既判力・形成力とは(全体像)
取消訴訟で原告が勝つ(認容判決)と、その判決にはいくつかの効力が生じる。まず、似ているようで違う2つを区別する。
- 既判力 … 確定した判決の内容について、当事者と裁判所を拘束する効力。「もう同じことを蒸し返せない」という、民事訴訟にも共通する一般的な効力だ。
- 形成力 … 取消判決によって、処分の効力がはじめにさかのぼって消える効力。処分が「最初からなかったこと」になる。
この2つは混同しやすいが、既判力は「判決内容の拘束」、形成力は「処分の遡及的消滅」と、役割が違う。
詳しく:第三者効(対世効)と、民事訴訟との違い
ここが心臓部。第三者効の意味と、民事訴訟の既判力との対比を押さえる。
既判力と形成力の区別
| 効力 | 内容 |
|---|---|
| 既判力 | 確定判決の内容が当事者と裁判所を拘束する |
| 形成力 | 取消判決により処分の効力が遡って消える |
まず区別。既判力は「判決の内容を蒸し返せない」効力、形成力は「処分が遡って消える」効力。別の概念だと押さえる。
次に、試験で繰り返し問われる第三者効(対世効)だ。
取消判決の第三者効(対世効)
| 区分 | 効力の及ぶ範囲 |
|---|---|
| 取消判決(行政訴訟) | 当事者だけでなく、第三者にも及ぶ(対世効) |
| 民事訴訟の既判力 | 原則として、当事者の間だけ |
取消判決の効力は、訴訟の当事者だけでなく、当事者以外の第三者にも及ぶ。これを対世効という。たとえば、ある処分が取り消されると、その処分に関わる関係者みんなが、同じ法律関係に立つ。
これは、判決の効力が原則として当事者の間だけに及ぶ民事訴訟とは、大きく異なる特徴だ。取消訴訟が、個人の救済だけでなく、法律関係を画一的に整えるという性格をもつことの表れといえる。
わかりやすく言い換えると
つまり、既判力は「判決内容を蒸し返せない効力」、形成力は「処分が遡って消える効力」で別物。そして取消判決の効力は、当事者だけでなく第三者にも及ぶ(対世効)。当事者の間だけの民事訴訟とは違う。
要するに押さえどころは2つ。①既判力(判決内容の拘束)と形成力(処分の遡及的消滅)は別概念、②取消判決には第三者効(対世効)があり、当事者以外にも効力が及ぶ(民事訴訟と異なる)。
試験のツボ
🔴 一番出る:第三者効(対世効)
①取消判決の効力は、当事者だけでなく第三者にも及ぶ
②当事者の間だけの民事訴訟の既判力とは異なる
🔴 次に出る:既判力と形成力の区別
既判力は判決内容の拘束、形成力は処分の遡及的消滅。別の概念。
🟡 押さえると安定:取消訴訟の性格
法律関係を画一的に整える、取消訴訟の客観的な性格の表れ。
よくある間違い
①「取消判決の効力は、訴訟の当事者の間だけに及ぶ」→ ✗ 第三者効(対世効)があり、当事者以外の第三者にも及ぶ。
②「既判力と形成力は、同じものである」→ ✗ 既判力は判決内容の拘束、形成力は処分の遡及的消滅で、別の概念。
③「取消判決の第三者効は、民事訴訟の既判力と同じである」→ ✗ 民事訴訟の既判力は原則当事者間のみ。取消判決の対世効とは異なる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(形成力の意味)
形成力に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 形成力とは、判決の内容が当事者と裁判所を拘束する効力をいうとされる
- 形成力とは、取消判決により処分の効力が遡って消える効力である
- 形成力とは、行政庁が判決に従う義務を負う効力をいうものとされる
- 形成力とは、私人間の契約を取り消す効力をいうものとされる
解答は 2 だ。
形成力とは、取消判決によって処分の効力が遡って消える効力だ。処分が最初からなかったことになるぞ。
選択肢1は既判力、選択肢3は拘束力、選択肢4は私人間の契約であって、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | それは既判力 |
| 2 | ✓ | 処分が遡って消える効力で正しい |
| 3 | ✗ | それは拘束力 |
| 4 | ✗ | 私人間の契約とは別 |
オリジナル問題2(既判力の意味)
既判力に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 既判力とは、確定判決の内容が当事者と裁判所を拘束する効力である
- 既判力とは、処分の効力をはじめにさかのぼって消す効力であるとされる
- 既判力と形成力は、まったく同じ内容の効力であるとされている
- 既判力とは、原告だけを拘束し裁判所は拘束しないものとされる
解答は 1 だ。
既判力とは、確定判決の内容が当事者と裁判所を拘束する効力だ。同じことを蒸し返せなくする、民事にも共通の効力だぞ。
選択肢2は形成力、選択肢3の「同じ内容」、選択肢4の「裁判所は拘束しない」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 判決内容が当事者と裁判所を拘束で正しい |
| 2 | ✗ | それは形成力 |
| 3 | ✗ | 既判力と形成力は別概念 |
| 4 | ✗ | 当事者と裁判所を拘束する |
オリジナル問題3(第三者効)
取消判決の効力が及ぶ範囲に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 取消判決の効力は、訴訟の当事者の間にだけ及ぶものとされる
- 取消判決には、第三者に効力が及ぶことはないものとされる
- 取消判決の効力は、当事者以外の第三者にも広く及ぶ(対世効)
- 取消判決の第三者効は、民事訴訟の既判力とまったく同じものとされる
解答は 3 だ。
取消判決の効力は、当事者だけでなく第三者にも及ぶ(対世効)。当事者の間だけの民事訴訟の既判力とは違うぞ。
選択肢1の「当事者の間だけ」、選択肢2の「第三者に及ばない」、選択肢4の「民事の既判力と同じ」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 第三者にも及ぶ |
| 2 | ✗ | 第三者効(対世効)がある |
| 3 | ✓ | 当事者以外の第三者にも及ぶ対世効で正しい |
| 4 | ✗ | 民事の既判力は当事者間のみで異なる |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 既判力と形成力の区別 = 既判力は判決内容の拘束、形成力は処分の遡及的消滅。別概念。
- 🔴 第三者効(対世効) = 取消判決の効力は、当事者以外の第三者にも及ぶ。
- 🟡 民事訴訟との違い = 民事の既判力は原則当事者間のみ。取消判決の対世効とは異なる。
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執筆: SikakuQuest編集部