長の権限とは?一般的権限と、具体的な担任事務

公開: 更新: カテゴリ: 行政法

30秒で結論

長の権限とは(全体像)

高みから地方の統治を見渡そう。長の権限とは、地方公共団体の執行機関の中心である長(知事・市町村長)が持つ職務の範囲のことだ。住民が議会とは別に直接選ぶトップとして、行政を実際に動かす役割を担う。

その権限は、大きく一般的なもの具体的なものに分かれる。

この2つが土台で、そのうえに「具体的に何をするか」が並ぶ、という二段構えで捉えると見通しがよい。


詳しく:一般的権限と、具体的な担任事務

ここが心臓部。長の権限の全体像を上から俯瞰する。

長の権限の構造

区分内容
統轄代表権団体を統轄し、外部に対して代表する
事務管理執行権団体の事務を管理し、執行する一般的権限
具体的な担任事務議案提出・予算の調製と執行・地方税などの賦課徴収・決算を議会の認定に付す・会計の監督・財産の取得管理処分・公の施設の設置管理廃止 など

具体的な担任事務には、たとえば条例案など議案を議会に出すこと、予算をつくって執行すること、地方税や使用料を集めること、決算を議会の認定にかけることなどが含まれる。日々のお金と事務の流れを、長がまわしているイメージだ。

ここで一番のポイントを見渡そう。この具体的な担任事務の列挙は、「これだけしかできない」という限定列挙ではなく、代表例を挙げた「例示列挙」だということ。だから長は、そこに書かれた以外にも、執行機関として広い権限を持っている。

例示列挙か、限定列挙か

例示列挙(正しい理解)限定列挙(誤解)
意味代表例を挙げただけ挙げたものが全部
長の権限列挙以外にも広く及ぶ列挙された範囲に限られる

ただし、長が何でも単独で決められるわけではない。条例の制定や予算の議決といった議会の議決が必要な重要事項は、長だけでは決定できない。ここが長の権限の限界で、議会との二元代表制のバランスがはたらく場面だ。

わかりやすく言い換えると

要するに、長は団体という会社の「社長」のような立場。

つまり、①会社を代表してサインする役(統轄代表権)と、②日々の業務をまわす役(事務管理執行権)を兼ねていて、そのうえで予算・税・議案といった具体的な仕事を担当している、というイメージだ。

そして大事なのは、担当の一覧表は「例えばこういう仕事」と挙げた見本であって、それで全部ではないこと。社長の仕事は一覧に載っていないものも含めて広い。ただし、定款変更にあたる重要事項(議会の議決事件)は、社長一人では決められず取締役会(議会)の承認がいる──そんな関係で覚えるとラクだ。


試験のツボ

🔴 一番出る:例示列挙であること

①具体的な担任事務の列挙は「例示」

②だから長の権限は列挙以外にも広く及ぶ

🔴 次に出る:2つの一般的権限

①統轄代表権=団体を統轄し外部に代表

②事務管理執行権=事務を管理し執行

🟡 押さえると安定:権限の限界

①議会の議決が必要な重要事項は長だけで決められない

②二元代表制で議会とのバランスがはたらく


よくある間違い

「列挙された担任事務が長の権限の全て」→ ✗  あれは例示列挙。長は列挙以外にも広い権限を持つ。

「長は議会の議決なしに重要事項を決められる」→ ✗  条例制定や予算など議会の議決事件は、議会の議決が必要。

「統轄代表権と事務管理執行権は同じもの」→ ✗  代表・統轄の権限と、事務を執行する権限は別の一般的権限。


試験での出題パターン

実際の問題でたしかめてみよう。

オリジナル問題1(長の一般的権限)

📝 オリジナル問題 1 長の一般的な権限

地方公共団体の長の一般的な権限に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 長は団体を統轄して外部に対し代表するとともに、団体の事務を管理し執行する権限を持つ
  2. 長は団体を代表する権限のみを持ち、事務の管理や執行はすべて議会が直接担うものとされる
  3. 長は団体内部を統轄する権限だけを持ち、外部に対して代表する立場には立たないとされる
  4. 長は具体的に列挙された担任事務のみを行い、一般的な執行権は一切認められないとされる
コートイーグル
コートイーグル 解答・解説

解答は 1 だ。

上から見渡そう。長は、団体を統轄して外部に代表する権限と、事務を管理し執行する権限という、2つの一般的権限を持つ。これが土台だぞ。

選択肢2・3はこの土台の一部を欠き、選択肢4は一般的な執行権を否定していて、いずれも誤りだ。

選択肢判定理由
1統轄代表権と事務管理執行権の両方を持つ
2事務の執行も長の権限で、議会が直接担うものではない
3外部に対する代表も長の権限に含まれる
4列挙以外の一般的執行権も認められる

オリジナル問題2(担任事務の列挙の性質)

📝 オリジナル問題 2 担任事務の列挙の性質

長の具体的な担任事務として法に挙げられた事項の性質について、正しいものはどれか。

  1. 挙げられた事項は限定列挙であり、長はそこに書かれた事務以外を行えないものとされる
  2. 挙げられた事項は努力目標にすぎず、長が行うかどうかは自由に選べるものとされている
  3. 挙げられた事項は議会の権限を列挙したもので、長の権限とは直接関係しないものとされる
  4. 挙げられた事項は例示列挙であり、長はそれ以外の事務にも広い執行権を持つものとされる
コートイーグル
コートイーグル 解答・解説

解答は 4 だ。

全体像を俯瞰しよう。具体的な担任事務の列挙は例示列挙。代表例を挙げただけで、長の権限はそこに書かれた以外にも広く及ぶぞ。

選択肢1の「限定列挙」が一番ありがちな誤解だ。列挙=全部、と短絡しないこと。

選択肢判定理由
1限定列挙ではなく例示列挙である
2努力目標ではなく、長が担う事務として挙げられている
3議会ではなく長の担任事務の列挙
4例示列挙で、長は列挙以外にも広い権限を持つ

オリジナル問題3(長の権限の限界)

📝 オリジナル問題 3 長の権限の限界

長の権限の限界に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 長は執行機関の中心だから、条例の制定も予算も単独で決定できるものとされている
  2. 条例の制定や予算など議会の議決が必要な事項は、長だけで決定できないものとされる
  3. 長の権限はすべて議会の議決を経る必要があり、独自に執行できる事務はないとされる
  4. 長は議会が反対しても、あらゆる重要事項を最終的に単独で決定できるものとされる
コートイーグル
コートイーグル 解答・解説

解答は 2 だ。

高みから見渡そう。長は広い権限を持つが万能ではない。議会の議決が必要な重要事項(条例の制定や予算など)は、長だけでは決められないぞ。ここが権限の限界だ。

一方で、日々の事務は長が独自に執行できる。選択肢3の「すべて議決が必要」も行きすぎで誤りだ。

選択肢判定理由
1条例・予算は議会の議決が必要で単独決定できない
2議会の議決事件は長だけで決定できない
3日々の事務は長が独自に執行できる
4議会の議決事件を単独で決めることはできない

まとめ

押さえどころ

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執筆: SikakuQuest編集部

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