在職老齢年金とは(全体像)
老齢厚生年金を受けられる年齢になっても、厚生年金に入って働き続けると給料と年金が二重に入る。現役世代との均衡を保ちつつ就労意欲を削がないよう、報酬と年金の合計が一定額を超えた分だけ、その半分を止めるのが在職老齢年金。
押さえるのは2点。
- ⭐超過分の2分の1停止・調整額以下は全額 … 総報酬月額相当額+基本月額が支給停止調整額を超えると、超えた額の2分の1を支給停止。調整額以下なら全額支給。
- 2022年4月に60〜64歳の基準を統一 … 厳しかった60〜64歳の基準を65歳以上と同じ水準に統一・緩和し、在職定時改定も導入。
⭐一番の引っかけは「超過額の全額が止まる」「60〜64歳は今も厳しいまま」「賞与は判定に関係しない」。止まるのは超過分の2分の1、60〜64歳は65歳以上と統一済み、賞与も判定に入る。
詳しく:支給停止の仕組み・判定額・2022年改正を表でつかむ
ここが心臓部。「どこまでなら全額で・何で判定し・何が変わったか」は次の表に全部つまっている。
支給停止の仕組みと判定額
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 判定する合計 | 総報酬月額相当額 + 基本月額 |
| 調整額を超えるとき | 超えた額の2分の1を支給停止 |
| 調整額以下のとき | 年金は全額支給 |
| 総報酬月額相当額 | その月の標準報酬月額 + 直近1年の標準賞与額÷12 |
| 基本月額 | 老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額 |
2022年4月改正と関連の扱い
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 改正前の60〜64歳 | 65歳以上より低い(厳しい)基準 |
| 改正後の60〜64歳 | 65歳以上と同じ水準に統一(緩和) |
| 在職定時改定 | 在職中も毎年、納めた分を年金額に反映(同時導入) |
| 加給年金額 | 本体が全額支給停止のときは加算も止まる |
| 支給停止調整額 | 年度ごとに改定(受験年度の最新を確認) |
押さえどころは、①合計が調整額超で超過分の2分の1停止・調整額以下は全額、②判定の総報酬月額相当額=標準報酬月額+直近1年の標準賞与額÷12(賞与も入る)、③2022年4月に60〜64歳を65歳以上と統一・在職定時改定導入、の3つ。
わかりやすく言い換えると
要するに「年金をもらえる年齢になっても厚生年金で働き続けると、給料(賞与込み)と年金月額の合計が一定の基準を超えた分だけ、その半分の年金が止まる」仕組み。基準(支給停止調整額)以下なら年金は全額もらえる。
つまり、引っかけられやすいのは2つ。1つ目は「基準を超えると超過分の全額が止まる」と思い込むこと。実際は止まるのは超過分の2分の1だけ。2つ目は「60〜64歳は今も65歳以上より厳しい」と思い込むこと。実際は2022年4月改正で65歳以上と同じ水準に統一・緩和された。
試験のツボ
🔴 一番出る:支給停止は超過分の2分の1
①総報酬月額相当額+基本月額が支給停止調整額を超えると、超えた額の2分の1の年金が支給停止
②調整額以下なら全額支給(超過額の全額が止まるのではない)
🔴 次に出る:2022年4月改正で60〜64歳を統一
①それまで厳しかった60〜64歳の基準を65歳以上と同じ水準に統一・緩和
②あわせて在職定時改定(在職中も毎年改定)が導入された
🟡 押さえると安定:判定に用いる額
①総報酬月額相当額=標準報酬月額+直近1年の標準賞与額÷12(賞与も判定に入る)
②基本月額は老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額(老齢基礎年金は含まない)
よくある間違い
①「支給停止調整額を超えると、超えた額の全額が支給停止される」→ ✗ 止まるのは超えた額の2分の1に相当する年金。超過額の全額ではない(調整額以下なら全額支給)。
②「60〜64歳は現在も65歳以上より低い厳しい基準のままである」→ ✗ 2022年4月改正で60〜64歳の基準は65歳以上と同じ水準に統一(緩和)された。
③「在職老齢年金の判定に賞与はいっさい関係しない」→ ✗ 判定の総報酬月額相当額は標準報酬月額に直近1年の標準賞与額÷12を加えたもので、賞与も反映される。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(支給停止の仕組み)
在職老齢年金の支給停止に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 総報酬月額相当額と基本月額の合計が支給停止調整額を超えると、その超過額の全額が支給停止されるとされる
- 総報酬月額相当額と基本月額の合計が支給停止調整額を超えると、超えた額の2分の1の年金が支給停止される
- 総報酬月額相当額と基本月額の合計が支給停止調整額以下でも、年金は一律に半額へ減らされるものとされる
- 総報酬月額相当額と基本月額の合計の多少にかかわらず、在職中は老齢厚生年金が全額支給停止とされる
解答は 2 だよ。
合計が支給停止調整額を超えると、超えた額の2分の1の年金が支給停止されるんだ(調整額以下なら全額支給)。
選択肢1の「超過額の全額」、選択肢3の「一律半額」、選択肢4の「在職中は全額停止」は、いずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 止まるのは超過額の2分の1である |
| 2 | ✓ | 超過額の2分の1を支給停止で正しい |
| 3 | ✗ | 調整額以下は全額支給である |
| 4 | ✗ | 合計が調整額以下なら全額支給される |
オリジナル問題2(2022年4月改正)
2022年4月改正後の60〜64歳の在職老齢年金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 2022年4月改正で、60〜64歳の支給停止基準はかえって65歳以上より低い水準へ引き下げられたとされる
- 2022年4月改正後も、60〜64歳の支給停止基準は従前のまま65歳以上より低く据え置かれているとされる
- 2022年4月改正で、60〜64歳の支給停止基準が65歳以上と同じ水準に統一・緩和されたものとされている
- 2022年4月改正で、在職中の高所得者に限り支給停止の割合が2分の1から引き上げられたものとされる
解答は 3 だっ。
2022年4月改正で、60〜64歳の支給停止基準は65歳以上と同じ水準に統一・緩和されたんだっ。
選択肢1の「より低く引き下げ」、選択肢2の「従前のまま据え置き」、選択肢4の「割合を引き上げ」は、いずれも誤りだっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 引き下げではなく統一・緩和である |
| 2 | ✗ | 据え置きではなく65歳以上と統一された |
| 3 | ✓ | 65歳以上と同じ水準に統一・緩和で正しい |
| 4 | ✗ | 停止割合は2分の1のままである |
オリジナル問題3(判定に用いる額)
在職老齢年金の判定に用いる額に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 総報酬月額相当額は、標準報酬月額に直近1年間の標準賞与額を12で割った額を加えて算出するとされる
- 在職老齢年金の判定では標準報酬月額のみを用い、賞与の額はいっさい考慮しないものとされている
- 在職老齢年金の判定では、基本月額に老齢基礎年金の月額をそのまま含めて合計するものとされている
- 在職老齢年金の判定では、直近1年ではなく全加入期間の標準賞与額の総額をそのまま合計するものとされる
解答は 1 である。
総報酬月額相当額は、標準報酬月額に直近1年間の標準賞与額を12で割った額を加えて算出する。
選択肢2の「賞与は考慮しない」、選択肢3の「老齢基礎年金を含める」、選択肢4の「全加入期間の賞与」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 標準報酬月額+直近1年の標準賞与額÷12で正しい |
| 2 | ✗ | 賞与も判定に反映される |
| 3 | ✗ | 基本月額は報酬比例部分で老齢基礎年金は別 |
| 4 | ✗ | 全加入期間ではなく直近1年分である |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 支給停止の仕組み = 在職中に総報酬月額相当額+基本月額が支給停止調整額を超えると超えた額の2分の1の年金が支給停止、調整額以下なら全額支給。
- 🔴 2022年4月改正と在職定時改定 = 厳しかった60〜64歳の基準を65歳以上と同じ水準に統一・緩和し、在職定時改定(在職中も毎年改定)も導入。
- 🟡 判定に用いる額 = 総報酬月額相当額は標準報酬月額+直近1年の標準賞与額÷12(賞与込み)、基本月額は報酬比例部分の月額。支給停止調整額は年度ごとに改定。
次に学ぶ
- 老齢厚生年金 ── 在職中に報酬に応じて支給を調整される本体の年金。
- 報酬比例部分 ── 基本月額のもとになる、支給停止の対象となる年金部分。
- 加給年金額 ── 本体が全額支給停止のときは加算も止まる関係。
執筆: SikakuQuest編集部