審理員とは(全体像)
審理員とは、審査庁が、その所属職員のなかから、審査請求ごとに指名する人のこと。仕事は、審査請求の審理手続を、客観的・中立的に主宰することだ。
具体的には、当事者の主張や証拠を集め、争点を整理し、口頭で意見を述べる機会を与え、必要な検証などを行う。そして最後に、審理員意見書を作って審査庁に提出する。
ここで大事なのは、審理員は裁決をしないこと。裁決をするのはあくまで審査庁で、審理員はその前段の審理を担う役、と押さえる。
詳しく:中立性と裁決との関係
ここが心臓部。中立性の担保と、裁決との関係を押さえる。
審理員の指名と中立性
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 指名する人 | 審査庁 |
| 指名される人 | 審査庁の所属職員(外部の第三者ではない) |
| 除かれる人 | その処分に関与した職員など |
まず中立性。審理員は、審査庁の所属職員から指名される。ただし、その処分に関与した職員などは、審理員から除かれる。判断する側と処分をした側を分けることで、中立性を制度的に担保しているのだ。「外部の第三者から選ぶ」のではない点に注意する。
次に裁決との関係。
審理員と裁決
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 審理員の仕事 | 審理を主宰し、審理員意見書を作って審査庁に提出 |
| 裁決をする人 | 審査庁(審理員ではない) |
| 意見書の効力 | 審査庁を法的に拘束しない |
審理員は、審理員意見書を作るところまでが仕事。裁決をするのは審査庁で、審理員ではない。しかも、審理員意見書は審査庁を法的に拘束しない(意見書と異なる裁決もありうる)。「審理員が結論を下す」と思い込まないことが大切だ。
わかりやすく言い換えると
つまり審理員は「審理を中立に進めて、意見書をまとめる役」。裁決はしない。指名されるのは審査庁の職員だが、処分に関わった人は外す。
要するに押さえどころは2つ。①審査庁の職員から指名(処分関与者は除外)で中立性を確保、②審理員は裁決をせず意見書を作る(裁決は審査庁・意見書は拘束しない)。
試験のツボ
🔴 一番出る:審査庁の職員から指名・中立性
①審査庁が、所属職員から審査請求ごとに指名する
②その処分に関与した職員などは除かれる(外部の第三者ではない)
🔴 次に出る:裁決はしない
審理員は裁決をしない。審理員意見書を作って審査庁に提出し、裁決は審査庁が行う。
🟡 押さえると安定:意見書の効力
審理員意見書は、審査庁を法的に拘束しない。
よくある間違い
①「審理員が裁決を下す」→ ✗ 審理員は裁決をしない。裁決をするのは審査庁。
②「審理員は、外部の第三者から選ばれる」→ ✗ 審査庁の所属職員から指名される(処分に関与した者などは除く)。
③「その処分に関与した職員が、審理員になる」→ ✗ 処分に関与した職員などは、審理員から除かれる(中立性のため)。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(審理員の意味)
審理員に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 審理員とは、審査請求について裁決を下す権限をもつ者をいうものとされている
- 審理員とは、審査庁が職員から指名する、審理を中立に主宰する者
- 審理員とは、処分をした処分庁そのものをいうものとされている
- 審理員とは、審査請求をする私人の代理人をいうものとされている
解答は 2 です。
審理員とは、審査庁が所属職員から指名し、審理を中立に主宰する人です。審理を進めて意見書を作るのが仕事で、裁決はしません。
選択肢1の「裁決を下す」、選択肢3の「処分庁」、選択肢4の「私人の代理人」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 裁決をするのは審査庁 |
| 2 | ✓ | 審査庁が指名し審理を主宰する者で正しい |
| 3 | ✗ | 処分庁とは別 |
| 4 | ✗ | 私人の代理人ではない |
オリジナル問題2(中立性)
審理員の指名に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 審理員は、その処分に関与した職員から優先して指名されるものとされる
- 審理員は、必ず外部の第三者から選ばれなければならないものとされている
- 審理員は、審査請求人が自由に選んで指名するものとされている
- 審理員は審査庁の職員から指名され、処分に関与した者などは除かれる
解答は 4 です。
審理員は、審査庁の所属職員から指名されますが、その処分に関与した職員などは除かれます。判断する側と処分をした側を分けて、中立性を保つためです。
選択肢1の「関与した職員を優先」、選択肢2の「必ず外部の第三者」、選択肢3の「審査請求人が選ぶ」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 関与した職員はむしろ除かれる |
| 2 | ✗ | 審査庁の職員から指名する |
| 3 | ✗ | 指名するのは審査庁 |
| 4 | ✓ | 職員から指名・関与者は除外で正しい |
オリジナル問題3(裁決との関係)
審理員と裁決に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 審理員は、自ら裁決を下して審査請求を終わらせるものとされている
- 審理員意見書は、審査庁を法的に拘束するものとされている
- 審理員は裁決をせず、審理員意見書を作成して審査庁に提出する
- 審理員は、口頭で意見を述べる機会を与えてはならないものとされる
解答は 3 です。
審理員は裁決をせず、審理員意見書を作成して審査庁に提出します。裁決をするのは審査庁で、しかも意見書は審査庁を法的に拘束しません。
選択肢1の「自ら裁決」、選択肢2の「意見書が拘束する」、選択肢4の「口頭意見の機会を与えない」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 裁決をするのは審査庁 |
| 2 | ✗ | 意見書は審査庁を拘束しない |
| 3 | ✓ | 裁決はせず意見書を提出で正しい |
| 4 | ✗ | 口頭意見の機会を与える |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 意味 = 審査庁が所属職員から指名し、審理を中立に主宰する者。
- 🔴 中立性 = 審査庁の職員から指名するが、処分に関与した者などは除く(外部の第三者ではない)。
- 🟡 裁決との関係 = 審理員は裁決をせず意見書を作る。裁決は審査庁。意見書は拘束しない。
次に学ぶ
- 審査請求 ── 審理員が審理を主宰する、不服申立ての基本のしくみ。
- 審査請求人 ── 審理員の前で主張・立証する、当事者の資格。
- 行政行為(行政処分) ── 審理員が扱う審査請求の対象「処分」とは何かを押さえる。
執筆: SikakuQuest編集部