行政不服審査会とは(全体像)
行政不服審査会とは、審査庁が裁決をする前に、審理員意見書や事件記録の写しを添えて諮問する第三者機関のこと。学識経験者から任命された委員で構成され、独立してチェックを行う。
役割は、審理員の意見書などをチェックして、審査庁の裁決が中立で適正かを担保すること。審理員(審査庁の職員)に加えて、もう一段、外部の目を入れるしくみだ。
押さえどころは2つ。①答申は拘束しないが、異なる裁決には理由がいること、②全部認容などでは諮問が不要で、地方にも置かれること。
詳しく:答申の効力と諮問の要否
ここが心臓部。答申の効力と、諮問が不要になる場合を押さえる。
行政不服審査会の答申
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 答申の効力 | 審査庁を法的に拘束しない |
| 異なる裁決 | 答申と異なる裁決をするには、理由を付さなければならない |
まず答申の効力。審査会の答申は、審査庁を法的に拘束しない。つまり、答申と違う結論を出すこともできる。ただし、その場合は理由を付さなければならない。「拘束しないから自由」ではなく、違う結論なら説明が要る、と押さえる。
次に諮問の要否。
諮問の原則と例外
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 原則 | 裁決の前に審査会へ諮問する |
| 例外(諮問不要) | 全部認容の裁決、審査請求人が諮問を希望しない場合など |
原則として、裁決の前には審査会への諮問が必要。ただし、全部認容(請求が全部認められる)裁決や、審査請求人が諮問を希望しない場合などは、諮問が不要になる。「いつも必ず諮問」ではない。
なお、行政不服審査会は国(総務省)に置かれるほか、地方公共団体にも条例によって置かれる。
わかりやすく言い換えると
つまり行政不服審査会は「裁決の前に、外部の目でチェックする第三者機関」。答申は拘束しないが、違う裁決をするなら理由がいる。
要するに押さえどころは2つ。①答申は拘束しないが、異なる裁決には理由が必要、②全部認容など一定の場合は諮問不要で、地方公共団体にも置かれる。
試験のツボ
🔴 一番出る:答申は拘束しない(理由付記)
①答申は審査庁を法的に拘束しない
②ただし、答申と異なる裁決をするには理由を付す必要がある
🔴 次に出る:諮問の要否
原則は裁決前に諮問。全部認容や請求人が希望しない場合などは諮問不要。
🟡 押さえると安定:設置
国(総務省)に置かれるほか、地方公共団体にも条例で置かれる。
よくある間違い
①「行政不服審査会の答申は、審査庁を拘束する」→ ✗ 拘束しない。ただし、答申と異なる裁決をするには理由を付す必要がある。
②「すべての裁決の前に、必ず審査会に諮問する」→ ✗ 全部認容など一定の場合は、諮問が不要になる。
③「行政不服審査会は、国にだけ置かれる」→ ✗ 国(総務省)のほか、地方公共団体にも条例で置かれる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(行政不服審査会の意味)
行政不服審査会に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 行政不服審査会とは、審査請求の審理を主宰する審理員のことをいうものとされる
- 行政不服審査会とは、処分をした処分庁そのものをいうものとされている
- 行政不服審査会とは、裁決をする前に審査庁が諮問する第三者機関である
- 行政不服審査会とは、審査請求をする私人の団体をいうものとされている
解答は 3 です。
行政不服審査会とは、審査庁が裁決をする前に諮問する第三者機関です。審理員の意見書などをチェックし、裁決の中立性・適正性を担保します。
選択肢1の「審理員」、選択肢2の「処分庁」、選択肢4の「私人の団体」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 審理員とは別の第三者機関 |
| 2 | ✗ | 処分庁とは別 |
| 3 | ✓ | 裁決前に諮問する第三者機関で正しい |
| 4 | ✗ | 私人の団体ではない |
オリジナル問題2(答申の効力)
行政不服審査会の答申に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 答申は審査庁を拘束しないが、異なる裁決をするには理由が必要である
- 行政不服審査会の答申は、審査庁を法的に拘束するものとされている
- 行政不服審査会の答申には、審査庁はまったく従う必要がないとされる
- 行政不服審査会の答申は、裁決と同じ効力をもつものとされている
解答は 1 です。
行政不服審査会の答申は、審査庁を法的に拘束しません。ただし、答申と異なる裁決をするには理由を付す必要があります。「拘束しないから自由」ではない点に注意しましょう。
選択肢2の「法的に拘束する」、選択肢3の「まったく従う必要がない」、選択肢4の「裁決と同じ効力」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 拘束しないが異なる裁決には理由が要るで正しい |
| 2 | ✗ | 答申は審査庁を拘束しない |
| 3 | ✗ | 異なる裁決には理由が必要 |
| 4 | ✗ | 裁決をするのは審査庁 |
オリジナル問題3(諮問の要否と設置)
行政不服審査会への諮問や設置に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- すべての審査請求について、裁決の前に必ず審査会に諮問するものとされる
- 行政不服審査会は、国にだけ置かれ、地方公共団体には置かれないとされる
- 審査請求人が諮問を希望しなくても、必ず諮問しなければならないとされる
- 全部認容などの一定の場合は諮問が不要となり、地方公共団体にも置かれる
解答は 4 です。
全部認容など一定の場合は諮問が不要になり、また行政不服審査会は地方公共団体にも条例で置かれます。「いつも必ず諮問・国だけに設置」ではありません。
選択肢1の「必ず諮問」、選択肢2の「国だけ」、選択肢3の「希望しなくても必ず諮問」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 全部認容など諮問不要の場合がある |
| 2 | ✗ | 地方公共団体にも置かれる |
| 3 | ✗ | 請求人が希望しなければ諮問不要 |
| 4 | ✓ | 諮問不要の場合あり・地方にも設置で正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 意味 = 審査庁が裁決の前に諮問する、外部の目でチェックする第三者機関。
- 🔴 答申の効力 = 審査庁を拘束しない。ただし答申と異なる裁決をするには理由が必要。
- 🟡 例外と設置 = 全部認容など一定の場合は諮問不要。国のほか地方公共団体にも置かれる。
次に学ぶ
- 審理員 ── 審査会に渡される意見書を作る、審理を主宰する者。
- 審査請求 ── 審査会が関わる、不服申立ての基本のしくみ。
- 行政行為(行政処分) ── 審査請求の対象となる「処分」とは何かを押さえる。
執筆: SikakuQuest編集部