事業所得とは(全体像)
事業所得は、自分で事業を営んで得る所得のこと。農業・漁業・製造業・建設業・卸売業・小売業・サービス業(医師・弁護士・税理士などの士業も含む)など、はばひろく当てはまる。お店の経営、フリーランス、個人事業主の所得がここに入る。
計算はとてもシンプル。
- 総収入金額 − 必要経費 = 事業所得の金額
そして試験の主役は青色申告。きちんと帳簿をつけることと引きかえに、税金が軽くなる特典がもらえる仕組み。これに対し、申請せずふつうに申告するのが「白色申告」で、特典はつかない。
なお、不動産の貸付による所得は「不動産所得」、副業などで事業といえる規模に至らないものは「雑所得」となり、事業所得とは別に整理される。
詳しく:この表だけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。事業所得は「計算式」と「青色申告の特典」の2つを押さえれば戦える。
事業所得の計算と区分
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 計算式 | 総収入金額 − 必要経費 = 事業所得の金額 |
| 総収入金額 | 売上高・受取手数料 など |
| 必要経費 | 仕入(売上原価)・人件費・地代家賃・水道光熱費・減価償却費 など(事業に必要な支出だけ) |
| 課税方法 | 総合課税(ほかの所得と合算して累進課税) |
| 損失が出たら | ほかの所得と損益通算できる |
青色申告の特典が、いちばんよく出る。
青色申告の主な特典
| 特典 | 内容 |
|---|---|
| 青色申告特別控除 | 65万円(複式簿記+e-Taxまたは電子帳簿保存)/55万円(複式簿記だが電子要件なし)/10万円(簡易な簿記) |
| 青色事業専従者給与 | 生計を一にする家族へ払う給与を必要経費にできる |
| 純損失の繰越控除 | 事業の赤字を翌年以降3年間くりこして所得から引ける |
| 純損失の繰戻還付 | 前年に納めた所得税を返してもらえる(繰戻還付) |
青色申告は自動ではない。「青色申告承認申請書」を税務署に出して承認を受ける必要がある。提出期限は、適用したい年の3月15日まで(新規開業なら開業から2か月以内)。
わかりやすく言い換えると
要するに、事業所得は「自分で稼いだ売上から、かかった経費を引いた残り」。とてもシンプル。
つまり、売上がそのまま課税されるのではなく、経費を引いた残りに税金がかかる。
そして試験で得点源になるのは青色申告の特典。とくに特別控除の3段階は、こう整理するとラク。
①65万円 … きっちり複式簿記 + デジタル(e-Taxか電子帳簿)
②55万円 … きっちり複式簿記だけど、デジタルはなし
③10万円 … かんたんな帳簿
試験のツボ
🔴 一番出る:青色申告特別控除の3段階
①65万円 = 複式簿記 + e-Taxまたは電子帳簿保存
②55万円 = 複式簿記だが電子要件なし
③10万円 = 簡易な簿記
🔴 次に出る:純損失の繰越控除は「3年」
①青色申告者の特典
②事業の赤字を翌年以降3年間くりこせる
🟡 押さえると安定:計算式は「総収入金額 − 必要経費」(総合課税・損益通算できる)
🟡 青色申告は自動ではない(「青色申告承認申請書」を3月15日までに提出して承認が必要)
よくある間違い
①「事業を始めれば自動で青色申告になる」→ ✗ 申請書を出して承認を受けないと白色申告。特典はつかない。
②「青色なら一律65万円」→ ✗ 65万円は複式簿記+電子要件が必要。電子なしは55万円、簡易簿記は10万円。
③「副業の収入はぜんぶ事業所得」→ ✗ 事業といえる規模かどうかで判定。事業に至らない規模なら雑所得。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(事業所得の対象)
事業所得に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 事業所得は、銀行などの金融機関に預けた預貯金の利子から生じる所得だけを対象とするものとされている
- 事業所得は、農業・小売業・サービス業など自分が事業主として営む事業から生じる所得を対象とする
- 事業所得は、勤務先の会社に雇われて受け取る給与や賞与から生じる所得だけを対象とするとされる
- 事業所得は、保有する土地や建物を貸し付けることによって生じる所得だけを対象とするとされる
解答は 2 だよ。
事業所得は、農業・漁業・製造業・卸売業・小売業・サービス業など、自分が事業主として営む事業から生じる所得が対象なんだ。お店の経営やフリーランス、個人事業主の所得が広く入るよ。
つまり、選択肢1の預貯金の利子は「利子所得」、選択肢3の給与は「給与所得」、選択肢4の土地・建物の貸付は「不動産所得」で、どれも別の区分。混ざらないように「事業所得=自分で営む事業の所得」と押さえてね。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 預貯金の利子は利子所得 |
| 2 | ✓ | 自分が営む事業から生じる所得で正しい |
| 3 | ✗ | 雇われて受け取る給与は給与所得 |
| 4 | ✗ | 土地・建物の貸付は不動産所得 |
オリジナル問題2(青色申告の特典)
青色申告の特典に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 青色申告では、事業を始めさえすれば自動的に承認を受けられ、申請書の提出はいっさい不要とされている
- 青色申告では、事業の純損失を翌年以降にくりこすことは、いっさい認められないものとされている
- 青色申告では、家族へ支払う給与であっても、必要経費に入れることは認められないものとされる
- 青色申告では、事業の純損失を翌年以降3年間にわたりくりこして所得から控除することが認められている
解答は 4 である。
要するに、青色申告者は事業の赤字(純損失)を翌年以降3年間くりこして、その年の所得から差し引ける。これを「純損失の繰越控除」という。前年に納めた所得税を返してもらう「繰戻還付」を選ぶこともできる。
選択肢1は誤りで、青色申告は「青色申告承認申請書」を出して承認を受ける必要がある(自動ではない)。選択肢3も誤りで、生計を一にする家族への給与は「青色事業専従者給与」として必要経費にできる。「3年くりこし・専従者給与」を押さえる。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 承認申請書の提出と承認が必要で自動ではない |
| 2 | ✗ | 純損失は翌年以降3年間くりこせる |
| 3 | ✗ | 家族への給与は専従者給与として必要経費にできる |
| 4 | ✓ | 純損失を3年間くりこして控除できる |
オリジナル問題3(青色申告特別控除)
青色申告特別控除に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 青色申告特別控除は、複式簿記とe-Taxなどの電子要件を満たすと65万円が受けられる
- 青色申告特別控除は、帳簿のつけ方にかかわらず、つねに一律で65万円が受けられるとされる
- 青色申告特別控除は、簡易な簿記であっても電子要件さえ満たせば65万円が受けられるとされる
- 青色申告特別控除は、白色申告であっても申請すれば65万円を受けられるものとされている
解答は 1 だっ。
青色申告特別控除は「65→55→10」の3段階だっ。65万円は、複式簿記+e-Taxまたは電子帳簿保存の電子要件を満たした場合。電子要件がないと55万円、簡易な簿記だと10万円になるんだっ!
つまり、選択肢2の「つねに一律65万円」も、選択肢3の「簡易簿記でも65万円」も誤り。選択肢4の白色申告には、そもそも特別控除はないっ。「65万は複式簿記+電子要件」をセットで押さえろっ!
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 複式簿記+電子要件で65万円が正しい |
| 2 | ✗ | 帳簿のつけ方で65万・55万・10万に分かれる |
| 3 | ✗ | 簡易な簿記は10万円 |
| 4 | ✗ | 白色申告に青色申告特別控除はない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 事業所得 = 自分で営む事業の所得。計算は「総収入金額 − 必要経費」。総合課税で損益通算できる。
- 🔴 青色申告特別控除 = 65万円(複式簿記+電子要件)・55万円(電子要件なし)・10万円(簡易簿記)。
- 🟡 純損失の繰越控除 = 3年。青色事業専従者給与(家族への給与を経費に)も特典。青色申告は申請・承認が必要(自動ではない)。
次に学ぶ
- 所得税の仕組み ── 所得を10種類に分ける全体像。事業所得はそのひとつ、という位置づけで押さえると整理できる。
- 不動産所得 ── 不動産の貸付による所得。事業所得と並べて「自分の事業か/不動産の貸付か」で見分ける。
- 利子所得 ── 預貯金などの利子。源泉分離が原則で、事業所得(総合課税)との対比で覚える。
執筆: SikakuQuest編集部