判決の種類とは(全体像)
取消訴訟の判決は、大きく3つの類型に分けられる。
- ①却下判決 … 出訴期間や原告適格などの訴訟要件を欠くため、中身(本案)の審理に入らずに終わる判決。
- ②棄却判決 … 中身を審理した結果、処分に違法がなく、原告の請求を退ける判決。
- ③認容判決 … 中身を審理した結果、処分に違法があり、これを取り消す判決。原告が勝つ。
①と②はどちらも原告が負けるが、負け方が違うのがポイントだ。
詳しく:却下と棄却の区別、認容判決の特別な効力
ここが心臓部。却下と棄却の違い、認容判決だけにある効力を押さえる。
3つの判決類型
| 判決 | 内容 |
|---|---|
| 却下判決 | 訴訟要件を欠き、本案の審理に入らない |
| 棄却判決 | 本案を審理した結果、処分は適法で請求を退ける |
| 認容判決 | 本案を審理した結果、処分は違法で取り消す |
まず却下と棄却の区別。どちらも原告は勝てないが、入口で終わるか、中身で負けるかが違う。却下は、出訴期間切れなどで訴訟要件を欠くため、中身に入れずに終わる。棄却は、中身を審理したうえで、処分に違法がないとして退けられる。「却下=棄却」と混同しないことが大切だ。
次に、認容判決だけにある特別な効力だ。
認容判決にだけある効力
| 効力 | 内容 |
|---|---|
| 形成力 | 処分が、はじめにさかのぼって効力を消す |
| 第三者効 | 当事者以外の第三者にも効力が及ぶ |
| 拘束力 | 行政庁が、判決の趣旨に従う義務を負う |
処分を取り消す認容判決には、形成力・第三者効・拘束力という特別な効力がある。一方、棄却判決や却下判決には、これらの特別な効力はない。「すべての判決に第三者効がある」と思い込まないこと。特別な効力は、認容判決にだけ認められる。
わかりやすく言い換えると
つまり判決の種類は「入口で終わる(却下)/中身で負ける(棄却)/中身で勝って取り消す(認容)」の3つ。原告が勝つ認容判決にだけ、形成力・第三者効・拘束力という特別な効力がある。
要するに押さえどころは2つ。①却下は訴訟要件を欠く場合、棄却は本案で請求を退ける場合(別物)、②形成力・第三者効・拘束力は認容判決にだけあり、棄却・却下にはない。
試験のツボ
🔴 一番出る:3つの判決類型
①却下(訴訟要件を欠く)②棄却(本案で適法・請求を退ける)③認容(本案で違法・取り消す)
🔴 次に出る:却下と棄却の区別
却下は入口(訴訟要件)の問題、棄却は中身(本案)の問題。混同しない。
🟡 押さえると安定:特別な効力は認容判決だけ
形成力・第三者効・拘束力は認容判決にだけある。棄却・却下にはない。
よくある間違い
①「却下判決と棄却判決は、同じものである」→ ✗ 却下は訴訟要件を欠く場合、棄却は本案審理の結果で、別の判決。
②「すべての判決に、第三者効がある」→ ✗ 第三者効などの特別な効力は、認容判決にだけある。
③「棄却判決は、訴訟要件を欠く場合に出される」→ ✗ 訴訟要件を欠く場合は却下判決。棄却は本案審理の結果。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(判決の3類型)
取消訴訟の判決に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 取消訴訟の判決は、認容判決のただ1種類だけであるとされている
- 取消訴訟の判決は、すべて原告が勝つ判決であるとされている
- 取消訴訟の判決は、却下・棄却・認容の3つに大きく分けられる
- 取消訴訟の判決は、私人間の契約を取り消すものであるとされる
解答は 3 だ。
取消訴訟の判決は、却下・棄却・認容の3つに大きく分けられる。却下は入口、棄却は中身で負け、認容は中身で勝ちだぞ。
選択肢1の「1種類だけ」、選択肢2の「すべて原告が勝つ」、選択肢4の「私人間の契約」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 3つの類型がある |
| 2 | ✗ | 却下・棄却は原告が負ける |
| 3 | ✓ | 却下・棄却・認容の3類型で正しい |
| 4 | ✗ | 私人間の契約とは別 |
オリジナル問題2(却下と棄却の区別)
却下判決と棄却判決に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 却下判決は訴訟要件を欠く場合、棄却判決は本案で請求を退ける場合
- 却下判決と棄却判決とは、まったく同じ意味の判決であるとされている
- 却下判決は、処分そのものを取り消す判決であるとされている
- 棄却判決は、訴訟要件を欠く場合に出される判決であるとされる
解答は 1 だ。
却下判決は訴訟要件を欠く場合、棄却判決は本案を審理して請求を退ける場合だ。入口で終わるか、中身で負けるかの違いだぞ。
選択肢2の「同じ意味」、選択肢3の「処分を取り消す」、選択肢4の「却下と棄却が逆」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 却下=訴訟要件、棄却=本案で正しい |
| 2 | ✗ | 両者は別の判決 |
| 3 | ✗ | 取り消すのは認容判決 |
| 4 | ✗ | 訴訟要件を欠くのは却下 |
オリジナル問題3(特別な効力)
判決の効力に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 棄却判決にも、認容判決と同じような第三者効があるものとされている
- 却下判決には、処分を取り消す形成力があるものとされている
- すべての判決に、形成力や第三者効があるものとされている
- 形成力や第三者効などの特別な効力は、認容判決にだけ認められる
解答は 4 だ。
形成力や第三者効などの特別な効力は、認容判決にだけ認められる。棄却判決や却下判決には、これらの効力はないぞ。
選択肢1の「棄却にも第三者効」、選択肢2の「却下に形成力」、選択肢3の「すべての判決に」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 棄却判決に第三者効はない |
| 2 | ✗ | 却下判決に形成力はない |
| 3 | ✗ | 特別な効力は認容判決だけ |
| 4 | ✓ | 特別な効力は認容判決にだけで正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 3つの類型 = 却下(訴訟要件を欠く)・棄却(本案で適法)・認容(本案で違法・取り消す)。
- 🔴 却下と棄却の区別 = 却下は入口(訴訟要件)、棄却は中身(本案)の問題。
- 🟡 特別な効力 = 形成力・第三者効・拘束力は認容判決にだけある。棄却・却下にはない。
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執筆: SikakuQuest編集部