まず全体像——6分野は「均等」ではない
まず、FP試験は次の6分野から出題されます。「ライフプランニングと資金計画」「リスク管理(保険)」「金融資産運用」「タックスプランニング(税金)」「不動産」「相続・事業承継」の6つです。
ここで大事なのは、この6つを、同じ重さで勉強する必要はないということ。分野ごとに、難しさも、覚え方も、ぜんぜん違います。計算が中心の分野もあれば、暗記でほぼ乗り切れる分野もある。
だから、攻略のコツは「強弱をつけること」。すべてを平らに完璧にしようとすると、時間がいくらあっても足りません。つまずきやすいところに厚く、軽い分野はサッと——このメリハリが、合格への近道になります。つまり、6分野は「平等に」ではなく「不平等に」攻めるのが正解、ということですね。
これは、心理学でいう「学習順序」の考え方とも通じます。やみくもに端から覚えるより、土台から積んで、難所に時間を寄せる。順番と配分を設計するだけで、同じ勉強時間でも、ぐっと効率が変わるんです。
ざっくり3つの色に分けると、全体像はこんなイメージになります。
6分野を3つの色で分けると
| 色分け | 分野 | 性格 | 力の入れ方 |
|---|---|---|---|
| 土台 | ライフプランニング | 身近・全体像。一部に計算 | 最初に固める |
| 難所 | 税金・金融・不動産 | 計算と制度が重なる | 時間を厚く・早めに |
| 暗記 | 保険・相続 | 暗記中心で対策しやすい | スキマでコツコツ |
表で見ると、力を入れるべき場所がはっきりしますよね。では、この3つの色を、一つずつ見ていきましょう。
土台になる分野——「ライフプランニング」から
まず、すべての出発点になるのが「ライフプランニングと資金計画」です。ここは、家計のお金の流れを描く、いちばん身近な分野。最初に手をつけるのに、うってつけです。
ライフプランニングでは、人生のお金の計画を立てる基本を学びます。キャッシュフロー表で将来のお金の出入りを読んだり、社会保険や年金の基礎を押さえたり。生活に直結する話が多いので、初学者でも入りやすいんですよね。
ただし、油断は禁物の一点があります。それが6つの係数という計算。お金を増やしたり、将来の額を求めたりする道具で、ここで身構える人が一定数います。とはいえ、パターンを覚えれば乗り越えられる範囲。この分野を最初の土台として固めると、ほかの分野の理解も速くなります。
順番としては、ここを起点に置くのがおすすめ。家計という幹から、保険・税金・年金へと枝を伸ばしていくと、知識がつながって覚えやすくなります。
つまずきやすい難所——計算が絡む「税金・金融・不動産」
次が、いちばん力を入れたい「難所」です。それは、計算が絡んでくる分野たち——「タックスプランニング(税金)」「金融資産運用」「不動産」。この3つは、暗記だけでは突破できず、手を動かす練習が要ります。
なかでも多くの人が苦戦するのが、税金の分野です。所得の種類、各種の控除、税額の計算……覚えることが多いうえに、住宅ローン控除のように、具体的な金額を出す問題も出てきます。ここは、過去問を繰り返して「計算の手順」を体に入れるのが近道です。
金融資産運用も、似た性格。利回りの計算や、新NISAのような制度の理解が問われます。制度はちょくちょく変わるので、最新の内容を押さえておくのが大切。不動産も、法律のルールと税金の計算が重なって、込み入って見える分野です。
これら3つは、まとめて「計算と制度の難所」と捉え、学習時間の多くをここに振り向けるのが効率的。逆に言えば、ここさえ乗り越えれば、合格はぐっと近づきます。苦手を直前に残さず、早めにぶつかっておくのがコツです。
なお、計算と聞くと身構えるかもしれませんが、FPの計算は、決まった手順をなぞれば答えが出るものがほとんど。電卓を使える前提で、高度な数学は要りません。必要なのはセンスではなく、繰り返しによる慣れです。だから、難所とはいっても、時間をかけた人がちゃんと報われる分野でもある。苦手意識のある人ほど、ここは伸びしろだと思って、腰を据えて向き合ってみてください。
暗記でしのげる分野——「保険」と「相続」は軽やかに
最後が、比較的「軽め」に回せる分野。「リスク管理(保険)」と「相続・事業承継」です。この2つは、計算より暗記の比重が大きく、コツコツ覚えれば得点源にしやすい。
保険の分野は、生命保険や損害保険のしくみ、税金との関係などが中心。種類は多いものの、一つひとつは難解ではありません。図でイメージをつかみながら、用語と特徴をセットで覚えていくと、しっかり身につきます。
相続・事業承継は、出題の範囲がやや絞られていて、パターンも比較的つかみやすい分野です。相続の基本的な流れや、財産の評価、贈与との関係などを押さえれば、得点が安定しやすい。
この2分野は、難所ほど時間をかけなくても大丈夫。スキマ時間に暗記を回すのと相性がいいので、通勤中などにコツコツ覚える、という使い方が向いています。要するに、机に向かう貴重な時間は計算の難所に、暗記はスキマで——という役割分担が、効率を上げてくれます。
ただ、一つ補っておきたいことが。「暗記系=楽」とは言っても、量そのものは決して少なくありません。保険の特約の種類や、相続の細かいルールは、覚える項目がそれなりにある。あくまで「計算の難所に比べれば、対策が立てやすい」という意味だと受け止めてください。油断して直前まで放っておくと、案外そこで点を落とすこともあります。
得意・苦手は人それぞれ——まず過去問で確かめる
ここまで「一般的な難易度」の話をしてきましたが、大事な注意を一つ。難しさの感じ方は、人によって変わります。
たとえば、保険会社で働いている人なら、難所のはずの保険分野がいちばんの得意科目になります。逆に、数字が大の苦手な人にとっては、税金や金融の計算は、平均よりずっと重く感じるかもしれません。あなたの背景しだいで、難所と得意分野の地図は、いくらでも書き換わるんです。
だからこそ、おすすめしたいのが、早い段階で各分野の過去問を1回ずつ解いてみること。実際に解くと、「ここは意外といける」「ここは思ったより手強い」という、自分だけの感触がつかめます。世間の難易度ランキングより、自分の手応えのほうが、配分を決める確かな材料になります。
つまり、ここで挙げた「土台→難所→暗記」は、あくまで出発点の地図。一度走ってみて、自分に合うように描き直していく——それが、いちばん納得のいく攻略法だと思います。
攻略の順番——「土台→難所→暗記」で回す
色分けが見えたところで、進める順番を整理します。おすすめは、土台のライフプランニングから入り、計算の難所に時間を厚く割き、暗記系は後半とスキマで仕上げるという流れです。
なぜこの順番か。ライフプランニングを先にやると、お金の全体像という地図が手に入ります。その地図があると、難所の税金や不動産も「どこの話か」が分かって、理解が速い。土台なしで難所に突っ込むより、ずっと負担が軽くなるんです。
そして、難所は「前半のうちに一度ぶつかっておく」のが鉄則。苦手だと分かれば、復習の回数を増やせます。直前に回すと、焦って手が回らなくなりがち。早めに着手して、何度も戻ってくる前提で時間を取りましょう。
暗記系を後半に置くのにも、理由があります。暗記したことは、時間がたつと薄れていくもの。だから、試験から近いタイミングで詰めたほうが、記憶が新鮮なまま本番を迎えられます。逆に、計算の難所は身につくまでに時間がかかるので、早く始めて熟成させる。「忘れやすいものは後ろに、身につくのに時間がかかるものは前に」——この置き方が、限られた期間を上手に使うコツです。
噛み砕いて言えば、「全部を均等に」ではなく「土台→難所→暗記」の順で、強弱をつけて回す。これだけで、6分野という大きさへの気おくれが、ずいぶん小さくなるはずです。なお各分野の制度や数字は改正で変わることがあるので、受験する年度の最新情報を公式や最新版テキストで確かめてください。
- 6分野は均等ではない。強弱をつけて回すのが攻略の鍵
- 土台=ライフプランニング。まずここを固めると理解が速い(係数の計算は注意)
- 難所=税金・金融・不動産。計算と制度。学習時間を厚く・早めに着手
- 暗記系=保険・相続。スキマ時間でコツコツが相性◎
- 順番は「土台→難所→暗記」。制度の数字は最新を確認
理解度チェック
科目別攻略の話、どれくらいつかめたか、軽く確かめてみましょう。
FP試験の6分野の勉強の進め方として、最も適切なものはどれか。
- 6分野すべてに、寸分たがわず同じだけの時間をかける
- 難しい分野に厚く、軽い分野はサッと強弱をつける
- 得意な1分野だけを、ひたすら完璧に仕上げる
- 苦手な分野は最初から捨てて、一切手をつけない
解答は 2 じゃ。
6分野は難しさが均等ではない。つまずきやすいところに厚く、軽い分野はサッと——この強弱が、合格への近道なのじゃ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 均等配分は効率が悪い |
| 2 | ✓ 正解 | 強弱をつけて回すのが近道 |
| 3 | ✗ 誤り | 1分野だけでは合格に届かない |
| 4 | ✗ 誤り | 6割狙いで全分野を拾いたい |
土台→難所→暗記の順で、メリハリをつけて進めるのじゃよ。
FP試験で、最初の土台として手をつけるのに向いた分野はどれか。
- いちばん計算が難しい、相続・事業承継の分野
- 暗記がまったく不要で、勉強もいらない分野
- 家計の全体像をつかむ、ライフプランニング
- 試験に出ないので、まるごと飛ばしてよい分野
解答は 3 じゃ。
ライフプランニングは家計の全体像をつかむ土台。ここを先に固めると、お金の地図が手に入り、ほかの分野の理解も速くなるのじゃ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 相続は土台というより暗記系 |
| 2 | ✗ 誤り | 勉強のいらない分野はない |
| 3 | ✓ 正解 | 家計の全体像をつかむ土台 |
| 4 | ✗ 誤り | 飛ばしてよい分野ではない |
幹から枝へ——土台を起点に広げると覚えやすいのじゃよ。
計算が絡む税金・金融・不動産の分野の扱いとして、最も適切なものはどれか。
- 学習時間を厚めにとり、早めに着手しておく
- いちばん簡単なので、最後にサッと流せばよい
- 暗記だけで解けるので、計算練習はいらない
- 直前期にまとめて、一気に詰め込むのがよい
解答は 1 じゃ。
計算が絡む分野は、手を動かす練習が要る難所。学習時間を厚めにとり、前半のうちに一度ぶつかっておくのが鉄則なのじゃ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ 正解 | 厚めに・早めに着手するのが鉄則 |
| 2 | ✗ 誤り | 簡単ではなく難所にあたる |
| 3 | ✗ 誤り | 計算練習が欠かせない |
| 4 | ✗ 誤り | 直前の詰め込みは間に合わない |
苦手を直前に残さない——これが計画どおり進めるコツじゃ。
「6分野、こわくなくなったかも」と思ってもらえたなら、編集部としては嬉しいです。
分野ごとの手応えを、まず1問ずつ試してみたい方は、シカクエのアプリを覗いてみるのも一つの方法です。4択を解くところから、自分の得意・苦手を少しずつ見つけられます。
もちろん、テキストと過去問でじっくり進める独学でも、まったく問題ありません。大事なのは、6分野に強弱をつけて、自分のペースで回していくことだと思います。
次に読むなら、こんな記事もどうぞ。
→ ライフプランニング — まず土台にしたい、お金の人生設計の基本 → 6つの係数 — 土台の分野でつまずきやすい、お金の計算の道具 → キャッシュフロー表 — 将来のお金の流れを一枚で読む、家計に直結する道具