障害手当金とは(全体像)
障害が一定以上重ければ障害厚生年金が支給されるが、それに至らない軽い障害でも、働いて保険料を納めてきた人には損失が生じる。そこで、年金には届かない軽度の障害を一回かぎりの一時金でまとめて補填するのが障害手当金。
押さえるのは2点。
- ⭐一時金・5年以内・3級未満 … 年金ではなく一時金。厚年被保険者期間中の初診日の傷病が初診から5年以内に治り、障害厚生年金3級に至らない軽度障害が対象。
- 報酬比例の2年分・障害厚年とは原則排他 … 額は報酬比例部分の2年分相当(最低保障額あり)。原則として障害厚生年金などの受給権者には支給されない。
⭐一番の引っかけは「毎月の年金」「5年経過後も支給」「障害厚年と当然に重複受給」。障害手当金は一時金、5年以内に治ることが要件、障害厚年受給権者には原則不支給。
詳しく:性格と要件・額・排他を表でつかむ
ここが心臓部。「どんな性格で・いくら・障害厚年とどう関係するか」は次の表に全部つまっている。
障害手当金の性格と支給要件
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 性格 | 年金ではなく一時金(一回かぎり) |
| 初診日 | 厚生年金保険の被保険者期間中にあること |
| 治った時期 | 初診日から5年以内に治る(症状固定) |
| 障害の程度 | 障害厚生年金3級に至らない政令の軽度障害 |
額・排他・納付要件
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 額 | 報酬比例部分の2年分に相当(最低保障額あり・年度改定・受験年度の最新を確認) |
| 排他 | 原則として障害厚生年金などの年金たる保険給付の受給権者には不支給 |
| 納付要件 | 障害厚生年金と同じ |
| 位置づけ | 障害基礎年金にはない厚生年金独自の給付 |
押さえどころは、①一時金で初診から5年以内に治り3級に至らない軽度障害、②額は報酬比例部分の2年分(最低保障額あり)、③原則として障害厚年受給権者には不支給・納付要件は障害厚年と同じ、の3つ。
わかりやすく言い換えると
要するに「厚生年金に入っている間に初診日のある傷病が5年以内に治り、障害厚生年金の3級ほど重くない軽い障害が残ったときに、一回だけまとまって支払われるお金」。毎月もらう年金ではなく一時金で、金額はおおむね報酬比例部分の2年分。
つまり、引っかけられやすいのは2つ。1つ目は「障害手当金も年金のように毎月もらえる」と思い込むこと。実際は一回かぎりの一時金。2つ目は「障害厚生年金の受給権者にも併せて支給される」と思い込むこと。実際は原則として障害厚生年金などの受給権者には支給されない(3級に至れば年金、至らなければ手当金)。
試験のツボ
🔴 一番出る:一時金・5年以内・3級未満
①年金ではなく一回かぎりの一時金
②厚年被保険者期間中の初診日の傷病が初診から5年以内に治り、障害厚生年金3級に至らない軽度障害
🔴 次に出る:額(報酬比例の2年分)
①額は報酬比例部分の2年分に相当(毎月の年金ではない)
②最低保障額が定められている(額は年度改定・受験年度の最新を確認)
🟡 押さえると安定:障害厚年との排他・納付要件
①原則として障害厚生年金などの年金たる保険給付の受給権者には支給されない
②保険料納付要件は障害厚生年金と同じ。障害基礎年金にはない厚生年金独自の給付
よくある間違い
①「障害手当金は障害厚生年金の一部として毎月の年金で支給される」→ ✗ 障害手当金は年金ではなく一回かぎりの一時金(額は報酬比例部分の2年分相当)。
②「初診日から5年を過ぎて治った場合でも障害手当金は支給される」→ ✗ 初診日から5年以内に治ったことが要件。5年を過ぎて治った場合は対象外。
③「障害厚生年金の受給権者にも障害手当金が併せて支給される」→ ✗ 原則として障害厚生年金などの年金たる保険給付の受給権者には支給されない(3級に至れば年金、至らなければ手当金)。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(性格)
障害手当金の性格に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 障害手当金は、障害厚生年金と同じく毎月にわたって継続して支給される年金として扱われるものとされる
- 障害手当金は、受給後も毎年改定されながら生涯にわたって支給され続けるものとされているものである
- 障害手当金は、障害基礎年金にも同じしくみが置かれている共通の一時金にあたるものとされている
- 障害手当金は、年金ではなく一回かぎりの一時金で、額はおおむね報酬比例部分の2年分に相当する
解答は 4 だよ。
障害手当金は、年金ではなく一回かぎりの一時金で、額はおおむね報酬比例部分の2年分に相当するんだ。
選択肢1の「毎月の年金」、選択肢2の「生涯支給」、選択肢3の「障害基礎にも同じ」は、いずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 年金ではなく一時金である |
| 2 | ✗ | 生涯支給ではなく一回かぎりである |
| 3 | ✗ | 障害基礎年金にはない厚生年金独自の給付 |
| 4 | ✓ | 一時金で報酬比例部分の2年分相当で正しい |
オリジナル問題2(支給要件)
障害手当金の支給要件に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 障害手当金は、初診日から5年以内に治り、障害厚生年金3級に至らない政令の軽度障害に支給される
- 障害手当金は、初診日から何年経って治ったかにかかわらず、軽度障害でありさえすれば支給される
- 障害手当金は、障害厚生年金1級・2級に該当する重い障害の者にかぎって支給されるものとされる
- 障害手当金は、傷病が治らず症状が固定しない状態が続いている場合にかぎり支給されるものとされる
解答は 1 だっ。
障害手当金は、初診日から5年以内に治り、障害厚生年金3級に至らない軽度障害に支給されるんだっ。
選択肢2の「何年経っても」、選択肢3の「1・2級の重い障害」、選択肢4の「治らない状態」は、いずれも誤りだっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 5年以内に治り3級に至らない軽度障害で正しい |
| 2 | ✗ | 初診から5年以内に治ることが要件である |
| 3 | ✗ | 1・2級ではなく3級に至らない軽度障害が対象 |
| 4 | ✗ | 治った(症状固定)ことが要件である |
オリジナル問題3(障害厚生年金との排他)
障害手当金と障害厚生年金の関係に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 障害手当金は、障害厚生年金の受給権者に対しても、常に当然に併せて重ねて支給されるものとされる
- 障害手当金は、原則として障害厚生年金の受給権者には支給されず、納付要件は障害厚生と同じとされる
- 障害手当金は、障害基礎年金にも同じ一時金があり、両者は連動して支給されるものとされているものである
- 障害手当金は、障害厚生年金の保険料納付要件とはまったく別個の独自の要件で判定されるものとされる
解答は 2 である。
障害手当金は、原則として障害厚生年金の受給権者には支給されず、保険料納付要件は障害厚生年金と同じである。
選択肢1の「常に重複支給」、選択肢3の「障害基礎にも同じ一時金」、選択肢4の「別個の独自要件」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 原則として障害厚年受給権者には支給されない |
| 2 | ✓ | 原則排他・納付要件は障害厚生年金と同じで正しい |
| 3 | ✗ | 障害基礎年金にはない厚生年金独自の給付 |
| 4 | ✗ | 納付要件は障害厚生年金と同じである |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 性格と支給要件 = 障害手当金は一時金で、厚生年金保険の被保険者期間中に初診日のある傷病が初診日から5年以内に治り、障害厚生年金3級に至らない政令の軽度障害である場合に支給される。
- 🔴 額 = 報酬比例部分の2年分に相当する額で、最低保障額が定められている(年度改定・受験年度の最新を確認)。
- 🟡 障害厚生年金との排他と納付要件 = 原則として障害厚生年金などの年金たる保険給付の受給権者には支給されず、納付要件は障害厚生年金と同じ。障害基礎年金にはない厚生年金独自の給付。
次に学ぶ
- 障害厚生年金 ── 1級〜3級の障害に毎月支給される年金。3級に至れば年金、至らなければ手当金。
- 障害基礎年金 ── 土台の年金。障害手当金は障害基礎年金にはない厚生年金独自の給付。
- 老齢厚生年金 ── その報酬比例部分の2年分が障害手当金の額の基礎。
執筆: SikakuQuest編集部