遺言執行とは(全体像)
遺言執行は、亡くなった人が残した遺言のとおりに、財産の引き継ぎや名義変更などを実際に進めること。これを担当する人を遺言執行者といい、遺言のなかで指定しておくことができる。
押さえるのは、遺言を使う前に必要になることがある検認という手続き。検認は、家庭裁判所で遺言の内容を確認・記録し、後で偽造・改ざんされるのを防ぐためのもの。
ここで大事なのは、遺言の種類によって検認が必要かどうかが変わること。
詳しく:検認が必要・不要の区分
ここが記事の心臓部。検認の要否は、次の表に整理できる。
検認が必要か・不要か
| 遺言の種類 | 検認 |
|---|---|
| 自筆証書遺言(保管制度を使わない) | 必要(家庭裁判所) |
| 自筆証書遺言(法務局の保管制度を利用) | 不要 |
| 公正証書遺言 | 不要 |
ポイントは、手書きの自筆証書遺言でも、法務局の保管制度を使えば検認が不要になること。そして、公証人が関わる公正証書遺言は、もともと検認が不要。
もう一つ重要なのが、検認は遺言が有効か無効かを判定する手続きではないこと。あくまで偽造・改ざんを防ぐための確認であって、検認を受けたからといって内容が有効と認められるわけではない。
わかりやすく言い換えると
要するに、「ふつうの自筆証書遺言だけ家庭裁判所の検認が必要、公正証書と保管制度ありの自筆証書は不要」ということ。
①検認が必要 … 保管制度を使わない自筆証書遺言
②検認が不要 … 公正証書遺言/保管制度を使った自筆証書遺言
③検認は偽造を防ぐ確認であって、有効・無効を決めるものではない
つまり、「検認が必要なのは保管制度なしの自筆証書だけ」「検認=有効性の判定ではない」が試験のポイント。
試験のツボ
🔴 一番出る:検認が必要な遺言
①保管制度を使わない自筆証書遺言は検認が必要
②検認は家庭裁判所で行う
🔴 次に出る:検認が不要な遺言
①公正証書遺言は検認が不要
②保管制度を使った自筆証書遺言も検認が不要
🟡 押さえると安定:検認の意味
①偽造・改ざんを防ぐための確認
②遺言が有効か無効かを判定するものではない
よくある間違い
①「公正証書遺言にも家庭裁判所の検認が必要」→ ✗ 公正証書遺言は検認が不要。
②「検認を受ければ遺言が有効だと認められる」→ ✗ 検認は偽造防止の確認で、有効・無効は判定しない。
③「遺言執行者は必ず家庭裁判所が選ぶ」→ ✗ 遺言執行者は遺言で指定しておくことができる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(検認が必要な遺言)
遺言の検認について、正しいものはどれか。
- 保管制度を使わない自筆証書遺言は、開封の前に家庭裁判所の検認が必要である
- 公正証書遺言は、開封する前に必ず家庭裁判所の検認を受ける必要があるものとされている
- 遺言はどの種類でも、検認をまったく受けなくてよいものと定められているとされる
- 検認は、遺言を書いた本人が生きているうちに受けておくものとされている
解答は 1 だよ。
保管制度を使わない自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認が必要なんだ。手書きの遺言を開ける前に、内容を確認・記録する手続きだよ。
選択肢2の「公正証書も検認必要」は誤り(不要)。選択肢3の「どれも不要」、選択肢4の「生きているうちに」も誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 保管制度なしの自筆証書は検認必要 |
| 2 | ✗ | 公正証書遺言は検認不要 |
| 3 | ✗ | 自筆証書は検認が必要 |
| 4 | ✗ | 検認は亡くなったあとの手続き |
オリジナル問題2(検認の意味)
遺言の検認の意味について、正しいものはどれか。
- 検認を受けると、その遺言の内容が法的に有効だと確定するものとされている
- 検認は、遺言の偽造や改ざんを防ぐための確認で、有効か無効かを判定するものではない
- 検認は、遺言の内容を相続人の希望どおりに書き直すための手続きであるとされている
- 検認を受けなかった遺言は、その時点で自動的に無効になるものと定められているとされる
解答は 2 だっ。
検認は、遺言の偽造や改ざんを防ぐための確認だっ!遺言が有効か無効かを判定する手続きではないよっ。検認を受けても、内容が有効と認められるわけではないんだっ。
選択肢1の「有効が確定」、選択肢3の「書き直す」、選択肢4の「自動的に無効」は、どれも誤りだっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 有効性を確定するものではない |
| 2 | ✓ | 偽造防止の確認で有効性は判定しない |
| 3 | ✗ | 書き直す手続きではない |
| 4 | ✗ | 検認なしで即無効ではない |
オリジナル問題3(遺言執行者)
遺言執行者について、正しいものはどれか。
- 遺言執行者は、必ず相続人の多数決で選ばなければならないものとされている
- 遺言執行者は、税務署が相続人の中から自動的に選ぶものと定められているとされる
- 遺言執行者は、遺言のなかで本人があらかじめ自由に指定しておくことができる
- 遺言執行者は、遺言の内容を自由に変更する権限を持つものとされている
解答は 3 である。
遺言執行者は、遺言のなかであらかじめ指定しておくことができる。指定された人が、財産の名義変更など遺言の内容を実現していく。
選択肢1の「多数決で選ぶ」、選択肢2の「税務署が選ぶ」、選択肢4の「内容を自由に変更」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 多数決で選ぶのではない |
| 2 | ✗ | 税務署が選ぶのではない |
| 3 | ✓ | 遺言で指定しておける |
| 4 | ✗ | 内容を変更する権限はない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 検認が必要 = 保管制度を使わない自筆証書遺言(家庭裁判所で行う)。
- 🔴 検認が不要 = 公正証書遺言/法務局の保管制度を使った自筆証書遺言。
- 🟡 検認は偽造防止の確認であって、遺言の有効・無効を判定するものではない。
次に学ぶ
- 遺言 ── 遺言の種類(自筆証書・公正証書など)の基本。検認の要否とつながる。
- 遺産分割 ── 遺言があれば指定分割が最優先。執行とあわせて押さえる。
- 成年後見制度 ── 判断能力が十分でない人を支える制度。将来への備えとして遺言と並ぶ。
執筆: SikakuQuest編集部