企業年金とは(全体像)
企業年金は、国の年金(公的年金)に上乗せして、従業員の老後をより厚くするための私的年金のこと。代表が次の2つで、何が「確定」しているかで見分ける。
- 確定給付企業年金(DB) … 将来もらう給付額が先に決まっているタイプ。
- 確定拠出年金(DC) … 毎月出す掛金が先に決まっていて、給付額は運用しだいで変わるタイプ。
どちらも公的年金への「上乗せ」であって、厚生年金基金のように国の年金の一部を肩代わりする「代行部分」はない。試験では、このDBとDCの対比と、代行があるかないかが軸になる。
詳しく:この表だけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。企業年金の中身は、次の表に全部つまっている。
DBとDCの違い
| 区分 | 確定給付企業年金(DB) | 確定拠出年金(DC) |
|---|---|---|
| 確定するもの | 将来の給付額 | 出す掛金 |
| 給付額 | あらかじめ約束される | 運用成果で変わる |
| 運用リスク | 会社が負う | 加入者が負う |
| 開始 | 2002年(平成14年)4月 | 2001年(平成13年)10月 |
DCは、誰が掛金を出すかで企業型と個人型に分かれる。
DCの企業型・個人型と代行
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 企業型DC | 会社(事業主)が掛金を出す |
| 個人型DC(iDeCo) | 本人が掛金を出す。2017年(平成29年)1月に対象が大きく広がった |
| 代行部分 | DB・DCにはない(厚生年金基金とはここが違う) |
ポイントは、DBは「給付(もらう額)」が先に決まり、DCは「拠出(出す掛金)」が先に決まるという対称。だから運用が想定を下回ったとき、DBでは会社が不足を補い、DCでは加入者の将来の給付額が下がる。
そして企業年金は公的年金への上乗せだけを行い、国の報酬比例部分を肩代わりする代行部分は持たない。代行を持つのは厚生年金基金で、ここがいちばん混ざりやすい。
わかりやすく言い換えると
要するに、こう覚えるとラク。
DBは「もらう額が先決め」、DCは「出す額が先決め」。
つまり、DBは会社が「将来これだけ払う」と約束する=運用に失敗したら会社が穴埋め。DCは「毎月これだけ積む」とだけ約束する=運用の結果がそのまま自分の受取額になる。
DCの個人型がiDeCoで、自分でお金を出すタイプ。2017年1月に入れる人が大きく増えた。
試験のツボ
🔴 一番出る:DBとDCの対比
①DB = 将来の給付額が確定・運用リスクは会社
②DC = 出す掛金が確定・運用リスクは加入者
🔴 次に出る:代行部分の有無
①DB・DC = 代行部分なし(公的年金への上乗せだけ)
②代行部分を持つのは厚生年金基金
🟡 押さえると安定:DCの2類型とiDeCoの拡大
①企業型DC = 会社が掛金を出す
②個人型DC(iDeCo) = 本人が掛金を出す・2017年1月に対象拡大
よくある間違い
①「DBは掛金が確定・DCは給付額が確定」→ ✗ 逆。DBは給付額が確定、DCは掛金が確定。
②「企業年金(DB・DC)も国の年金を代行する」→ ✗ 代行部分を持つのは厚生年金基金だけ。DB・DCは上乗せのみ。
③「iDeCoは事業主が掛金を出す企業型」→ ✗ iDeCoは個人型で、本人が掛金を出す。事業主が出すのは企業型DC。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(区別論点)
確定給付企業年金(DB)と確定拠出年金(DC)の違いに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 確定給付企業年金は拠出する掛金が確定し、確定拠出年金は将来の給付額が確定する仕組みである
- 確定給付企業年金は将来の給付額が確定し、確定拠出年金は拠出する掛金が確定する仕組みである
- 確定給付企業年金も確定拠出年金も、いずれも将来の給付額があらかじめ確定している仕組みである
- 確定給付企業年金も確定拠出年金も、いずれも拠出する掛金だけが確定し給付額は定まらない仕組みである
解答は 2 だよ。
DBは将来の給付額が確定、DCは出す掛金が確定。「DBはBenefit(給付)/DCはContribution(掛金)」で覚えてね。確定するものを逆にした選択肢1が、いちばんよく出るひっかけだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | DBとDCを逆にしている |
| 2 | ✓ | DBは給付額確定・DCは掛金確定で正しい |
| 3 | ✗ | DCは掛金が確定で、給付額は運用しだい |
| 4 | ✗ | DBは給付額が確定している |
オリジナル問題2(iDeCo論点)
確定拠出年金の企業型と個人型(iDeCo)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)は本人ではなく事業主だけが掛金を拠出する企業型に分類される
- 確定拠出年金には企業型と個人型があるが、個人型はいかなる者も加入できないとされている
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)は本人が掛金を拠出し、2017年1月に対象が大きく広がった
- 確定拠出年金は企業型だけで、個人が自分で掛金を拠出する仕組みは存在しないとされる
解答は 3 だっ。
iDeCoはDCの個人型で、本人が掛金を出すんだっ。2017年1月に対象が大きく広がったのも要チェックだっ。事業主が掛金を出すのは企業型DCのほうだから、そこを取り違えないでねっ!
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | iDeCoは個人型で、本人が掛金を出す |
| 2 | ✗ | 個人型にも加入できる人がいる |
| 3 | ✓ | 本人拠出の個人型・2017年1月拡大で正しい |
| 4 | ✗ | 個人型(iDeCo)が設けられている |
オリジナル問題3(代行論点)
企業年金と厚生年金基金の代行に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 確定給付企業年金や確定拠出年金は、国の老齢厚生年金の報酬比例部分を代行する仕組みである
- 企業年金はその種類を問わず、すべて国の年金の代行を行うことが義務づけられているとされる
- 確定拠出年金だけが、国の老齢基礎年金の定額部分の全額を代行して支給する仕組みであるとされる
- 確定給付企業年金や確定拠出年金には、厚生年金基金が持つような代行部分というものは一切ない
解答は 4 である。
企業年金(DB・DC)は公的年金への上乗せだけを行い、国の年金を肩代わりする代行部分は持たない。代行部分を持つのは厚生年金基金で、ここが両者を分ける一番のポイントである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | DB・DCは代行をしない |
| 2 | ✗ | 代行は義務づけられていない |
| 3 | ✗ | DCは代行をしない |
| 4 | ✓ | DB・DCに代行部分はないで正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 DBとDCの対比 = DBは将来の給付額が確定・運用リスクは会社/DCは出す掛金が確定・運用リスクは加入者。
- 🔴 代行部分の有無 = DB・DCにはない(上乗せのみ)。代行を持つのは厚生年金基金。
- 🟡 DCの2類型 = 企業型(会社が掛金)と個人型iDeCo(本人が掛金)。iDeCoは2017年1月に対象拡大。
次に学ぶ
- 厚生年金基金 ── 国の報酬比例部分の一部を「代行」する企業年金。DB・DCとの違いは「代行があるかないか」で押さえると混ざらない。
- 国民年金基金 ── 自営業者など(第1号被保険者)が国民年金に上乗せする仕組み。企業年金と並ぶ私的年金。
- 老齢厚生年金 ── 企業年金が上乗せされる土台となる国の年金。
執筆: SikakuQuest編集部