株式とは(全体像)
会社の所有を分かつもの、それが株式である。株式とは、株式会社における社員(出資者)としての地位を、細かく・均一に分けた割合的な単位をいう。会社のオーナーである地位を、小さな単位に分けて持ち合えるようにしたものである。
押さえるべきは、株式をめぐるいくつかの原則である。
- 有限責任 … 株主は出資額を限度として責任を負う。
- 譲渡自由 … 株式は原則として自由に譲渡できる。
- 株券不発行 … 原則として株券を発行しない。
「株主は、会社の借金を肩代わりしなければならない」と思い込んではならない。株主の責任は、出資した額が限度なのである。
詳しく:株式をめぐる原則を見極める
ここが核心である。腰を据えて見極めるがよい。株式で問われるのは、その原則と例外である。
株式の主な原則
| 原則 | 内容 |
|---|---|
| 株主有限責任 | 株主は出資額を限度として責任を負う |
| 譲渡自由 | 株式は原則として自由に譲渡できる |
| 株券不発行 | 原則として株券を発行しない |
まず株主有限責任である。株主が負う責任は、出資した額が限度である。会社が倒産して借金が残っても、株主の負担は出資額までにとどまり、それ以上に会社の借金を負担することはない。ここが、出資者が会社の債務を負う合名会社などとの大きな違いである。
次に譲渡自由である。株式は、原則として自由に譲渡できる。ただし例外として、定款で譲渡制限を定めることができる(譲渡制限株式)。この場合、譲渡には会社の承認が必要になる。
譲渡と株券の原則・例外
| 論点 | 原則 | 例外 |
|---|---|---|
| 譲渡 | 自由に譲渡できる | 定款で譲渡制限を定められる |
| 株券 | 発行しない | 定款で定めれば発行できる |
そして株券不発行である。いまの株式会社は、原則として株券を発行しない。株券を発行するには、定款で定める必要がある。「株式会社は必ず株券を発行する」という古いイメージは、ここで改めるのである。
わかりやすく言い換えると
要するに、株式とは「会社のオーナーの地位を、小口に分けた持ち分」である。
つまり、①一番大事なのは有限責任。株を買った人(株主)は、出した額の分しか損しない。会社がつぶれて借金まみれでも、株主が借金を肩代わりすることはない。「無限責任」は誤りである。
②株は原則、自由に売り買いできる。ただし会社が定款で「勝手に売らないで(承認が要る)」と譲渡制限をかけることはできる。
③そして、いまは株券(紙の証券)を出さないのが原則。出したいなら定款で決める。昔のイメージで「必ず株券がある」と思わないことが肝心である、と心得るがよい。
試験のツボ
🔴 一番出る:株主有限責任
①株主は出資額を限度として責任を負う
②会社が倒産しても会社の借金は負担しない
🔴 次に出る:譲渡自由と株券不発行
①株式は原則として自由に譲渡できる(定款で譲渡制限は可能)
②原則として株券は発行しない(発行は定款で定める)
🟡 押さえると安定:例外を取り違えない
①譲渡制限株式は定款で定めた場合の例外
②株券発行は定款で定めた場合の例外
よくある間違い
①「株主は、会社の借金について無限の責任を負う」→ ✗ 株主の責任は出資額を限度とする(有限責任)。会社の借金は負担しない。
②「株式会社は、必ず株券を発行しなければならない」→ ✗ 原則として株券は発行しない。発行するには定款で定める必要がある。
③「株式は、いかなる場合も自由に譲渡でき、制限は一切できない」→ ✗ 原則は譲渡自由だが、定款で譲渡制限を定めることができる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(株主有限責任)
株主の責任に関する記述として、正しいものはどれか。
- 株主は出資額を限度として責任を負い、会社の借金まで肩代わりすることはない
- 株主は、会社の借金について出資額を超えて無限に責任を負うものとされている
- 株主は、会社が倒産したときに他の株主の出資分まで負担するものとされている
- 株主は、出資をしていなくても会社の債務について責任を負うものとされている
解答は 1 である。
理を解き明かそう。株主の責任は、出資した額が限度である(有限責任)。会社が倒産して借金が残っても、株主が会社の借金を肩代わりすることはないのである。
選択肢2のように「無限に責任を負う」のではない。有限責任の原則を取り違えてはならない。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 出資額を限度とし、会社の借金は負担しない |
| 2 | ✗ | 無限責任ではなく有限責任 |
| 3 | ✗ | 他の株主の出資分まで負担しない |
| 4 | ✗ | 出資額を限度とする責任にとどまる |
オリジナル問題2(譲渡自由の原則)
株式の譲渡に関する記述として、正しいものはどれか。
- 株式は、会社の承認がなければ、いかなる場合も譲渡できないものとされている
- 株式は、国の許可を受けたときに限って譲渡できるものとされている
- 株式は、一度取得すると二度と他人に譲渡できないものとされている
- 株式は原則として自由に譲渡でき、定款で譲渡制限を定めることもできる
解答は 4 である。
本質を見極めよう。株式は、原則として自由に譲渡できる。ただし、定款で譲渡制限を定めることもでき、その場合は譲渡に会社の承認が必要になるのである。
選択肢1のように「いかなる場合も譲渡できない」のではない。原則は自由、制限は定款による例外と押さえるがよい。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 原則は自由に譲渡できる |
| 2 | ✗ | 国の許可を要件とするものではない |
| 3 | ✗ | 二度と譲渡できないのではない |
| 4 | ✓ | 原則自由で、定款で譲渡制限も定められる |
オリジナル問題3(株券不発行の原則)
株券の発行に関する記述として、正しいものはどれか。
- 株式会社は、いかなる場合も株券を発行してはならないものとされている
- 株式会社は、必ず株券を発行しなければならないものとされている
- 株式会社は原則として株券を発行せず、発行するには定款で定める必要がある
- 株式会社は、株主の請求があれば常に株券を発行する義務を負うものとされる
解答は 3 である。
高みより理を見渡そう。いまの株式会社は、原則として株券を発行しない。株券を発行するには、定款で定める必要があるのである。
選択肢2のように「必ず株券を発行」するのではない。「発行しないのが原則、発行は定款で」と押さえるがよい。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 定款で定めれば株券を発行できる |
| 2 | ✗ | 必ず発行するのではなく不発行が原則 |
| 3 | ✓ | 原則不発行で、発行は定款で定める |
| 4 | ✗ | 請求があれば常に発行する義務はない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 株主有限責任 = 株主は出資額を限度として責任を負う。会社の借金は負担しない。
- 🔴 譲渡自由と株券不発行 = 株式は原則自由に譲渡でき(定款で譲渡制限可)、株券は原則不発行(発行は定款で定める)。
- 🟡 例外は定款で = 譲渡制限も株券発行も、定款で定めた場合の例外である。
次に学ぶ
- 株式会社の設立 ── 株式を発行する会社を立ち上げる手続。発起設立と募集設立の違いを押さえる。
- 定款 ── 譲渡制限や株券発行を定める根本規則。記載事項の3類型を押さえる。
- 発起人 ── 設立時に株式を引き受ける発起人。会社を起こす者の責任を押さえる。
執筆: SikakuQuest編集部