遺言(普通方式)とは(全体像)
遺言は、自分が亡くなったあとに財産をだれにどう渡すかを、生前に書き残しておくしくみ。ただし自由なメモではダメで、法律で決まった書き方(方式)に従わないと無効になる。これを「方式が決まっている=要式」という。
押さえる軸は次の2つ。
- 遺言ができるのは満15歳から。契約の成人年齢(18歳)とは別の基準で、15歳以上なら未成年でも単独で遺言できる。
- ふだん使う普通方式は3種類(自筆証書・公正証書・秘密証書)あり、状況に応じて選ぶ。
なお遺言の効力が出るのは、書いたときではなく、遺言した人が亡くなったとき。だから生前なら何度でも書き直せる(あとの遺言が優先)。
詳しく:この表だけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。普通方式3種類の違いは、次の表に全部つまっている。
普通方式の遺言 3種類の違い
| 自筆証書 | 公正証書 | 秘密証書 | |
|---|---|---|---|
| だれが書く | 本人が手書き | 公証人 | 本人(代筆もOK) |
| 証人 | 不要 | 2人以上 | 公証人1人+証人2人以上 |
| 検認 | 必要 | 不要 | 必要 |
| 特徴 | 手軽だが要件は厳格 | 確実だが手間と費用 | 内容を秘密にできる |
検認が要るか要らないかが、最大の出題ポイント。次の表で整理する。
検認が必要か(家庭裁判所の手続き)
| 保管のしかた | 検認 |
|---|---|
| 自筆証書(自宅で保管) | 必要 |
| 秘密証書 | 必要 |
| 公正証書 | 不要 |
| 自筆証書(法務局で保管) | 不要 |
自筆証書遺言は本文を全部手書きするのが原則(パソコン作成は無効)。ただし、添付する財産目録(財産のリスト)だけは手書きでなくてもよい(パソコン作成や通帳コピーでもOK・各ページに署名と押印は必要)。
公正証書遺言は公証人が作るので確実だが、証人2人以上が必要。秘密証書遺言は、内容を見せずに「自分の遺言がある」ことだけ証明してもらう方式。
なお、証人になれない人がいる(未成年者、財産をもらう相続人・受遺者やその配偶者・親子など、公証人の身内)。利害関係のある人を外して公正さを保つしくみ。
わかりやすく言い換えると
要するに、3種類は手間と確実さのトレードオフでイメージするとラク。
自筆証書は「自分でサッと書ける手軽な型」、公正証書は「プロ(公証人)に頼む確実な型」、秘密証書は「中身は内緒にしたい型」。
検認は「家庭裁判所が遺言書の状態を確認・記録する手続き」で、中身が有効かを判定するものではない。つまり、本人以外がきちんと作った公正証書と、国が預かる法務局保管の自筆証書は、改ざんの心配がないから検認がいらない、と覚えると筋が通る。
試験のツボ
🔴 一番出る:検認が要る/要らない
①自筆証書(自宅保管)= 必要
②秘密証書 = 必要
③公正証書 = 不要
④自筆証書(法務局保管)= 不要
🔴 次に出る:3種類の証人の数
①自筆証書 = 証人なし
②公正証書 = 証人2人以上
③秘密証書 = 公証人1人+証人2人以上
🟡 押さえると安定:遺言ができるのは15歳から(契約の18歳とは別)。効力が出るのは亡くなったときで、生前は何度でも書き直せる。
🟡 押さえると安定:自筆証書の財産目録だけは手書き不要(本文は手書き必須・目録は各ページに署名押印)。
よくある間違い
①「遺言はぜんぶ検認が必要」→ ✗ 公正証書と、法務局保管の自筆証書は検認が不要。
②「自筆証書は全部パソコンで作れる」→ ✗ 本文は手書き必須。財産目録だけは手書きでなくてもOK。
③「遺言は18歳から」→ ✗ 遺言は15歳から。契約の成人年齢18歳とは別の基準。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(遺言できる年齢と効力)
遺言に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 遺言は方式が自由で、口約束でも有効に成立し、書面にする必要はとくにないとされている
- 遺言ができるのは満20歳からで、未成年者は親の同意があっても一切作成できないとされる
- 遺言は満15歳に達した者ができ、その効力は遺言をした人が死亡したときに生じるとされる
- 遺言は作成した時点で効力が生じ、いったん書くと生前に撤回や書き直しはできないとされる
解答は 3 だっ。
わかりやすく言うと、遺言は満15歳からできて、効力が出るのは亡くなったときだっ!だから生前なら何度でも書き直せて、あとの遺言が優先されるよっ。
選択肢1は、遺言は決まった方式が必要で口約束では無効。選択肢2の「20歳から」は誤りで、正しくは15歳。選択肢4の「生前に撤回できない」も誤りだっ!
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 遺言は方式が決まっていて、口約束では成立しない |
| 2 | ✗ | 遺言は15歳からできる(20歳ではない) |
| 3 | ✓ | 15歳からでき、効力は死亡時に生じる |
| 4 | ✗ | 効力は死亡時で、生前は何度でも書き直せる |
オリジナル問題2(普通方式3種類の証人)
普通方式の遺言の証人に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 自筆証書遺言は証人2人以上が必要で、その2人は相続人の中から選ばなければならないとされる
- 公正証書遺言は公証人が作成するため、証人は一切不要で本人だけで作れるものとされている
- 秘密証書遺言は証人がまったく不要で、本人が封をして自宅に保管すれば成立するとされる
- 公正証書遺言は証人2人以上が必要で、財産をもらう相続人やその配偶者は証人になれない
解答は 4 である。
つまり、公正証書遺言には証人2人以上が必要で、財産をもらう相続人やその配偶者など利害関係のある人は証人になれないのである。
選択肢1は、自筆証書は証人が不要。選択肢2は、公正証書は証人2人以上が必要で誤り。選択肢3は、秘密証書は公証人1人と証人2人以上の前に出す方式で証人不要は誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 自筆証書は証人不要(相続人から選ぶ決まりもない) |
| 2 | ✗ | 公正証書は証人2人以上が必要 |
| 3 | ✗ | 秘密証書は公証人1人+証人2人以上の前に提出する |
| 4 | ✓ | 公正証書は証人2人以上、利害関係者は証人になれない |
オリジナル問題3(検認の要否)
遺言書の検認に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 公正証書遺言は、家庭裁判所での検認を受けなければ効力が認められないものとされている
- 自筆証書遺言を法務局で保管した場合には、家庭裁判所での検認は不要になるとされている
- 自宅で保管していた自筆証書遺言は、検認を受けなくてもそのまま手続きに使えるとされる
- 秘密証書遺言は内容が秘密のため、検認は一切行われず開封もできないものとされている
解答は 2 だよ。
要するに、検認はだれかが管理してくれた遺言には不要になる。法務局が預かった自筆証書遺言は改ざんの心配がないから、検認が不要になるんだ。
選択肢1は、公正証書は検認不要なので誤り。選択肢3は、自宅保管の自筆証書は検認が必要。選択肢4も、秘密証書は検認が必要で誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 公正証書遺言は検認が不要 |
| 2 | ✓ | 法務局保管の自筆証書は検認が不要になる |
| 3 | ✗ | 自宅保管の自筆証書は検認が必要 |
| 4 | ✗ | 秘密証書は検認が必要 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 普通方式は3種類 = 自筆証書(本人手書き・証人なし)/公正証書(公証人・証人2人以上)/秘密証書(内容を秘密に・公証人1人+証人2人以上)。
- 🔴 検認の要否 = 自宅の自筆・秘密証書は必要、公正証書と法務局保管の自筆は不要。
- 🟡 遺言は15歳からでき、効力は死亡時(生前は書き直し自由)。自筆証書の財産目録だけは手書き不要。
次に学ぶ
- 遺留分 ── 全財産を特定の人に遺贈する遺言でも、一定の相続人には最低限の取り分が保障されるしくみ。
- 相続の承認・放棄 ── 遺言で財産が指定されても、相続人は受け取るか放棄するかを選べる。
- 法定相続分 ── 遺言がない場合に、だれがどれだけ相続するかを決めるルール。遺言との対比で押さえる。
執筆: SikakuQuest編集部