株式会社の設立とは(全体像)
商法の会社の出発、それが設立である。株式会社の設立とは、株式会社という法人を、新たに成立させる手続をいう。定款を作り、出資を集め、最後に登記して会社を世に生み出すまでの一連の流れである。
押さえるべきは、設立には2つの方式があることである。
- 発起設立 … 発起人が、設立時の株式の全部を引き受ける方式。
- 募集設立 … 発起人が一部を引き受け、残りを広く募集する方式。
「募集設立は、発起人がいなくてもできる」と思い込んではならない。募集設立でも発起人は必要で、少なくとも一部は発起人が引き受けるのである。
詳しく:2つの方式と、設立の流れ
ここが核心である。腰を据えて見極めるがよい。問われるのは、方式の区別と、手続の流れ、そして法人成立の時点である。
2つの設立方式
| 方式 | だれが株式を引き受けるか |
|---|---|
| 発起設立 | 発起人が設立時の株式の全部を引き受ける |
| 募集設立 | 発起人が一部を引き受け、残りを募集する |
まず方式である。発起設立は、発起人だけで全部の株式を引き受ける方式である。募集設立は、発起人が一部を引き受け、足りない分を外から募集する方式である。どちらも発起人は欠かせない。
次に手続の流れである。
設立手続の流れ
| 順 | 手続 |
|---|---|
| ① | 発起人が定款を作成する |
| ② | 公証人の認証を受ける |
| ③ | 出資を履行する |
| ④ | 設立時の役員を選任する |
| ⑤ | 設立の経過を調査する |
| ⑥ | 設立登記をして会社が成立する |
定款を作り、公証人の認証を受け、出資を済ませ、役員を選び、経過を調べ、最後に設立登記をする。この登記によって、会社は法人格を取得して成立する。
そして一番のヤマである。会社が成立するのは、設立登記の時点である。定款の認証を受けた時点でも、出資が済んだ時点でもない。「認証で会社ができる」と思い込まないことである。
わかりやすく言い換えると
要するに、株式会社の設立とは「会社という法人を、登記でこの世に生み出すまでの手続」である。
つまり、①集め方が2通り。発起設立は、発起人だけで全部の株を持つ身内型。募集設立は、発起人が一部を持ち、足りない分を外から集める公募型である。どちらも発起人がいないと始まらない。
②流れは、定款づくり→認証→出資→役員選び→調査→登記。設計図(定款)を作り、お金を入れ、最後に役所へ届け出る(登記)イメージである。
③そして肝心なのは、会社が「生まれる」のは登記の瞬間だということ。設計図に判(認証)をもらった時点ではない。登記してはじめて、会社は法人として動き出す、と心得るがよい。
試験のツボ
🔴 一番出る:法人成立は設立登記の時点
①会社が法人格を得て成立するのは設立登記の時
②定款の認証の時点では成立しない
🔴 次に出る:発起設立と募集設立
①発起設立=発起人が全株式を引き受ける
②募集設立=発起人が一部を引き受け、残りを募集する
🟡 押さえると安定:発起人は必ず必要
①募集設立でも発起人は必要
②少なくとも一部は発起人が引き受ける
よくある間違い
①「会社は定款の認証を受けた時点で成立する」→ ✗ 会社が成立するのは設立登記の時点。認証は手続の一つにすぎない。
②「募集設立は、発起人がいなくてもできる」→ ✗ 募集設立でも発起人は必要で、少なくとも一部は発起人が引き受ける。
③「発起設立では、発起人以外の者も必ず株式を引き受ける」→ ✗ 発起設立は発起人だけで全株式を引き受ける方式である。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(設立の方式)
株式会社の設立の方式に関する記述として、正しいものはどれか。
- 設立の方式は募集設立の一種類だけで、発起設立という方式は存在しないものとされる
- 発起設立も募集設立も、発起人が一人もいなくても進められるものとされている
- 設立の方式は国が指定するもので、設立する側は選ぶことができないものとされる
- 設立には発起設立と募集設立の2つの方式があり、いずれも発起人を必要とする
解答は 4 である。
理を解き明かそう。株式会社の設立には、発起設立と募集設立の2つの方式がある。そして、いずれも発起人を必要とするのである。
選択肢2のように「発起人が一人もいなくても」進められるのではない。発起人は欠かせないと心得るがよい。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 発起設立と募集設立の2方式がある |
| 2 | ✗ | いずれも発起人を必要とする |
| 3 | ✗ | 国が方式を指定するものではない |
| 4 | ✓ | 2方式があり、いずれも発起人が必要 |
オリジナル問題2(発起設立と募集設立の区別)
発起設立と募集設立の区別に関する記述として、正しいものはどれか。
- 発起設立は株式を募集する方式で、募集設立は発起人が全株を引き受ける方式とされる
- 発起設立は発起人が全株式を引き受け、募集設立は一部を引き受け残りを募集する
- 発起設立も募集設立も、株式を引き受ける者に違いはないものとされている
- 発起設立は国の出資を受ける方式で、募集設立は受けない方式であるものとされる
解答は 2 である。
本質を見極めよう。発起設立は、発起人が全株式を引き受ける方式である。募集設立は、発起人が一部を引き受け、残りを募集する方式である。
選択肢1は両者を逆にした誤りである。「発起設立=全部、募集設立=一部+募集」と押さえるがよい。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 発起設立と募集設立の説明が逆 |
| 2 | ✓ | 発起設立は全株引受、募集設立は一部+募集 |
| 3 | ✗ | 引き受ける者の範囲に違いがある |
| 4 | ✗ | 国の出資の有無で分かれるのではない |
オリジナル問題3(法人成立の時点)
株式会社が成立する(法人格を取得する)時点に関する記述として、正しいものはどれか。
- 公証人による定款の認証を受けた時点で、会社が成立するものとされている
- 発起人が出資を履行し終えた時点で、会社が成立するものとされている
- 設立登記をした時点で、会社が法人格を取得して成立するものである
- 設立時の役員を選任した時点で、会社が成立するものとされている
解答は 3 である。
高みより理を見渡そう。株式会社が成立し、法人格を取得するのは、設立登記をした時点である。定款の認証の時でも、出資が済んだ時でもないのである。
選択肢1のように「認証の時点」で成立するのではない。登記をもって会社が生まれると押さえるがよい。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 認証は手続の一つで、成立時点ではない |
| 2 | ✗ | 出資の履行だけでは成立しない |
| 3 | ✓ | 設立登記により法人格を取得して成立する |
| 4 | ✗ | 役員選任の時点で成立するのではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 法人成立の時点 = 会社が成立するのは設立登記の時。定款認証の時点ではない。
- 🔴 2つの方式 = 発起設立(発起人が全株引受)と募集設立(発起人が一部引受+残りを募集)。
- 🟡 発起人は必須 = 募集設立でも発起人は必要で、少なくとも一部は発起人が引き受ける。
次に学ぶ
- 商人 ── 会社は当然に商人。設立された会社の位置づけを押さえる。
- 商号 ── 会社は設立時に商号の登記が必須。設立手続とのつながりがわかる。
- 営業譲渡 ── 会社の事業を譲るときの手続。設立後の会社の動きを押さえる。
執筆: SikakuQuest編集部