キャッシュフロー表とは(全体像)
キャッシュフロー表は、家族の年度別の収入・支出・貯蓄残高を、将来にわたって推計する表のこと。ライフイベント表で整理した将来の予定を年ごとの数値に落とし込むと、いつ家計が苦しくなるか・余裕が出るかが見えてくる。
押さえるのは、次の流れ。
- まずライフイベント表で「いつ・何にお金がかかるか」を整理する。
- それを年度別の数値にしたものがキャッシュフロー表。
ポイントは変動率の扱い。物価や年収は毎年少しずつ動くので、現在の数字をそのまま並べるのではなく、変動率を掛けて将来の額を見積もる。つまり、未来の収支を「いまの数字 + 毎年の動き」で組み立てるのが、計算問題の核心になる。
詳しく:この3つの式だけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。キャッシュフロー表の計算は、次の3つの式に全部つまっている。
キャッシュフロー表の3つの式
| 求めるもの | 計算式 | ひとこと |
|---|---|---|
| n年後の価額 | 現在価額 × (1 + 変動率)^n | 物価・収入の上昇を反映(複利) |
| 年間収支 | 可処分所得 − 支出 | 年収ではなく可処分所得から引く |
| 貯蓄残高 | 前年残高 × (1 + 運用率) + 年間収支 | 前年残高に運用益を乗せて累積する |
変動率は、物価上昇率や収入上昇率を反映する係数。たとえば変動率2%なら、今年100万円の支出は1年後に100万円 × (1 + 0.02) で102万円になる。10年後なら (1 + 0.02) を10回掛ける複利で計算する。
年間収支は「可処分所得 − 支出」。引く相手は年収ではなく可処分所得(年収から所得税・住民税・社会保険料を差し引いた、実際に使えるお金)。向きを逆にして「支出 − 可処分所得」としないこと。年間収支がマイナスなら、その年は赤字。
貯蓄残高は「前年残高 × (1 + 運用率) + 年間収支」。前の年の残高をそのまま足すのではなく、運用率を掛けて運用益を乗せたうえで当年の年間収支を足す。年間収支がマイナスの年が続くと、貯蓄残高は減っていく。
わかりやすく言い換えると
要するに、こう覚えるとラク。
n年後の価額は「いまの額に、毎年ちょっとずつ増える分を掛け算で重ねる」。だから割り算でも単利でもなく、(1 + 変動率) を n 回掛ける。
年間収支は「入った(可処分所得)− 出た」。貯蓄残高は「去年のお財布に利息をつけて + 今年の収支」。
試験のツボ
🔴 一番出る:n年後価額の計算式
n年後価額 = 現在価額 × (1 + 変動率)^n
割り算でも単利でもなく、複利で「掛け算を n 回」。
🔴 次に出る:年間収支と貯蓄残高の式
①年間収支 = 可処分所得 − 支出(年収ではなく可処分所得)
②貯蓄残高 = 前年残高 × (1 + 運用率) + 年間収支(運用益を乗せて累積)
🟡 押さえると安定:目的とライフイベント表との関係
キャッシュフロー表は年度別の収入・支出・貯蓄残高を将来推計する表。ライフイベント表で整理した予定を年度別の数値に落とし込んだもの。
よくある間違い
①「将来の収入・支出は現在の額のまま並べる」→ ✗ 変動率を使って (1 + 変動率)^n で将来の額に直す。据え置きではない。
②「年間収支は年収 − 支出で求める」→ ✗ 引く相手は年収ではなく可処分所得。年間収支は「可処分所得 − 支出」。
③「貯蓄残高は前年残高をそのまま足すだけ」→ ✗ 貯蓄残高は「前年残高 × (1 + 運用率) + 年間収支」。前年残高に運用益を乗せてから足す。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(変動率の計算式)
キャッシュフロー表における将来価額の計算に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- n年後の価額は「現在価額 ÷ (1 + 変動率)^n」という割り算で求めるものとされている
- n年後の価額は変動率を使わず、常に現在価額のまま据え置いて記入するものとされる
- n年後の価額は「現在価額 × (1 + 変動率)^n」という複利方式で計算するものとされる
- n年後の価額は「現在価額 × n × 変動率」という単利方式で求めるものとされている
解答は 3 だっ。
要するに、n年後の価額は「現在価額 × (1 + 変動率)^n」という複利方式で計算するんだっ。割り算でも、据え置きでも、単利でもないっ。「掛け算を n 回重ねる」とイメージして押さえてねっ!
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 割り算ではなく掛け算で計算する |
| 2 | ✗ | 変動率を反映させて将来の額に直す |
| 3 | ✓ | 現在価額 × (1 + 変動率)^n で正しい |
| 4 | ✗ | 単利ではなく複利方式で計算する |
オリジナル問題2(年間収支と貯蓄残高の式)
キャッシュフロー表の年間収支と貯蓄残高の算式に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 年間収支は「可処分所得 − 支出」で、貯蓄残高は前年残高に運用率を掛けて求めるとされる
- 年間収支は「年収 − 支出」で算出し、可処分所得はいっさい用いないものとして扱われている
- 貯蓄残高は前年残高に運用率を掛けず、前年残高をそのまま足すだけで求めるものとされる
- 年間収支も貯蓄残高もいずれも固定値で、年度によって変動しないものとして扱われている
解答は 1 である。
つまり、年間収支は「可処分所得 − 支出」、貯蓄残高は「前年残高 × (1 + 運用率) + 年間収支」で算出する。年収から引くものでも、運用率を掛けないものでも、固定値でもない。この2つの式が表の根幹をなす。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 年間収支=可処分所得 − 支出・貯蓄残高は運用率を乗せて累積で正しい |
| 2 | ✗ | 引く相手は年収ではなく可処分所得である |
| 3 | ✗ | 前年残高に運用率を掛けてから年間収支を足す |
| 4 | ✗ | 年度ごとに変動し、固定値ではない |
オリジナル問題3(目的論点)
キャッシュフロー表の目的に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- キャッシュフロー表は、過去の確定申告書の控えを年度別に整理する書類として扱われる
- キャッシュフロー表は、個別銘柄の株価変動を時系列で集計する表として用いられている
- キャッシュフロー表は、税務署への提出義務がある法定の様式のひとつとして扱われている
- キャッシュフロー表は、年度別の収入・支出・貯蓄残高を将来にわたって推計する表である
解答は 4 だよ。
わかりやすく言い換えると、キャッシュフロー表は「これから先、家のお金が年ごとにどう動くか」を見える化する表だよ。確定申告の控えでも、株価集計でも、法定様式でもない。「年度別・収入支出貯蓄残高・将来推計」とセットで押さえてね。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 過去の確定申告書を整理する書類ではない |
| 2 | ✗ | 株価変動を集計する表ではない |
| 3 | ✗ | 提出義務のある法定様式ではない |
| 4 | ✓ | 年度別の収入・支出・貯蓄残高を将来推計する表で正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 n年後価額 = 現在価額 × (1 + 変動率)^n。複利で「掛け算を n 回」。割り算・単利・据え置きはすべて誤り。
- 🔴 年間収支 = 可処分所得 − 支出(年収ではない)/貯蓄残高 = 前年残高 × (1 + 運用率) + 年間収支(運用益を乗せて累積)。
- 🟡 目的 = 年度別の収入・支出・貯蓄残高を将来推計する表。ライフイベント表を年度別の数値にしたもの。
次に学ぶ
- ライフプランニング ── キャッシュフロー表の前段にあたる生涯計画。
- 個人バランスシート ── ある時点の財産状況(ストック)を整理する表。CF表(フロー)と対で押さえる。
- 6つの係数 ── 将来推計の計算を簡単にする複利計算の係数。
執筆: SikakuQuest編集部