給与所得とは(全体像)
給与所得は、雇われて働く人が、その労働の対価として受け取る給料・賞与・手当の所得のこと。会社員・公務員・パート・アルバイトはもちろん、会社の役員が受け取る役員報酬・役員賞与も給与所得に入る。
自営業者が事業で稼いだお金は「事業所得」、年金や副業は「雑所得」というように別の区分になる。つまり、雇用関係にもとづく労働の対価かどうかが見分けるポイント。
そして給与所得のいちばん大事な特徴が、収入そのままに課税されるのではなく、給与所得控除という「みなしの経費」を引いた残りに課税されること。自営業のように領収書を集めて経費を計算しなくても、収入額に応じた控除が自動で受けられる。
詳しく:この3つを押さえれば戦える
ここが記事の心臓部。給与所得は次の3つで整理できる。
① 対象(何が給与所得か)
給与所得になるもの
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 給与・俸給・賃金 | 月給・週給など、労働の対価として支払われる金銭 |
| 賞与 | ボーナス・期末手当などの臨時の給付 |
| 各種手当 | 家族手当・住宅手当・残業手当など |
| 役員報酬 | 会社の役員に支払う報酬・賞与(役員も給与所得) |
通勤手当(月15万円までの一定額)や出張旅費などは非課税で、給与所得に含めない。
② 計算(収入金額-給与所得控除)
給与所得控除の額(収入金額に応じて変わる)
| 給与の収入金額 | 給与所得控除額 |
|---|---|
| 220万円以下 | 74万円(これが最低額) |
| 220万円超〜360万円以下 | 収入金額×30%+8万円 |
| 360万円超〜660万円以下 | 収入金額×20%+44万円 |
| 660万円超〜850万円以下 | 収入金額×10%+110万円 |
| 850万円超 | 195万円(これが上限・頭打ち) |
給与所得控除は会社員の必要経費にあたるもので、収入が増えるほど控除の割合は下がり、最低74万円・上限195万円の間で決まる。最低額の数字や区切りは制度改正で動くことがあるので、受験する年度の最新の数字で確認しておくと確実。
③ 課税方法(源泉徴収+年末調整)
給与所得者の税金の流れ
給与所得は原則として総合課税(ほかの所得と合算して累進税率で課税)。会社が天引きと精算をしてくれるので、多くの会社員は自分で申告する必要がない、というのが大きな特徴。
わかりやすく言い換えると
つまり給与所得は、「給料からみなしの経費(給与所得控除)を引いた残りに税金がかかり、その税金は会社が代わりに天引き・精算してくれる」という、いちばん手間のかからない所得だと考えるとわかりやすい。自営業者が自分で経費を計算して確定申告するのとは対照的。
試験のツボ
🔴 一番出る:計算式と給与所得控除の額
①給与所得=収入金額-給与所得控除
②給与所得控除は最低74万円・上限195万円(850万円超で頭打ち)
🔴 次に出る:源泉徴収+年末調整で原則確定申告不要
①会社が天引き(源泉徴収)し、12月に精算(年末調整)する
②給与収入2,000万円超・2か所以上の給与・給与以外の所得20万円超などは確定申告が必要
🟡 押さえると安定:対象には役員報酬も入る
①給与・俸給・賃金・賞与・各種手当・役員報酬が給与所得
②自営業の事業の所得は事業所得で別区分
よくある間違い
①「給料の額がそのまま給与所得になる」→ ✗ 収入から給与所得控除を引いた残りが給与所得。控除なしではない。
②「給与所得者は必ず確定申告がいる」→ ✗ 原則は年末調整で完結し、確定申告は不要。2,000万円超などが例外。
③「給与所得控除はいくらでも一律74万円」→ ✗ 収入に応じて変わる段階制で、上限は195万円。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(給与所得の対象)
給与所得の対象に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 給与所得は、自営業者が事業で得た所得だけを対象とする所得区分であるとされている
- 給与所得は、雇われて働く人が労働の対価として受け取る給料や賞与を対象とする所得である
- 給与所得は、受け取った給料の額にかかわらず所得金額が常にゼロになる所得区分であるとされる
- 給与所得は、株式の配当として受け取った金銭だけを対象とする所得区分であるとされている
解答は 2 だよ。
要するに、給与所得は会社員・公務員・パート・アルバイトなどが、雇用関係にもとづいて労働の対価として受け取る給料・賞与・各種手当の所得なんだ。会社の役員に支払う役員報酬・役員賞与も給与所得に入るよ。自営業者が事業で得た所得は事業所得、配当として受け取る金銭は配当所得で、それぞれ別の区分になるんだ。「雇われて働いた対価かどうか」で見分けてね。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 事業の所得は事業所得で別区分 |
| 2 | ✓ | 労働の対価として受け取る給料・賞与が対象で正しい |
| 3 | ✗ | 控除後の残りが所得で、常にゼロにはならない |
| 4 | ✗ | 配当は配当所得で別区分 |
オリジナル問題2(計算と給与所得控除)
給与所得の計算に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 給与所得の金額は、受け取った給料の収入金額がそのまま給与所得の金額になるとされている
- 給与所得の計算では、給与所得控除は収入にかかわらず一律で200万円が引かれるものとされる
- 給与所得の金額は、収入金額に給与所得控除を足し合わせた合計額になるものとされている
- 給与所得は収入金額から給与所得控除を引いて求め、控除は最低74万円・上限195万円である
解答は 4 だっ。
つまり給与所得は「収入金額-給与所得控除=給与所得の金額」で求めるんだっ!給与所得控除は会社員の必要経費にあたるもので、収入が増えるほど割合は下がり、最低74万円・上限195万円(給与収入850万円超で頭打ち)の段階制だっ!収入がそのまま所得になるのでも、足し合わせるのでも、一律200万円でもないっ。「収入-給与所得控除=給与所得」をリズムで押さえろっ!
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 給与所得控除を引いた残りが所得 |
| 2 | ✗ | 一律ではなく段階制で、上限は195万円 |
| 3 | ✗ | 足すのではなく引いて求める |
| 4 | ✓ | 収入金額-給与所得控除で求め、最低74万・上限195万で正しい |
オリジナル問題3(源泉徴収・年末調整)
給与所得者の源泉徴収と年末調整に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 給与所得者は会社による源泉徴収と年末調整で精算され、原則として確定申告がいらないとされる
- 給与所得者は、収入の額にかかわらず全員が必ず自分で確定申告をしなければならないとされる
- 給与所得者の税金は、会社が天引きをいっさい行わず、本人が毎月国に直接納めるものとされている
- 給与所得者は、年末調整という制度そのものが存在せず、税額の精算は行われないものとされている
解答は 1 である。
つまり給与所得者の税金は、会社が毎月の給料から所得税を天引きし(源泉徴収)、12月に1年分を精算する(年末調整)流れで完結するため、原則として自分で確定申告をする必要がない。ただし、給与収入が2,000万円超・2か所以上から給与を受ける・給与以外の所得が20万円超・医療費控除などを受ける、といった場合は確定申告が必要になる。天引きがない、年末調整がない、全員必ず申告、はいずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 源泉徴収と年末調整で精算され原則確定申告不要で正しい |
| 2 | ✗ | 原則は年末調整で完結し、全員申告ではない |
| 3 | ✗ | 会社が天引き(源泉徴収)する |
| 4 | ✗ | 年末調整制度があり税額が精算される |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 計算=収入金額-給与所得控除。給与所得控除は会社員の必要経費にあたるもので、最低74万円・上限195万円(850万円超で頭打ち)の段階制。
- 🔴 源泉徴収+年末調整で原則確定申告不要。例外は給与収入2,000万円超・2か所以上の給与・給与以外の所得20万円超・医療費控除などを受けるとき。
- 🟡 対象は給料・賞与・各種手当・役員報酬。自営業の事業の所得(事業所得)とは別区分。
次に学ぶ
- 事業所得 ── 自営業が事業で得る所得。経費を実額で引く点が、給与所得控除を引く給与所得との対比になる。
- 所得税の仕組み ── 所得を10種類に分け、総合課税と分離課税に分かれる全体像。給与所得はその1つ。
- 不動産所得 ── 土地や建物の貸付で得る所得。総収入から必要経費を引く計算と比べると整理しやすい。
執筆: SikakuQuest編集部