会社設立(法人成り)とは(全体像)
法人成りとは、いままで個人事業主としてやってきた事業を、法人(会社)の形にすること。事業の規模が大きくなり、所得が増えてくると検討される。
ポイントは、メリットとデメリットの両方があること。所得が大きい人ほどメリットが出やすいが、規模が小さいうちは社会保険料の負担などでかえって不利になることもある。「だれでも得」ではなく、規模しだいで損得が変わる、と押さえるとよい。
詳しく:メリットとデメリット
ここが記事の心臓部。法人成りのメリットとデメリットを並べて押さえる。
法人成りのメリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 所得の分散 | 自分や家族に給与を払い、給与所得控除を使える |
| 社会的信用 | 取引や採用、融資の面で信用が高まりやすい |
| 経費の範囲 | 経費にできる範囲が広がる |
法人成りのデメリット
| デメリット | 内容 |
|---|---|
| 社会保険 | 社会保険に強制加入し、保険料の負担が増える |
| 手続き・税務 | 設立や運営の手続き、税務処理が複雑になる |
| 赤字でも負担 | 赤字でも法人住民税の均等割がかかる |
とくに試験で狙われるのが、社会保険への強制加入。法人になると、社長一人でも社会保険に入ることになり、その保険料の負担が増える。メリットだけでなく、この負担増もセットで覚える。
わかりやすく言い換えると
要するに、法人成りは「個人事業を会社にして、所得を給与に分けて節税する」こと。
つまり、メリットは「分散・信用・経費」、デメリットは「社会保険の負担増・手続きの複雑さ」。所得が大きい人ほど効果が出やすい、と覚える。
①メリット … 所得分散(給与所得控除)・信用・経費の範囲
②デメリット … 社会保険の強制加入で負担増・手続きが複雑
③判断 … だれでも得ではなく、規模(所得)しだい
試験のツボ
🔴 一番出る:メリット
①所得を分散できる(給与にして給与所得控除を使える)
②社会的信用が高まる・経費の範囲が広がる
🔴 次に出る:デメリット
①社会保険に強制加入し、保険料の負担が増える
②設立・運営の手続きや税務処理が複雑になる
🟡 押さえると安定:判断のしかた
①だれでも得ではなく、所得(規模)が大きいほど効果が出やすい
よくある間違い
①「法人成りはだれにとっても必ず得になる」→ ✗ 規模しだい。所得が小さいうちは社会保険料などでかえって不利なこともある。
②「法人成りすると社会保険の負担はなくなる」→ ✗ むしろ社会保険に強制加入し、保険料の負担は増える。
③「法人成りには所得を分散する効果はない」→ ✗ 給与にして給与所得控除を使うなど、所得を分散できるのがメリット。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(メリット)
法人成りのメリットに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 法人成りをすると所得をまとめて一人に集中させ、税の負担を重くできるものとされている
- 法人成りをすると、自分や家族に給与を払って所得を分散し、給与所得控除を使える
- 法人成りをしても社会的信用は変わらず、取引や融資の面での利点はないものとされている
- 法人成りをすると経費にできる範囲がかえってせまくなるものとされている
解答は 2 だよ。
法人成りのメリットは、自分や家族に給与を払って所得を分散できること。給与にすると給与所得控除が使えるので、所得が大きい人ほど節税の効果が出やすいよ。
選択肢1の「一人に集中」、選択肢3の「信用は変わらない」、選択肢4の「経費がせまくなる」はどれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 集中ではなく分散できる |
| 2 | ✓ | 所得分散・給与所得控除で正しい |
| 3 | ✗ | 社会的信用は高まりやすい |
| 4 | ✗ | 経費の範囲はむしろ広がる |
オリジナル問題2(デメリット)
法人成りのデメリットに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 法人成りをすると社会保険の負担がいっさいなくなり、手続きも簡単になるものとされている
- 法人成りをしても、設立や運営の手続きは個人事業のときと変わらないものとされている
- 法人成りをすると、赤字の年は税金や負担がいっさい発生しなくなるものとされている
- 法人成りをすると社会保険に強制加入し、保険料の負担が増えるうえ手続きも複雑になる
解答は 4 だっ。
法人成りのデメリットは、社会保険に強制加入して保険料の負担が増えることや、設立・運営の手続きが複雑になることだよっ。赤字でも法人住民税の均等割がかかる点も覚えておこうっ。
選択肢1の「負担がなくなる」、選択肢2の「変わらない」、選択肢3の「赤字なら負担ゼロ」は、どれも誤りだよっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 社会保険の負担はむしろ増える |
| 2 | ✗ | 手続きは複雑になる |
| 3 | ✗ | 赤字でも均等割がかかる |
| 4 | ✓ | 社会保険の強制加入・手続き複雑で正しい |
オリジナル問題3(判断のしかた)
法人成りの損得に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 法人成りはどんな規模の事業でも、必ず同じだけ得になるものとされている
- 法人成りは所得が少ないほど節税効果が大きくなり、得になりやすいものとされている
- 法人成りはだれでも得とは限らず、所得(規模)が大きいほど効果が出やすい
- 法人成りは個人事業のままより必ず損になるので、検討する意味はないものとされている
解答は 3 である。
法人成りは、だれでも得とは限らず、所得(規模)が大きいほど効果が出やすい。規模が小さいうちは社会保険料などの負担で、かえって不利になることもある。
選択肢1の「必ず同じだけ得」、選択肢2の「所得が少ないほど得」、選択肢4の「必ず損」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 規模で損得が変わる |
| 2 | ✗ | 所得が大きいほど効果が出やすい |
| 3 | ✓ | 規模が大きいほど効果が出やすくて正しい |
| 4 | ✗ | 必ず損になるわけではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 メリットは所得分散・信用・経費。給与にして給与所得控除を使える。
- 🔴 デメリットは社会保険の強制加入で負担増・手続きの複雑さ。赤字でも均等割がかかる。
- 🟡 だれでも得ではなく規模しだい。所得が大きいほど効果が出やすい。
次に学ぶ
- 法人税 ── 法人にかかる税金のしくみ。法人成り後の税の土台。
- 給与所得 ── 給与にかかる所得と給与所得控除。所得分散のカギ。
- 確定申告 ── 事業者の申告・納付の手続き。個人事業との違いをあわせて。
執筆: SikakuQuest編集部