訟は、原則としてどちらを先に行ってもよい(自由選択主義)。「裁判の前に必ず審査請求をしないといけない」わけではない。ただし、個別の法律が「先に審査請求を」と定めているとき(不服申立前置)は、その例外になる。
わかりやすく言い換えると
つまり審査請求は「役所に対して、おかしい処分の見直しを求める不服申立て」。裁判と違って「不当」まで主張でき、裁判とはどちらを先にしてもよいのが原則だ。
要するに押さえどころは2つ。①違法だけでなく不当も主張できる(取消訴訟は違法のみ)、②取消訴訟とは自由選択が原則(前置は個別法の例外)。
試験のツボ
🔴 一番出る:違法だけでなく「不当」も主張できる
①審査請求 = 違法+不当を主張できる
②取消訴訟 = 違法のみ。不当主張は審査請求ならではの強み
🔴 次に出る:自由選択主義
審査請求と取消訴訟は、原則としてどちらを先に行ってもよい。前置は個別法の例外。
🟡 押さえると安定:一元化と申立先
改正で原則として審査請求に一元化。申立先は原則として最上級行政庁。
よくある間違い
①「審査請求では、違法しか主張できない」→ ✗ 違法に加えて「不当」も主張できる。これが裁判にはない強み。
②「審査請求は、取消訴訟の前に必ず行わなければならない」→ ✗ 原則は自由選択。前置が必要なのは個別法が定める例外のときだけ。
③「審査請求の対象は、処分だけ」→ ✗ 申請に対する不作為(応答しないこと)も対象になる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(審査請求の意味)
審査請求に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 審査請求とは、私人どうしの紛争を裁判所が解決する民事訴訟をいうものとされる
- 審査請求とは、行政機関が私人に一定の行為を求める行政指導をいうものとされる
- 審査請求とは、命令等の案について広く一般から意見を募る手続をいうものとされる
- 審査請求とは、違法・不当な処分などについて、行政機関に是正を求める不服申立て
解答は 4 です。
審査請求とは、違法または不当な処分などについて、不服のある人が行政機関に是正を求める不服申立てです。申立先は、原則として最上級行政庁です。
選択肢1の「民事訴訟」、選択肢2の「行政指導」、選択肢3の「意見公募手続」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 私人間の民事訴訟とは別 |
| 2 | ✗ | 行政指導とは別 |
| 3 | ✗ | パブコメとは別 |
| 4 | ✓ | 違法・不当な処分への不服申立てで正しい |
オリジナル問題2(違法と不当)
審査請求で主張できることに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 審査請求では、処分が違法であることに加えて、不当であることも主張できる
- 審査請求では、処分の違法は主張できるが、不当は主張できないものとされる
- 審査請求では、処分の不当だけを主張でき、違法は主張できないものとされる
- 審査請求では、処分の違法も不当も、いっさい主張できないものとされている
解答は 1 です。
審査請求では、処分の違法だけでなく、不当であることも主張できます。取消訴訟(裁判)で争えるのは違法だけなので、ここが審査請求の強みです。
選択肢2の「不当は主張できない」、選択肢3の「不当だけ」、選択肢4の「いっさい主張できない」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 違法+不当を主張できるで正しい |
| 2 | ✗ | 不当も主張できる |
| 3 | ✗ | 違法も主張できる |
| 4 | ✗ | 違法・不当を主張できる |
オリジナル問題3(自由選択主義)
審査請求と取消訴訟の関係に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 審査請求は、取消訴訟を起こす前に必ず経なければならないものとされている
- 審査請求と取消訴訟は、原則としてどちらを先に行ってもよいものとされる
- 審査請求をすると、もう取消訴訟を起こすことはできなくなるものとされる
- 審査請求は、取消訴訟のあとでなければ行えないものとされている
解答は 2 です。
審査請求と取消訴訟は、原則としてどちらを先に行ってもよいとされています(自由選択主義)。前置が必要なのは、個別の法律が定める例外のときだけです。
選択肢1の「必ず先に審査請求」、選択肢3の「訴訟ができなくなる」、選択肢4の「訴訟のあとでなければ」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 前置は個別法の例外で原則ではない |
| 2 | ✓ | 原則として自由選択で正しい |
| 3 | ✗ | 審査請求後も取消訴訟はできる |
| 4 | ✗ | 順序は原則として自由 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 意味 = 違法・不当な処分や不作為について、原則として最上級行政庁に是正を求める不服申立て。
- 🔴 違法+不当 = 審査請求は違法だけでなく不当も主張できる(取消訴訟は違法のみ)。
- 🟡 自由選択主義 = 取消訴訟とどちらを先に行ってもよいのが原則(前置は個別法の例外)。
次に学ぶ
- 行政行為(行政処分) ── 審査請求の対象となる「処分」とは何かを押さえる。
- 不利益処分 ── 審査請求で争われることの多い、権利を制限する処分。
- 行政手続法の目的 ── 処分の手続を定める行政手続法。救済の前段にあたる。
執筆: SikakuQuest編集部