遺留分とは?一定の相続人に必ず残される最低限の取り分

公開: 更新: カテゴリ: 相続事業承継

30秒で結論

遺留分とは(全体像)

遺留分は、遺言や生前贈与によっても奪われない、一定の相続人に保障された最低限の取り分のこと。被相続人には財産を自由に処分する権利があるが、その自由を一部だけ制限して、残された家族の生活の土台を守るしくみだ。

押さえるのは3つの段階。

侵害されたときは「不足分をお金で払って」と請求する形になっている。


詳しく:この表で全体をつかむ

ここが記事の心臓部。遺留分の中身は、次の3つの表につまっている。

誰に遺留分があるか・全体の割合(総割合)

相続人遺留分総割合(全体の割合)
配偶者あり1/2
子(直系卑属)あり1/2
直系尊属(親など)あり親だけなら1/3・配偶者と並ぶなら1/2
兄弟姉妹なし(対象外)

総割合は2パターンだけ。直系尊属(親)だけが相続人なら1/3、それ以外(配偶者や子がいる)は1/2。つまり、兄弟姉妹は相続人になることはあっても、遺留分は認められない。

一人ずつの取り分(個別遺留分=総割合×法定相続分)

相続人の構成配偶者血族(子・親)
配偶者+子1/4子全体で1/4(複数なら按分)
配偶者+直系尊属1/3親全体で1/6(複数なら按分)
配偶者+兄弟姉妹1/2兄弟姉妹は0
子だけ(なし)子全体で1/2
直系尊属だけ(なし)親全体で1/3

一人ずつの取り分は「総割合 × その人の法定相続分」で出す。配偶者と子なら全体1/2を半分ずつにして配偶者1/4・子1/4。子が3人なら子の1/4をさらに3等分する。

計算のもとになる財産(算定基礎財産)は、相続開始時の財産+一定の生前贈与−借金。足す生前贈与は原則1年以内、ただし身内(相続人)への特別な贈与は10年以内まで。

侵害されたとき・放棄するとき

項目内容
請求の方法お金で請求する(遺留分侵害額請求権)。昔はモノを取り戻す形だったが、現在は金銭で請求する
負担する順番遺贈を受けた人が先、贈与は新しいものから
時効侵害を知った時から1年・相続開始から10年で打ち切り
生前の放棄相続開始前に放棄するには家庭裁判所の許可が必要
一人が放棄したらその分は他の人に上乗せされない

昔は「俺の取り分の分、その不動産を返せ」とモノそのものを取り戻す形だった。それだと不動産が共有になって事業の跡継ぎが困るため、現在は「不足分はお金で払って」と金銭で請求する形に変わっている。

わかりやすく言い換えると

要するに、むずかしく考えず、こう覚えるとラク。

遺留分は「遺言があっても、配偶者・子・親に必ず残しておく最低限の取り分」。兄弟姉妹は対象外。

全体の割合は「親だけ1/3、あとは1/2」。一人ずつは「全体 × その人の法定相続分」の掛け算。

侵されたら「お金で返して」と請求し、期限は「知ってから1年」。


試験のツボ

🔴 一番出る:誰にあって、全体でいくらか

①遺留分があるのは = 配偶者・子・直系尊属(兄弟姉妹にはない

②総割合 = 親だけなら1/3・それ以外は1/2

🔴 次に出る:一人ずつの取り分と、お金での請求

①個別遺留分 = 総割合 × 法定相続分(配偶者+子なら各1/4、配偶者+親なら配偶者1/3・親1/6)

②侵害されたら = お金で請求する(侵害額請求権)。時効は知った時から1年・相続開始から10年

🟡 押さえると安定:放棄のルール

①生前の放棄 = 家庭裁判所の許可が必要

②一人が放棄しても = その分は他の人に上乗せされない


よくある間違い

「兄弟姉妹にも遺留分がある」→ ✗  遺留分があるのは配偶者・子・直系尊属だけ。兄弟姉妹にはない。

「侵害額請求は今もモノを取り戻す形」→ ✗  現在はお金で請求する形(金銭債権)に変わっている。

「遺留分の放棄=相続放棄」→ ✗  遺留分の放棄は遺留分だけを手放すこと。相続権は残るので遺産分割には参加できる。相続放棄(立場ごと全部やめる)とは別物。


試験での出題パターン

実際の問題でたしかめてみよう。

オリジナル問題1(遺留分権利者と総割合)

📝 オリジナル問題 1 遺留分権利者と総割合

遺留分の権利者と総割合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 権利者には配偶者・子・直系尊属に加えて兄弟姉妹も当然に含まれ、総割合は相続人の構成に関係なく常に3分の1である
  2. 権利者は配偶者・子・直系尊属で兄弟姉妹は対象外であり、総割合は直系尊属だけなら3分の1で残りは2分の1である
  3. 権利者は配偶者と子だけで直系尊属には認められず、総割合は配偶者がいる場合だけ3分の2に広がるものである
  4. 権利者は子と直系尊属だけで配偶者は対象外となり、総割合は子がいる場合に限り4分の1まで縮むものである
マネケンジャ
マネケンジャ 解答・解説

解答は 2 である。

つまり、遺留分があるのは配偶者・子・直系尊属で、兄弟姉妹にはない。総割合は、親(直系尊属)だけが相続人なら1/3・それ以外は1/2の2パターンだ。

選択肢1の「兄弟姉妹も含む・一律1/3」、選択肢3の「直系尊属になし・2/3」、選択肢4の「配偶者は対象外」はいずれも誤り。

選択肢判定理由
1兄弟姉妹に遺留分はなく、総割合は1/2か1/3で一律1/3ではない
2兄弟姉妹は対象外、総割合は親だけ1/3・それ以外1/2で正しい
3直系尊属にも遺留分があり、2/3という区分はない
4配偶者も権利者であり、1/4という総割合の区分はない

オリジナル問題2(侵害額請求権と時効・放棄)

📝 オリジナル問題 2 侵害額請求権と時効・放棄

遺留分侵害額請求権とその関連ルールに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 侵害額請求権は今もモノそのものを取り戻す権利であって、時効や放棄についての制限はとくに設けられていないとされる
  2. 侵害額請求権はお金で請求する権利だが負担の順番は贈与が先で、時効は相続開始から30年で放棄には裁判所の関与は要らない
  3. 侵害額請求権はお金で請求する権利で時効はないが、共同相続人の一人が放棄するとその分が他の相続人へ上乗せされる
  4. 侵害額請求権はお金で請求する権利で、時効は知った時から1年・相続開始から10年で、生前の放棄には家裁の許可が要る
プランリス
プランリス 解答・解説

解答は 4 だっ。

要するに、遺留分を侵されたらお金で請求する(侵害額請求権)。時効は知った時から1年・相続開始から10年で、生前の放棄は家庭裁判所の許可が必要だっ!

選択肢1の「モノを取り戻す・制限なし」、選択肢2の「贈与が先・時効30年」、選択肢3の「時効なし・他へ上乗せ」はいずれも誤りだよっ。

選択肢判定理由
1現在は金銭で請求する形で、時効も放棄の規律もある
2負担する順番は遺贈が先で、時効は1年と10年である
3時効はあり、一人の放棄は他の人に上乗せされない
4金銭で請求・時効1年/10年・生前の放棄は家裁許可で正しい

オリジナル問題3(個別遺留分の計算)

📝 オリジナル問題 3 個別遺留分の計算

個別の遺留分(一人ずつの取り分)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 個別の遺留分は総割合に法定相続分を掛けて求め、配偶者と子が相続人ならそれぞれ4分の1ずつとなる
  2. 個別の遺留分は配偶者だけに認められ、子や直系尊属には一切認められないものとされている
  3. 個別の遺留分は総割合をそのまま用い法定相続分は掛けないので、相続人が何人いても各自の取り分は変わらない
  4. 個別の遺留分は法定相続分だけで決まり総割合は関係せず、配偶者と子なら配偶者が3分の2を得るものである
インスキメ
インスキメ 解答・解説

解答は 1 だよ。

つまり、一人ずつの取り分は「総割合 × 法定相続分」で出す。配偶者と子なら、全体の1/2を二人で半分ずつにするので、配偶者1/4・子1/4になるんだ。

選択肢2の「配偶者だけ」、選択肢3の「法定相続分を掛けない」、選択肢4の「総割合は関係ない・配偶者2/3」はいずれも誤りだよ。

選択肢判定理由
1総割合×法定相続分で、配偶者+子なら各1/4で正しい
2子や直系尊属にも個別の遺留分がある
3法定相続分を掛けるので、人数で取り分は変わる
4総割合も用い、配偶者+子の配偶者は1/4である

まとめ

押さえどころ

次に学ぶ


執筆: SikakuQuest編集部

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