不動産所得とは(全体像)
不動産所得は、不動産などを貸して得る所得のこと。具体的には、土地・建物を貸して受け取る地代や家賃が代表例。
対象になるのは、次の4つの貸付。
- 土地・建物の貸付(地代・家賃など)
- 不動産の上に存する権利(地上権・賃借権など)の貸付
- 船舶の貸付
- 航空機の貸付
逆に、これらは不動産所得には入らない。
- 不動産を売って得た利益 … 貸すのではなく売るので 譲渡所得
- 旅館業・下宿業など … 食事や清掃のサービスがつくので 事業所得
つまり「貸して得るのが不動産所得、売って得るのは譲渡所得」と分けるのがコツ。
詳しく:この3点だけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。不動産所得は「対象・計算・損益通算」の3点に全部つまっている。
不動産所得の対象になるもの・ならないもの
| 内容 | |
|---|---|
| 対象になる | 土地・建物の貸付/不動産の上に存する権利の貸付/船舶・航空機の貸付 |
| 対象にならない① | 不動産の売却益 → 譲渡所得 |
| 対象にならない② | 旅館業・下宿業などサービス付き → 事業所得 |
計算は引き算1本。
不動産所得の計算
| 中身 | |
|---|---|
| 算式 | 総収入金額 − 必要経費 = 不動産所得の金額 |
| 総収入金額 | 賃料(地代・家賃)/更新料・名義書換料/礼金・権利金/返還しない敷金など |
| 必要経費 | 減価償却費/修繕費/固定資産税・都市計画税/損害保険料/借入金の利子/管理費など |
| 注意 | 返す敷金・保証金は預り金なので収入に入れない |
損益通算は、原則OK・例外1つ。
赤字のときの損益通算
| 内容 | |
|---|---|
| 原則 | 赤字(損失)は給与所得など他の所得と損益通算できる |
| 例外 | 土地を取得するための借入金の利子ぶんは損益通算できない |
| 建物分は? | 建物を取得するための借入金の利子は通算できる(土地分だけ除く) |
そして、規模が大きい貸付は税金面で優遇される。戸建て5棟以上、または貸室10室以上(5棟10室基準)だと「事業的規模」とされ、青色申告特別控除(最高55万円。e-Taxによる申告などの要件を満たせば最高65万円) が使える。これに満たない規模だと控除は最高10万円が原則。
わかりやすく言い換えると
要するに、こう整理するとラク。
不動産所得は「貸して得るもうけ」。家賃という収入から、修繕費や税金などの経費を引いた残りが課税される。
損益通算のところだけ少しややこしいので、こう覚える。「赤字は他の所得から引いてOK。でも土地ローンの利子だけはダメ」。建物分の利子は引けて、土地分の利子だけが引けない、という線引き。
試験のツボ
🔴 一番出る:損益通算と土地利子の例外
①赤字は他の所得と損益通算できる
②でも土地を取得するための借入金の利子ぶんは通算できない
🔴 次に出る:何が不動産所得か(対象の線引き)
①貸して得る → 不動産所得
②売って得る → 譲渡所得(不動産所得ではない)
🟡 押さえると安定:計算は「総収入金額 − 必要経費」
①収入=賃料・更新料・返さない敷金など
②経費=減価償却費・固定資産税・借入金利子など
🟡 規模で控除が変わる:事業的規模で青色55万円(e-Taxなどで65万円)
①事業的規模(戸建5棟or貸室10室)=青色申告特別控除は最高55万円。e-Taxによる申告などの要件を満たせば最高65万円
②それ未満=最高10万円が原則
よくある間違い
①「不動産を売った利益も不動産所得」→ ✗ 売却益は譲渡所得。不動産所得は貸して得る所得だけ。
②「不動産の赤字は損益通算できない」→ ✗ 原則できる。ただし土地取得の借入金利子ぶんだけは通算できない。
③「青色55万円・65万円はどんな規模でも使える」→ ✗ 55万円(e-Taxなどで65万円)は事業的規模(5棟10室)が条件。満たないと最高10万円が原則。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(損益通算と土地利子の例外)
不動産所得の損益通算に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 不動産所得の赤字は他の所得と損益通算できるが、土地取得の借入金利子ぶんは通算できないとされる
- 不動産所得の赤字は、いかなる場合も他の所得と損益通算が一切認められていないものとされている
- 不動産所得の赤字は、建物を取得するための借入金の利子ぶんに限って通算できないものとされている
- 不動産所得の赤字は損益通算できるが、その通算できる上限は毎年10万円までに制限されるとされる
解答は 1 だっ。
つまり、不動産所得の赤字は給与所得などの他の所得と損益通算できるんだっ!ただし、土地を取得するための借入金の利子ぶんだけは通算できないっ。建物を取得するための利子は通算できるから、ダメなのは「土地分」だけと覚えてねっ。選択肢2の「一切できない」、選択肢3の「建物分がダメ」(逆だっ)、選択肢4の「10万円まで」はどれも誤りだよっ!
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 損益通算でき、土地取得の借入金利子分だけ通算できないで正しい |
| 2 | ✗ | 原則として損益通算できる |
| 3 | ✗ | 通算できないのは土地分。建物分は通算できる |
| 4 | ✗ | 通算額に10万円の上限はない |
オリジナル問題2(対象の線引き)
不動産所得の対象に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- アパートを売却して得た利益は、貸付から生じた所得なので不動産所得に区分されるものとされる
- 食事を提供する下宿業から得る所得は、建物を使うので不動産所得に区分されるものとされている
- 土地や建物を貸して受け取る地代・家賃から経費を引いた金額が、不動産所得になるものとされる
- 駐車場を月ぎめで貸して得た収入は、土地に関係しないので不動産所得には一切ならないとされる
解答は 3 だよ。
要するに、不動産所得は「貸して得るもうけ」。土地や建物を貸して受け取る地代・家賃から、修繕費や固定資産税などの経費を引いた残りが不動産所得になるんだ。選択肢1の売却益は譲渡所得、選択肢2の食事つき下宿業はサービスがつくので事業所得だよ。選択肢4の駐車場の貸付は土地の貸付なので、不動産所得になりうるんだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 売却益は譲渡所得で不動産所得ではない |
| 2 | ✗ | サービス付きの下宿業は事業所得 |
| 3 | ✓ | 貸して得た地代・家賃から経費を引いたものが不動産所得で正しい |
| 4 | ✗ | 駐車場の貸付は土地の貸付で不動産所得になりうる |
オリジナル問題3(計算と青色控除)
不動産所得の計算と青色申告特別控除に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 不動産所得は、収入金額がそのまま所得金額となり、必要経費を差し引かないものとされている
- 不動産所得は総収入金額から必要経費を引いて計算し、5棟10室なら青色55万円が使える
- 不動産所得では、入居者から預かり後に返す敷金も、すべて総収入金額に含めるものとされている
- 青色申告特別控除の65万円は、貸付の規模にかかわらず一律に適用されるものとされている
解答は 2 である。
不動産所得は、総収入金額(賃料・更新料・返さない敷金など)から必要経費(減価償却費・固定資産税・借入金利子など)を引いて計算する。そして戸建て5棟以上または貸室10室以上の事業的規模なら、青色申告特別控除は最高55万円(e-Taxによる申告などの要件を満たせば最高65万円)が使える。選択肢1は経費を引くので誤り、選択肢3は返す敷金は預り金なので収入に入れず誤り、選択肢4は規模にかかわらず一律という点が誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 総収入から必要経費を差し引いて計算する |
| 2 | ✓ | 総収入−必要経費で計算し、5棟10室で青色55万円で正しい |
| 3 | ✗ | 返す敷金は預り金で総収入に含めない |
| 4 | ✗ | 規模にかかわらず一律ではない。事業的規模が条件 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 損益通算 = 赤字は他の所得と通算できる。ただし土地取得の借入金利子ぶんだけは通算できない(建物分はOK)。
- 🔴 対象 = 貸して得る所得。売却益は譲渡所得、サービス付きの下宿業などは事業所得で別区分。
- 🟡 計算 = 総収入金額 − 必要経費。返す敷金は収入に入れない。
- 🟡 青色控除 = 事業的規模(5棟10室)で最高55万円(e-Taxなどで最高65万円)、それ未満は最高10万円が原則。
次に学ぶ
- 所得税の仕組み ── 所得を10種類に分け、合算する総合課税と分けて計算する分離課税がある。不動産所得は総合課税の仲間。
- 利子所得 ── 預貯金などの利子の所得。源泉徴収だけで終わる点が、損益通算できる不動産所得との対比になる。
- 配当所得 ── 株式などの配当の所得。申告方法を選べる点が特徴で、所得区分の違いを並べて押さえると混ざらない。
執筆: SikakuQuest編集部