却下・棄却・認容とは(全体像)
裁決は、その内容によって、次の3つに分かれる。
- 却下 … 審査請求が不適法(請求期間を過ぎた、適格がない等)なとき、本案を審理せずに門前払いする裁決。
- 棄却 … 本案を審理した結果、審査請求に理由がないと判断する裁決。
- 認容 … 審査請求に理由があると判断する裁決。処分の取消しや変更などを行う。
いちばんのポイントは、却下と棄却の区別。どちらも請求は通らないが、却下は「中身を見る前の門前払い」、棄却は「中身を見たうえで理由なし」という、法的な意味の違いがある。
詳しく:却下と棄却の区別・認容の効果
ここが心臓部。3類型の意味と、認容の効果の多様性を押さえる。
裁決の3類型
| 類型 | 内容 |
|---|---|
| 却下 | 不適法(門前払い)。本案は審理しない |
| 棄却 | 本案を審理した結果、理由がない |
| 認容 | 本案に理由がある。取消し・変更など |
まず却下と棄却。却下は、請求期間を過ぎている、申立ての資格がない、といった形式の問題で不適法なとき。中身(本案)に入る前に退ける。一方、棄却は、中身を審理したうえで「理由がない」と判断するもの。「門前払い(却下)」か「中身を見て理由なし(棄却)」か、をはっきり分ける。
次に認容の効果。
認容裁決の効果
| 場面 | 効果 |
|---|---|
| 処分への審査請求 | 処分の全部・一部の取消し、または変更など |
| 不作為への審査請求 | 不作為が違法・不当と宣言し、相当の措置を命じる |
認容裁決は、「理由あり」で請求を認めるものだが、その効果は取消しだけではない。処分を変更することもあるし、不作為に対しては違法・不当を宣言して、相当の措置を命じる。「認容=必ず取消し」と決めつけないことが大切だ。
わかりやすく言い換えると
つまり3類型は「門前払い(却下)/中身を見て理由なし(棄却)/理由あり(認容)」。却下と棄却は、どちらも通らないが意味が違う。
要するに押さえどころは2つ。①却下は不適法による門前払い・棄却は本案を審理して理由なし(区別する)、②認容の効果は取消しだけでなく変更や措置命令など多様。
試験のツボ
🔴 一番出る:却下と棄却の区別
①却下 = 不適法(門前払い)。本案を審理しない
②棄却 = 本案を審理した結果、理由がない
🔴 次に出る:認容の効果は多様
認容は処分の取消し・変更など。不作為には違法・不当の宣言と措置命令。
🟡 押さえると安定:認容=必ず取消しではない
認容でも、取消しのほか変更などがあり、一様ではない。
よくある間違い
①「却下と棄却は、同じ意味」→ ✗ 却下は不適法による門前払い、棄却は本案を審理して理由なし。別もの。
②「認容裁決は、必ず処分の全部を取り消す」→ ✗ 取消しのほか、変更や、不作為への措置命令などもある。
③「却下は、本案を審理したうえで退ける」→ ✗ 却下は不適法なため、本案を審理せずに退ける(棄却が本案を審理した結果)。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(却下の意味)
却下裁決に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 却下裁決とは、審査請求に理由があるとして処分を取り消す裁決をいうとされる
- 却下裁決とは、審査請求が不適法なとき、本案を審理せず門前払いする裁決
- 却下裁決とは、本案を審理した結果、理由がないとして退ける裁決をいうとされる
- 却下裁決とは、命令等の案について意見を募る手続をいうものとされている
解答は 2 です。
却下裁決とは、審査請求が不適法なとき、本案を審理せずに門前払いする裁決です。請求期間を過ぎた、適格がない、といった形式の問題のときです。
選択肢1は認容、選択肢3は棄却、選択肢4はパブコメの説明であって、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | それは認容裁決 |
| 2 | ✓ | 不適法で本案を審理せず門前払いで正しい |
| 3 | ✗ | それは棄却裁決 |
| 4 | ✗ | パブコメとは別 |
オリジナル問題2(却下と棄却の区別)
却下と棄却に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 却下と棄却は同じ意味で、どちらも本案を審理した結果の裁決であるとされる
- 棄却裁決とは、審査請求が不適法なため門前払いする裁決をいうものとされる
- 却下は不適法による門前払いで、棄却は本案を審理して理由がないとする裁決
- 棄却裁決とは、審査請求に理由があるとして処分を取り消す裁決であるとされる
解答は 3 です。
却下は不適法による門前払い、棄却は本案を審理して理由がないとする裁決です。「中身を見る前か、見たうえか」が分かれ目です。
選択肢1の「同じ意味」、選択肢2の「棄却=門前払い」、選択肢4の「棄却=取消し」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 却下は本案を審理しない |
| 2 | ✗ | 門前払いは却下のほう |
| 3 | ✓ | 却下=門前払い・棄却=理由なしで正しい |
| 4 | ✗ | 取り消すのは認容裁決 |
オリジナル問題3(認容の効果)
認容裁決に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 認容裁決には、処分の取消しのほか、変更などもあり一様ではない
- 認容裁決は、つねに処分の全部を取り消すものに限られるとされている
- 認容裁決は、本案に理由がないとして退ける裁決であるとされている
- 認容裁決は、不適法として門前払いする裁決であるとされている
解答は 1 です。
認容裁決には、処分の取消しのほか、変更などもあり、効果は一様ではありません。不作為には、違法・不当の宣言と相当の措置命令もあります。
選択肢2の「必ず全部取消し」、選択肢3の「理由なしで退ける(棄却)」、選択肢4の「門前払い(却下)」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 取消しのほか変更などもあるで正しい |
| 2 | ✗ | 全部取消しに限られない |
| 3 | ✗ | それは棄却裁決 |
| 4 | ✗ | それは却下裁決 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 却下と棄却 = 却下は不適法による門前払い(本案を審理しない)、棄却は本案を審理して理由なし。
- 🔴 認容 = 理由ありで請求を認める。処分の取消し・変更や、不作為への措置命令など。
- 🟡 認容の効果 = 必ず取消し、ではない。変更などもあり一様ではない。
次に学ぶ
- 裁決 ── 3類型の裁決がもつ効力(形成力・拘束力)の全体像。
- 審査請求 ── 却下・棄却・認容で結論が出る、不服申立ての基本。
- 審査請求期間 ── 却下の原因になる、期間を過ぎると不適法となるしくみ。
執筆: SikakuQuest編集部