社労士の独占業務とは(全体像)
社労士は労働・社会保険の手続や書類を専門的に扱う。そのうち、社労士でなければ報酬を得て業として行えないのが独占業務で、1号業務と2号業務がこれにあたる。誤れば労使に大きな影響が及ぶため、確かな担い手にゆだねている。
押さえるのは2点。
- ⭐1号は3要素・2号は帳簿書類 … 1号は「作成・提出代行・事務代理」の3つ、2号は帳簿書類(就業規則・名簿・台帳・36協定書等)の作成。
- 独占は「報酬を得て業として」が条件 … 社労士でない者が報酬を得て業として1号・2号を行うことが制限される。無償や例外にあたる場合は別。
⭐一番の引っかけは「1号は作成だけ」「2号は提出書類に限る」。1号は提出代行・事務代理も含む3要素、2号は提出を前提としない帳簿書類も含む。
詳しく:1号3要素・2号・制限を表でつかむ
ここが心臓部。「何をする業務か・何をつくる業務か・誰が行えないか」は次の表に全部つまっている。
1号業務の3要素
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 書類の作成 | 申請書・届出書・報告書・審査請求書等の作成 |
| 提出手続の代行 | 作成した書類の提出に関する手続の代行 |
| 事務代理 | 行政機関等への申請等の代理(調査の立会い・主張や陳述を含む) |
2号業務と独占の制限
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 2号業務 | 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成(就業規則・労働者名簿・賃金台帳・36協定書等) |
| 制限の対象 | 社労士・社労士法人でない者が、報酬を得て業として1号・2号を行うこと |
| 例外 | 他の法律に別段の定めがある場合・政令で定める付随業務 |
| 3号業務 | 相談・指導は非独占(社労士以外も行える) |
押さえどころは、①1号は作成・提出代行・事務代理の3要素、②2号は帳簿書類の作成(提出書類に限らない)、③独占は報酬を得て業として行う場合の制限・例外あり・違反に罰則、の3つ。
わかりやすく言い換えると
要するに「社労士の資格がある人だけが、お金をもらって仕事として行える業務」。
つまり、引っかけられやすいのは2つ。1つ目は「1号業務は書類をつくるだけ」と思い込むこと。実際は提出の代行や事務代理(調査の立会い・陳述)まで含む3要素。2つ目は「2号業務は役所に出す書類だけ」と思い込むこと。実際は就業規則や名簿・台帳など、提出を前提としない帳簿書類の作成も含む。
試験のツボ
🔴 一番出る:1号業務の3要素
①書類の作成・提出手続の代行・事務代理の3つの要素からなる
②事務代理には行政機関の調査の立会いや主張・陳述が含まれる(作成だけではない)
🔴 次に出る:2号業務の対象
①労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(就業規則・労働者名簿・賃金台帳・36協定書等)の作成
②行政機関への提出を前提としない帳簿書類も含む(提出書類に限らない)
🟡 押さえると安定:独占の制限と例外
①社労士でない者が報酬を得て業として1号・2号を行うことは制限される(違反に罰則)
②他の法律の別段の定め・政令で定める付随業務は例外。3号(相談・指導)は非独占
よくある間違い
①「1号業務は書類を作成することだけを指す」→ ✗ 1号は「作成」だけでなく「提出手続の代行」「事務代理(調査の立会い・主張や陳述を含む)」の3要素。
②「2号業務は行政機関に提出する書類の作成に限られる」→ ✗ 2号は帳簿書類の作成で、就業規則・労働者名簿・賃金台帳など、提出を前提としない帳簿書類も含む。
③「社労士でない者でも報酬を得て業として1号・2号を自由に行える」→ ✗ 社労士でない者が報酬を得て業として行うことは制限され、違反には罰則がある(例外あり)。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(1号業務)
社労士の1号業務に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 1号業務は、労務管理に関する相談・指導のみを指し、書類の作成や提出代行は含まないものとされる
- 1号業務は、書類の作成・提出手続の代行・事務代理の3つの要素から構成されるものとされている
- 1号業務は、帳簿書類の作成のみを指し、行政機関への申請や代理はいっさい含まないものとされる
- 1号業務は、社労士でない者でも報酬を得て自由に業として行えるものとして整理されているものである
解答は 2 だよ。
1号業務は、書類の作成・提出手続の代行・事務代理の3つの要素から構成されるんだ。
選択肢1の「相談のみ」、選択肢3の「帳簿作成のみ」、選択肢4の「無資格者が自由に」は、いずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 相談・指導は3号で1号は作成・提出代行・事務代理 |
| 2 | ✓ | 作成・提出手続の代行・事務代理の3要素で正しい |
| 3 | ✗ | 帳簿書類の作成は2号業務である |
| 4 | ✗ | 報酬を得て業として行うことは制限される |
オリジナル問題2(2号業務)
社労士の2号業務に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 2号業務は、行政機関への申請の代理であり、帳簿書類の作成はいっさい含まないものとされている
- 2号業務は、税務署へ提出する確定申告書の作成を中心とする業務とされているものである
- 2号業務は、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(就業規則・賃金台帳等)の作成とされている
- 2号業務は、社労士でない者も報酬を得て業として自由に行えるものとして整理されているものである
解答は 3 だっ。
2号業務は、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(就業規則・労働者名簿・賃金台帳・36協定書等)の作成なんだっ。
選択肢1の「申請の代理」、選択肢2の「確定申告書」、選択肢4の「無資格者が自由に」は、いずれも誤りだっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 申請の代理は1号の要素で2号は帳簿書類の作成 |
| 2 | ✗ | 確定申告書の作成は税理士の業務である |
| 3 | ✓ | 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成で正しい |
| 4 | ✗ | 報酬を得て業として行うことは制限される |
オリジナル問題3(独占の制限)
社労士の独占業務の制限に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 社労士でない者が報酬を得て業として1号・2号を行うことは制限され、違反には罰則があるとされる
- 社労士でない者であっても、1号・2号事務を報酬を得て業として自由に行ってよいものとされている
- 独占業務の制限には例外がいっさいなく、他の法律に別段の定めがある場合も認められないものとされる
- 独占業務の制限は社労士に対し業務を禁止する規定であって、無資格者は対象外とされているものである
解答は 1 である。
社労士でない者が報酬を得て業として1号・2号事務を行うことは制限され、違反には罰則がある(他の法律の別段の定め・政令で定める付随業務は例外)。
選択肢2の「自由に行える」、選択肢3の「例外なし」、選択肢4の「社労士を禁止」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 非社労士が報酬を得て業として行うことの制限と罰則で正しい |
| 2 | ✗ | 報酬を得て業として行うことは制限される |
| 3 | ✗ | 他法の別段の定め・政令の付随業務という例外がある |
| 4 | ✗ | 制限の対象は社労士でない者である |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 1号業務の3要素 = 書類の作成・提出手続の代行・事務代理(調査の立会いや主張・陳述を含む)。
- 🔴 2号業務の対象 = 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(就業規則・労働者名簿・賃金台帳・36協定書等)の作成。
- 🟡 独占の制限と例外 = 社労士でない者が報酬を得て業として1号・2号を行うことを制限(他法の別段の定め・政令の付随業務は例外)。違反に罰則。3号は非独占。
次に学ぶ
- 社労士の業務(3号) ── 独占ではない相談・指導等の業務。1号・2号との違いで押さえる。
- 社会保険労務士法(業務独占) ── 独占業務と非社労士の業務制限を定める法律。
- 社労士の義務(守秘義務等) ── 業務を独占する専門家に課される義務。
執筆: SikakuQuest編集部