老齢厚生年金とは(全体像)
国民年金(老齢基礎年金)が全員に共通の定額の土台を保障するのに対し、会社などで働いて報酬を得てきた人には、その報酬と期間に応じた上乗せを65歳から支給するのが老齢厚生年金(2階部分)。
押さえるのは2点。
- 要件は10年+1か月+65歳 … 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たし、厚生年金に1か月以上入っていれば、原則65歳から支給。
- 金額は報酬比例 … 報酬比例部分を中心に、経過的加算・加給年金額を加える。定額ではなく報酬と期間で決まる。
⭐一番の引っかけは「20年以上ないと受けられない」。実際は1か月以上で受給でき、20年以上は加給年金額の要件。
詳しく:要件・年金額・加給を表でつかむ
ここが心臓部。「どんな要件で・いくら・加算は何か」は次の表に全部つまっている。
老齢厚生年金の全体像
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 受給資格期間 | 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たす |
| 厚年被保険者期間 | 1か月以上で足りる |
| 支給開始 | 原則65歳 |
| 年金額 | 報酬比例部分+経過的加算+加給年金額 |
| 報酬比例部分 | 平均標準報酬額 × 給付乗率 × 被保険者期間の月数 |
| 加給年金額 | 厚年20年以上+生計維持の配偶者・子があるとき |
押さえどころは、①受給は1か月以上で足りる(20年以上は不要)、②支給は原則65歳(60歳ではない)、③加給年金額は厚年20年以上+生計維持の配偶者・子、の3つ。
報酬比例部分は、2003年4月の総報酬制(賞与も対象に含める)を境に、それ以前(平均標準報酬月額)とそれ以後(平均標準報酬額)で計算が分かれ、合算する。経過的加算は、特別支給の定額部分相当額と老齢基礎年金額の差を当分の間埋める加算。在職中は在職老齢年金で報酬に応じて支給調整され、繰上げ(減額)・繰下げ(増額)も選べる。
わかりやすく言い換えると
要するに「会社員などとして厚生年金に入っていた人が、報酬と期間に応じて65歳から基礎年金に上乗せでもらう年金」。
つまり、引っかけられやすいのは2つ。1つ目は「20年以上ないともらえない」と思い込むこと。実際は1か月でも入っていればその分もらえる(基礎年金の10年の資格は必要)。2つ目は「金額は誰でも同じ定額」と思い込むこと。中心は報酬比例部分で、報酬が高く期間が長い人ほど多い。配偶者や子の加算(加給年金額)が付くのは、厚年20年以上のとき。
試験のツボ
🔴 一番出る:受給は1か月以上で足りる
①老齢基礎年金の受給資格期間(10年)+厚年被保険者期間1か月以上
②支給は原則65歳(20年以上は受給の要件ではない・60歳でもない)
🔴 次に出る:年金額は報酬比例
①報酬比例部分=平均標準報酬額×給付乗率×被保険者期間の月数
②報酬比例部分に経過的加算と加給年金額を加える(定額ではない)
🟡 押さえると安定:加給年金額の20年要件
①加給年金額が付くのは厚年20年以上のとき
②生計を維持する65歳未満の配偶者または一定の子があること
よくある間違い
①「厚年20年以上なければ老齢厚生年金は支給されない」→ ✗ 厚年1か月以上で支給される。20年以上は加給年金額の加算要件で、受給の要件ではない。
②「支給は原則60歳から」→ ✗ 原則65歳から。60歳台前半の支給は特別支給という経過措置で、原則ではない。
③「加給年金額は誰にでも付く」→ ✗ 付くのは厚年20年以上+生計を維持する配偶者・子があるとき。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(受給要件)
老齢厚生年金の受給要件に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 老齢厚生年金は、厚生年金の被保険者期間が通算で20年以上なければ、いっさい支給されないものとされる
- 老齢厚生年金は、受給資格期間を満たせば、厚年被保険者期間がまったくなくても当然に支給されるものとされる
- 老齢厚生年金は、受給資格期間を満たし、厚年被保険者期間1か月以上で原則65歳から支給されるものとされる
- 老齢厚生年金は、受給資格期間を満たせば、年齢を問わず何歳からでも本人の請求で支給されるものとされる
解答は 3 だよ。
老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たし、厚年に1か月以上入っていれば、原則65歳から支給されるんだ。
選択肢1の「20年以上必要」、選択肢2の「厚年期間ゼロでも」、選択肢4の「何歳からでも」は、いずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 1か月以上で足りる(20年は加給の要件) |
| 2 | ✗ | 厚年被保険者期間が1か月以上必要 |
| 3 | ✓ | 10年+1か月以上+原則65歳で正しい |
| 4 | ✗ | 原則65歳からで何歳からでもではない |
オリジナル問題2(年金額の構成)
老齢厚生年金の年金額に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 年金額は、報酬比例部分に、さらに経過的加算と加給年金額を加えたうえで算定されるものとされている
- 年金額は、被保険者であった者であれば、全員が完全に一律の定額で支給されるものとされているものである
- 年金額は、加給年金額のみで構成され、報酬比例部分はまったく含まれないものとされているものである
- 年金額は、標準報酬の額には関係なく、加入していた期間だけで一義的に決まるものとされているものである
解答は 1 だっ。
年金額は、報酬比例部分に経過的加算と加給年金額を加えて決まるんだっ。全員定額でも、加給だけでも、期間だけでもないっ。
選択肢2の「全員定額」、選択肢3の「加給のみ」、選択肢4の「期間だけ」は、いずれも誤りだっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 報酬比例部分+経過的加算+加給年金額で正しい |
| 2 | ✗ | 報酬比例で全員定額ではない |
| 3 | ✗ | 中心は報酬比例部分である |
| 4 | ✗ | 報酬(標準報酬)にも比例して決まる |
オリジナル問題3(加給年金額)
老齢厚生年金の加給年金額に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 加給年金額は、厚年被保険者期間が1か月以上ありさえすれば、だれにでも当然に加算されるものとされる
- 加給年金額は、生計を維持する配偶者や子がまったくいなくても、常に加算されるものとされているものである
- 加給年金額は、厚年被保険者期間の長短には関係なく、どんな場合も一律に加算されるものとされているものである
- 加給年金額は、厚年被保険者期間20年以上で、生計維持の配偶者・子があるときに加算されるものとされる
解答は 4 である。
加給年金額が付くのは、厚年被保険者期間20年以上で、生計を維持する配偶者・子があるときである。
選択肢1の「1か月で誰にでも」、選択肢2の「配偶者・子なしでも」、選択肢3の「期間に関係なく一律」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 1か月では足りず厚年20年以上が必要 |
| 2 | ✗ | 生計維持の配偶者・子があることが必要 |
| 3 | ✗ | 厚年20年以上という期間の要件がある |
| 4 | ✓ | 厚年20年以上+生計維持の配偶者・子で正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 受給要件 = 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)+厚年被保険者期間1か月以上で原則65歳から(20年は不要)。
- 🔴 年金額の構成 = 報酬比例部分(平均標準報酬額×給付乗率×被保険者期間の月数)+経過的加算+加給年金額。
- 🟡 加給年金額の要件 = 厚年20年以上+生計維持の配偶者・子があるとき。受給資格期間は2017年8月に25年→10年へ短縮。
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執筆: SikakuQuest編集部