障害厚生年金とは(全体像)
厚生年金に加入している間に病気やけがで障害が残ると、それまでの収入が大きく損なわれる。そこで、全員共通の障害基礎年金に加え、被保険者には報酬と加入に応じた上乗せの障害保障を重ね、基礎年金には届かない3級にも給付を用意したのが障害厚生年金。
押さえるのは2点。
- ⭐3級がある・1級は2級の1.25倍 … 障害基礎年金は1級・2級のみだが、障害厚生年金には3級がある。1級は2級の1.25倍。3級も報酬比例で算定し最低保障額が下限。
- 300月みなし・納付要件は基礎と同じ … 被保険者期間が300月未満なら300月とみなして計算。納付要件は障害基礎年金と共通。
⭐一番の引っかけは「障害厚年も1・2級のみ」「1級2級は同額」「3級にも配偶者加給」「期間不足で大きく不利」。3級は厚年独自、1級は1.25倍、配偶者加給は1級2級のみ、短い期間は300月みなしで救済。
詳しく:要件と等級・年金額・期間を表でつかむ
ここが心臓部。「何級まで・いくら・期間はどう扱うか」は次の表に全部つまっている。
支給要件と等級
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 初診日 | 厚生年金保険の被保険者期間中にあること |
| 等級 | 1級・2級・3級 |
| 障害基礎年金 | 1級・2級のみ(3級はない) |
| 3級 | 障害厚生年金にだけある等級 |
年金額・納付要件・300月みなし
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 1級 | 2級の額の1.25倍 |
| 2級 | 報酬比例部分に相当する額 |
| 3級 | 報酬比例で算定し、最低保障額が下限(年度改定・受験年度の最新を確認) |
| 配偶者加給 | 1級・2級に生計維持の配偶者があるとき(3級にはない) |
| 納付要件 | 障害基礎年金と同じ |
| 300月みなし | 被保険者期間が300月未満なら300月とみなして計算 |
押さえどころは、①厚年被保険者期間中の初診日・1〜3級(3級は厚年独自)、②1級は2級の1.25倍・3級は報酬比例で算定し最低保障額が下限・配偶者加給は1級2級のみ、③納付要件は障害基礎年金と同じ・300月みなし、の3つ。
なお、障害の程度を判定するのは原則として初診日から1年6か月を経過した日(障害認定日)で、事後重症のしくみも障害基礎年金と同様にある。1級・2級では同じ初診日の傷病について障害基礎年金もあわせて支給され、二階建てになる。
わかりやすく言い換えると
要するに「会社員などが厚生年金に入っている間に初診日のある傷病で障害が残ったとき、障害基礎年金に上乗せして出る年金」。国民年金の障害基礎年金は重い1級・2級だけだが、厚生年金にはそれより軽い3級まである。
つまり、引っかけられやすいのは2つ。1つ目は「障害厚生年金も1級・2級のみ」と思い込むこと。実際は3級がある(3級は障害厚生年金だけ)。2つ目は「加入期間が300月に満たないと額が大きく減る」と思い込むこと。実際は300月とみなして計算されるので、若くして障害を負った人も一定の保障が確保される。
試験のツボ
🔴 一番出る:3級の存在(障害基礎年金との差)
①障害厚生年金は1級・2級・3級。障害基礎年金は1級・2級のみ
②3級は障害厚生年金にだけある等級(3級なら障害基礎は出ないが障害厚生は出る)
🔴 次に出る:年金額
①1級は2級の1.25倍。3級も報酬比例で算定し、最低保障額が下限
②配偶者の加給年金額は1級・2級のみ(3級にはない)
🟡 押さえると安定:納付要件と300月みなし
①保険料納付要件は障害基礎年金と同じ(3分の2原則または直近1年特例)
②被保険者期間が300月未満なら300月とみなして計算(加入期間が短い人を救済)
よくある間違い
①「障害厚生年金も障害基礎年金と同じく1級・2級のみである」→ ✗ 障害基礎年金は1級・2級のみだが、障害厚生年金には3級がある(3級は障害厚生年金独自)。
②「障害厚生年金の1級と2級は同額である」→ ✗ 1級は2級の1.25倍。配偶者の加給年金額は1級・2級のみで、3級にはない。
③「被保険者期間が300月に満たないとそのぶん年金額が大きく減る」→ ✗ 被保険者期間が300月未満のときは300月とみなして計算される(加入期間が短い人も一定の保障)。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(障害等級)
障害厚生年金の障害等級に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 障害厚生年金は障害基礎年金と同じく1級・2級のみを対象とし、3級は対象としないものとされている
- 障害厚生年金は障害基礎年金と異なり1〜3級を対象とし、3級は障害厚生年金だけにあるものとされる
- 障害厚生年金は障害等級3級のみを対象とし、1級・2級はもっぱら障害基礎年金が担うものとされている
- 障害厚生年金は障害等級にかかわらず、初診日がありさえすれば一律の額が支給されるものとされている
解答は 2 だよ。
障害厚生年金は1級・2級・3級を対象とし、3級は障害厚生年金だけにあるんだ(障害基礎年金は1級・2級のみ)。
選択肢1の「1・2級のみ」、選択肢3の「3級のみ」、選択肢4の「等級無関係で一律」は、いずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 障害厚生年金には3級もある |
| 2 | ✓ | 1〜3級で3級は障害厚生年金独自で正しい |
| 3 | ✗ | 1級・2級も障害厚生年金の対象である |
| 4 | ✗ | 等級で額が異なり一律ではない |
オリジナル問題2(年金額)
障害厚生年金の年金額に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 障害厚生年金は、1級・2級・3級のいずれも完全に同じ額が一律に支給されるものとされている
- 障害厚生年金の1級は、2級の額の0.8倍に減額されて支給されるものとされているものである
- 障害厚生年金の1級は2級の額の1.25倍で、3級には最低保障額が定められているとされている
- 障害厚生年金の3級にも、生計維持の配偶者があるとき配偶者の加給年金額が加算されるものとされる
解答は 3 だっ。
障害厚生年金の1級は2級の1.25倍で、3級には最低保障額が定められているんだっ。
選択肢1の「全等級一律」、選択肢2の「0.8倍」、選択肢4の「3級にも配偶者加給」は、いずれも誤りだっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 等級で額が異なり一律ではない |
| 2 | ✗ | 1級は2級の1.25倍で減額ではない |
| 3 | ✓ | 1級は1.25倍・3級に最低保障額で正しい |
| 4 | ✗ | 配偶者加給は1級・2級のみで3級にはない |
オリジナル問題3(300月みなし)
障害厚生年金の被保険者期間の扱いに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 障害厚生年金は、被保険者期間が300月に満たないと額がそのぶん大きく減らされるものとされている
- 障害厚生年金は、被保険者期間が300月以上ある者にかぎって支給されるものとされているものである
- 障害厚生年金は、被保険者期間にかかわらず、常に一律の定額のみが支給されるものとされている
- 障害厚生年金は、被保険者期間が300月未満のとき、300月とみなして年金額を計算するとされる
解答は 4 である。
障害厚生年金は、被保険者期間が300月未満のとき300月とみなして年金額を計算する。
選択肢1の「期間不足で大きく減額」、選択肢2の「300月以上に限る」、選択肢3の「一律定額」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 300月みなしで救済され大きく減らされない |
| 2 | ✗ | 300月未満でも支給される |
| 3 | ✗ | 報酬比例で計算され一律定額ではない |
| 4 | ✓ | 300月未満は300月とみなして計算で正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 支給要件と等級 = 厚生年金保険の被保険者期間中に初診日のある傷病で1級・2級・3級に該当した者に支給。障害基礎年金は1級・2級のみで、3級は障害厚生年金にだけある。
- 🔴 年金額 = 1級は2級の1.25倍、2級・3級は報酬比例で算定し、3級はそれが下回るとき最低保障額が下限。配偶者の加給年金額は1級・2級のみ。
- 🟡 納付要件と300月みなし = 保険料納付要件は障害基礎年金と同じ。被保険者期間が300月未満のときは300月とみなして計算。
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執筆: SikakuQuest編集部