3号分割制度とは(全体像)
第3号被保険者(扶養されている配偶者)は保険料を自分で納めず基礎年金が保障される一方、厚生年金の記録は働いていた相手方(第2号)の側にたまる。離婚するとその記録は相手方に残るので、扶養されていた側の請求だけで、その期間に対応する相手方の記録を半分受け取れるようにしたのが3号分割。
押さえるのは2点。
- ⭐合意不要・自動で必ず2分の1 … 第3号側の単独請求ででき、相手方の合意はいらない。割合は必ず2分の1で、当事者が定める余地はない。
- 対象は2008年4月以後の第3号期間 … この制度が始まった2008年4月以後の第3号被保険者期間だけが対象。それより前は合意分割による。
⭐一番の引っかけは「3号分割も相手方の合意が必要」「すべての期間が対象」。合意が要るのは合意分割のほう、対象は2008年4月以後の第3号期間のみ。
詳しく:特徴・対象・請求を表でつかむ
ここが心臓部。「誰の請求で・いくら・いつからの記録か」は次の表に全部つまっている。
3号分割の特徴と対象
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 請求者 | 第3号被保険者であった者(単独で請求できる) |
| 相手方の合意 | 不要 |
| 按分割合 | 必ず2分の1(割合を定める余地がない) |
| 対象記録 | 第3号期間に対応する相手方(第2号)の記録 |
| 対象期間 | 2008年4月以後の第3号被保険者期間のみ(それ以前は合意分割) |
請求期限・例外・合意分割との関係
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 請求期限 | 原則として離婚等の翌日から5年以内 |
| 例外 | 相手方が特定期間を基礎とする障害厚生年金の受給権者なら請求不可 |
| 合意分割との併用 | 併用できる |
| 合意分割との違い | 合意分割=任意・上限2分の1/3号分割=自動・必ず2分の1 |
押さえどころは、①第3号側の請求だけで合意不要・必ず2分の1、②対象は2008年4月以後の第3号期間のみ(それ以前は合意分割)、③請求は原則5年以内・相手方が特定期間基礎の障害厚生年金受給権者なら請求不可・合意分割と併用可、の3つ。
「合意・任意・上限2分の1」か「合意不要・自動・必ず2分の1」かで、合意分割と対比して押さえる。
わかりやすく言い換えると
要するに「扶養されていた人が、相手の同意なしで、その期間に対応する相手の厚生年金の記録を必ず半分もらえる仕組み」。
つまり、引っかけられやすいのは2つ。1つ目は「3号分割も相手の合意が必要」と思い込むこと。実際は合意不要で、第3号側の請求だけで必ず2分の1。合意が要るのは合意分割。2つ目は「結婚期間のすべての記録が対象」と思い込むこと。実際は2008年4月以後の第3号期間だけで、それより前は合意分割で分ける。
試験のツボ
🔴 一番出る:合意不要・自動で必ず2分の1
①第3号被保険者であった者の請求だけででき、相手方の合意は不要
②按分割合は必ず2分の1(当事者が割合を定める余地はない)
🔴 次に出る:対象は2008年4月以後の第3号期間のみ
①対象になるのは2008年4月以後の第3号被保険者期間だけ
②それより前の期間は合意分割で分ける(2008年に始まった制度)
🟡 押さえると安定:請求期限・例外・合意分割との関係
①請求は原則として離婚等の翌日から5年以内・合意分割と併用できる
②相手方が特定期間を基礎とする障害厚生年金の受給権者なら請求できない
よくある間違い
①「3号分割も相手方の合意がなければ行えない」→ ✗ 3号分割は第3号側の請求だけで行え、相手方の合意は不要。合意が要るのは合意分割のほう。
②「3号分割では婚姻期間中のすべての記録が分割される」→ ✗ 対象は2008年4月以後の第3号期間のみ。それより前は合意分割による。
③「3号分割の按分割合は当事者が話し合って自由に定める」→ ✗ 3号分割の割合は必ず2分の1で、定める余地はない。割合を定められるのは合意分割(上限2分の1)。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(特徴)
3号分割制度の特徴に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 3号分割は、分割を受ける側と相手方の双方があらかじめ合意しなければ行うことができないものとされる
- 3号分割は、家庭裁判所が当事者の事情に応じて按分割合を個別に定めて行うものとされている
- 3号分割は、第3号被保険者であった者の請求により相手方の合意なく2分の1に分割されるものとされる
- 3号分割は、分割を受ける側が請求しても相手方が拒んだ場合はいっさい行えないものとされている
解答は 3 だよ。
3号分割は、第3号被保険者であった者の請求だけで、相手方の合意なく2分の1ずつ分割されるんだ。
選択肢1の「双方の合意が必要」、選択肢2の「裁判所が割合を定める」、選択肢4の「相手が拒めば不可」は、いずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 相手方の合意は不要で単独請求できる |
| 2 | ✗ | 割合は必ず2分の1で定める余地がない |
| 3 | ✓ | 第3号側の請求・合意不要・2分の1で正しい |
| 4 | ✗ | 相手が拒んでも単独請求で分割できる |
オリジナル問題2(対象期間)
3号分割制度の対象期間に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 3号分割の対象になるのは、婚姻期間中のすべての第3号被保険者期間であり時期を問わないものとされる
- 3号分割の対象になるのは、2008年3月以前の第3号被保険者期間に限られるものとされているものである
- 3号分割の対象になるのは、第3号ではなく第1号被保険者であった期間に限られるものとされている
- 3号分割の対象になるのは、もっぱら2008年4月以後の第3号被保険者期間に限られるものとされる
解答は 4 だっ。
3号分割の対象になるのは、2008年4月以後の第3号被保険者期間だけだっ。それより前は合意分割で分けるんだっ。
選択肢1の「すべての期間」、選択肢2の「2008年3月以前」、選択肢3の「第1号期間」は、いずれも誤りだっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 対象は2008年4月以後の第3号期間に限られる |
| 2 | ✗ | 2008年3月以前ではなく4月以後である |
| 3 | ✗ | 第1号ではなく第3号期間が対象である |
| 4 | ✓ | 2008年4月以後の第3号期間で正しい |
オリジナル問題3(合意分割との違い)
3号分割制度と合意分割の違いに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 合意分割は割合が必ず2分の1に固定され、3号分割は当事者が割合を定めるものとされている
- 3号分割は割合が必ず2分の1で、合意分割は上限2分の1の範囲で割合を定めるものとされる
- 3号分割と合意分割は、いずれも相手方の合意がなければいっさい行えないものとされている
- 3号分割と合意分割は併用が認められず、必ずいずれか一方だけを選ぶものとされているものである
解答は 2 である。
3号分割は割合が必ず2分の1、合意分割は上限2分の1の範囲で割合を定める。ここが両者の違いである。
選択肢1の「逆」、選択肢3の「どちらも合意必要」、選択肢4の「併用不可」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 必ず2分の1なのは3号分割であり逆である |
| 2 | ✓ | 3号分割は必ず・合意分割は上限2分の1で正しい |
| 3 | ✗ | 3号分割は相手方の合意が不要である |
| 4 | ✗ | 合意分割と3号分割は併用できる |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 特徴 = 第3号被保険者であった者の請求だけで、相手方の合意なく、自動的に2分の1ずつ分割。割合は必ず2分の1(定める余地なし)。
- 🔴 対象期間 = 2008年4月以後の第3号被保険者期間のみ。それより前は合意分割による(2008年に始まった制度)。
- 🟡 請求期限・例外・併用 = 原則として離婚等の翌日から5年以内。相手方が特定期間を基礎とする障害厚生年金の受給権者なら請求不可。合意分割と併用できる。
次に学ぶ
- 離婚時みなし被保険者期間(合意分割) ── 当事者の合意または裁判所の決定で上限2分の1まで分ける、もう一つの離婚分割。
- 第3号被保険者 ── 3号分割の請求者となる、扶養されている配偶者。
- 老齢厚生年金 ── 分割を受けた記録が反映される厚生年金。
執筆: SikakuQuest編集部