審査請求人とは(全体像)
審査請求人とは、行政庁の処分または不作為に不服があり、審査請求をする人のこと。
ただし、不服があれば誰でも審査請求できるわけではない。審査請求人になれる資格(不服申立適格)は、その処分の取消しなどを求めるにつき「法律上の利益」をもつ人に認められる。これは、取消訴訟の原告適格と同じ基準だ。
押さえどころは2つ。①法律上の利益があれば、処分の相手方でない第三者でもなれること、②法人でない団体でも、一定の場合はその名で請求できること。
詳しく:第三者の適格と団体の扱い
ここが心臓部。第三者の適格と、法人でない団体の取扱いを押さえる。
審査請求人になれる人
| 立場 | なれるか |
|---|---|
| 処分の直接の相手方 | なれる(法律上の利益が明確) |
| 第三者 | 法律上の利益があればなれる(例:近隣住民) |
まず第三者。審査請求人になれるのは、処分の直接の相手方だけではない。たとえば、建築確認を争う近隣住民のように、処分の相手方でない第三者でも、法律上の利益があれば審査請求人になれる。「相手方しかなれない」と思い込まないことが大切だ。
次に法人でない団体。
法人でない社団・財団
| 条件 | 扱い |
|---|---|
| 代表者・管理人の定めがある | その社団・財団の名で審査請求できる |
法人格をもたない社団・財団でも、代表者または管理人の定めがあれば、その団体の名で審査請求できる。なお、多数人が共通の利益で請求するときは総代を選べるし、代理人を立てることもできる。
わかりやすく言い換えると
つまり審査請求人は「法律上の利益をもって、不服を申し立てる人」。相手方でない第三者でも利益があればなれるし、法人でない団体も一定の場合はその名でなれる。
要するに押さえどころは2つ。①適格は法律上の利益をもつ人(取消訴訟の原告適格と同基準)で、第三者でもなれる、②法人でない社団でも代表者の定めがあればその名で請求できる。
試験のツボ
🔴 一番出る:不服申立適格は「法律上の利益」
①審査請求人になれるのは、法律上の利益をもつ人
②取消訴訟の原告適格と同じ基準で判断する
🔴 次に出る:第三者でもなれる
処分の相手方でなくても、法律上の利益があれば審査請求人になれる。
🟡 押さえると安定:法人でない団体
代表者・管理人の定めがあれば、その社団・財団の名で審査請求できる。
よくある間違い
①「審査請求人になれるのは、処分の相手方だけ」→ ✗ 法律上の利益があれば、第三者でもなれる(原告適格と同じ基準)。
②「不服があれば、だれでも審査請求人になれる」→ ✗ なれるのは、法律上の利益をもつ人だけ。
③「法人でない社団は、審査請求人になれない」→ ✗ 代表者・管理人の定めがあれば、その名で審査請求できる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(審査請求人の意味)
審査請求人に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 審査請求人とは、処分に不服があり審査請求をする、法律上の利益をもつ者
- 審査請求人とは、審査請求を受けて裁決を行う行政庁をいうものとされている
- 審査請求人とは、処分をした行政庁そのものをいうものとされている
- 審査請求人とは、審査請求を補助する代理人だけをいうものとされている
解答は 1 です。
審査請求人とは、処分などに不服があり審査請求をする、法律上の利益をもつ人です。不服があればだれでもなれるわけではない点に注意しましょう。
選択肢2の「裁決を行う行政庁」、選択肢3の「処分をした行政庁」、選択肢4の「代理人だけ」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 法律上の利益をもち審査請求をする人で正しい |
| 2 | ✗ | 裁決をするのは審査庁 |
| 3 | ✗ | 処分庁とは別 |
| 4 | ✗ | 代理人だけを指すのではない |
オリジナル問題2(第三者の適格)
審査請求人になれる人に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 審査請求人になれるのは、処分の直接の相手方に限られるものとされている
- 審査請求人になれるのは、法律上の利益がなくても、だれでもよいとされている
- 第三者は、法律上の利益があっても、審査請求人になれないものとされている
- 処分の直接の相手方でなくても、法律上の利益があれば審査請求人になれる
解答は 4 です。
処分の相手方でなくても、法律上の利益があれば審査請求人になれます。たとえば建築確認を争う近隣住民のような第三者も、利益があれば認められます。
選択肢1の「相手方だけ」、選択肢2の「だれでもよい」、選択肢3の「第三者はなれない」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 第三者でも利益があればなれる |
| 2 | ✗ | 法律上の利益が必要 |
| 3 | ✗ | 利益があれば第三者でもなれる |
| 4 | ✓ | 利益があれば第三者でもなれるで正しい |
オリジナル問題3(法人でない団体)
法人でない社団と審査請求に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 法人でない社団は、代表者の定めがあっても審査請求人になれないとされる
- 法人でない社団でも、代表者などの定めがあれば、その名で審査請求できる
- 法人でない社団は、いかなる場合も審査請求の当事者にはなれないとされる
- 審査請求は、必ず個人が一人で行わなければならないものとされている
解答は 2 です。
法人でない社団でも、代表者または管理人の定めがあれば、その社団の名で審査請求できます。法人格がなくても当事者になれる場合がある、という点に注意しましょう。
選択肢1の「定めがあってもなれない」、選択肢3の「いかなる場合もなれない」、選択肢4の「必ず個人一人で」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 代表者の定めがあればその名で可 |
| 2 | ✓ | 代表者の定めがあればその名で請求できるで正しい |
| 3 | ✗ | 一定の場合は当事者になれる |
| 4 | ✗ | 団体や複数人でも請求できる |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 意味 = 処分や不作為に不服があり審査請求をする人。適格は法律上の利益をもつ人。
- 🔴 第三者でもなれる = 法律上の利益があれば、処分の相手方でない第三者でも適格(原告適格と同基準)。
- 🟡 法人でない団体 = 代表者・管理人の定めがあれば、その社団・財団の名で審査請求できる。
次に学ぶ
- 審査請求 ── 審査請求人が行う、不服申立ての基本のしくみ。
- 行政行為(行政処分) ── 審査請求の対象となる「処分」とは何かを押さえる。
- 不利益処分 ── 審査請求で争われることの多い、権利を制限する処分。
執筆: SikakuQuest編集部