死亡一時金とは(全体像)
第1号被保険者が短めの納付で亡くなると、対象の子がいないなどで保険料が給付に結びつかないことがある。そこで、納めた保険料を掛け捨てにせず最低限を遺族へ一括で返す独自給付が死亡一時金。
押さえるのは2点。
- ⭐第1号で36月・受給前死亡が要件 … 第1号の納付済期間などが合わせて36月以上あり、本人が老齢・障害基礎年金を受けずに死亡したときに支給される。
- 遺族の順位・額は階段式・他給付と選択 … 遺族は配偶者から兄弟姉妹までの順位。額は納付月数の階段式。遺族基礎年金・寡婦年金とは併給できない。
⭐一番の引っかけは「月数を問わず誰でも」「一律定額」「年金と併給」。要件は36月以上、額は階段式、他給付とは選択。
詳しく:要件と遺族・額・選択を表でつかむ
ここが心臓部。「どんな要件で誰が・いくら・他給付とどうなるか」は次の表に全部つまっている。
要件と遺族の順位
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 納付 | 第1号の保険料納付済期間などが合わせて36月以上 |
| 死亡 | 老齢基礎年金・障害基礎年金を受けずに死亡 |
| 遺族 | 死亡当時に生計を同じくしていた一定の親族 |
| 順位 | 配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹 |
額と他給付との選択
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 額 | 納付月数に応じた階段式(おおむね12万円〜32万円) |
| 付加加算 | 付加保険料を36月以上納めていた場合は一定額を加算 |
| 遺族基礎年金 | 受けられる場合は死亡一時金は支給されない |
| 寡婦年金 | 妻はどちらか一方を選択(併給不可) |
押さえどころは、①要件は第1号で納付36月以上・老齢障害基礎年金を受けずに死亡、②遺族は配偶者から兄弟姉妹の順位・額は月数の階段式(付加36月以上で加算)、③遺族基礎年金を受けられるなら不支給・寡婦年金とは選択、の3つ。
わかりやすく言い換えると
要するに「第1号で保険料を3年(36月)以上納めた人が、自分は年金を受け取らないうちに亡くなったとき、残された家族に一回だけまとめて出るお金」。
つまり、引っかけられやすいのは2つ。1つ目は「納付月数を問わず第1号の遺族なら誰でも受けられる」と思い込むこと。実際は36月以上が要件。2つ目は「年金と重ねて受けられる」と思い込むこと。実際は遺族基礎年金を受けられるなら出ず、寡婦年金とは選択。
試験のツボ
🔴 一番出る:要件(第1号で36月・受給前死亡)
①第1号の保険料納付済期間などが合わせて36月以上
②老齢基礎年金・障害基礎年金のいずれも受けずに死亡(受給前死亡)
🔴 次に出る:遺族の順位と階段式の額
①遺族は配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の順位
②額は納付月数の階段式(おおむね12万円〜32万円・付加36月以上で加算)
🟡 押さえると安定:他給付との選択
①遺族基礎年金を受けられる場合は死亡一時金は支給されない
②寡婦年金とはどちらか一方を選択(併給できない)
よくある間違い
①「死亡一時金は納付月数を問わず第1号の遺族なら誰でも受けられる」→ ✗ 第1号の保険料納付済期間などが合わせて36月以上あることが要件。月数が足りなければ支給されない。
②「死亡一時金の額は受給者を問わず一律の定額である」→ ✗ 額は納付月数に応じた階段式(おおむね12万円〜32万円)。付加保険料36月以上の加算もある。
③「死亡一時金は遺族基礎年金や寡婦年金と重ねて受けられる」→ ✗ 遺族基礎年金を受けられる場合は支給されず、寡婦年金とも妻はどちらか一方を選択する。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(要件)
国民年金の死亡一時金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 死亡一時金は、第2号被保険者が在職中に死亡した場合に限り遺族へ支給されるものとされている
- 死亡一時金は、第1号の保険料納付月数をいっさい問わず、遺族であれば誰でも受給できるものとされる
- 死亡一時金は、老齢基礎年金を受給中の者が死亡した場合に遺族へ追加で支給されるものとされている
- 死亡一時金は、第1号で納付36月以上の者が老齢障害基礎年金を受けず死亡したとき遺族へ支給される
解答は 4 だよ。
死亡一時金は、第1号で納付36月以上の者が老齢・障害基礎年金を受けずに死亡したとき、遺族へ支給されるんだ。
選択肢1の「第2号」、選択肢2の「月数を問わず誰でも」、選択肢3の「受給中の死亡で追加」は、いずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 第2号ではなく第1号の独自給付である |
| 2 | ✗ | 納付36月以上という要件がある |
| 3 | ✗ | 受給前に死亡したことが要件である |
| 4 | ✓ | 第1号で36月以上・受給前死亡で正しい |
オリジナル問題2(遺族の範囲と額)
死亡一時金の遺族の範囲と額に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 遺族の範囲は兄弟姉妹に限られ、配偶者や子は受給できず、額は常に一律の定額であるものとされる
- 遺族は配偶者から兄弟姉妹までの順位により、額は納付月数に応じた階段式であるものとされている
- 遺族は順位の定めがなく親族が均等に分割して受け取り、額は毎年度増額していくものとされている
- 遺族は配偶者のみに限られ、子や父母はいっさい受給できず、付加保険料の加算もないものとされる
解答は 2 だっ。
遺族は配偶者から兄弟姉妹までの順位で、額は納付月数に応じた階段式だっ。
選択肢1の「兄弟姉妹に限る・一律」、選択肢3の「順位なし・均等分割」、選択肢4の「配偶者のみ」は、いずれも誤りだっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 配偶者が先順位で額は階段式である |
| 2 | ✓ | 配偶者から兄弟姉妹の順位・階段式で正しい |
| 3 | ✗ | 順位の定めがあり均等分割ではない |
| 4 | ✗ | 子・父母も順位に含まれ付加加算もある |
オリジナル問題3(他給付との選択)
死亡一時金と他給付の関係に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 死亡一時金は、遺族基礎年金を受けられる場合でも、常に併せて支給されるものとされているものである
- 死亡一時金は、寡婦年金とは無関係で、妻は両方を当然に同時受給できるものとされているものである
- 死亡一時金は、遺族基礎年金を受けられる場合は支給されず、寡婦年金とも選択になるものとされている
- 死亡一時金は、他のいかなる給付とも併給でき、選択を要しないものとされているものである
解答は 3 である。
死亡一時金は、遺族基礎年金を受けられる場合は支給されず、寡婦年金とも選択になる(併給できない)。
選択肢1の「常に併給」、選択肢2の「妻が両方同時」、選択肢4の「すべて併給」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 遺族基礎年金を受けられる場合は支給されない |
| 2 | ✗ | 妻は寡婦年金とどちらか一方を選択する |
| 3 | ✓ | 遺族基礎は不支給・寡婦年金とは選択で正しい |
| 4 | ✗ | 併給できず選択を要する場合がある |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 要件と遺族の順位 = 第1号で保険料納付済期間など36月以上ある者が老齢・障害基礎年金を受けずに死亡したとき、生計を同じくしていた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の順位による遺族へ支給。
- 🔴 階段式の額 = 納付月数に応じた階段式(おおむね12万円〜32万円)。付加保険料を36月以上納めていた場合は一定額を加算。
- 🟡 他給付との選択 = 遺族基礎年金を受けられる場合は支給されず、寡婦年金とも妻はどちらか一方を選択(併給不可)。
次に学ぶ
- 寡婦年金 ── 妻に60歳から65歳まで有期で支給される第1号独自給付。死亡一時金とは選択。
- 遺族基礎年金 ── 子のある世帯の本体給付。受けられる場合は死亡一時金は支給されない。
- 老齢基礎年金 ── 受給前に死亡したことが死亡一時金の要件。
執筆: SikakuQuest編集部