確定拠出年金とは(全体像)
確定拠出年金(DC)は、毎月の掛金を積み立て、加入者が自分で運用して、その結果で将来の給付額が決まる年金のこと。公的年金(国民年金・厚生年金)に上乗せする私的年金の一つ。
一番大事なのは、確定給付(DB)との対比。
- 確定拠出(DC) … 確定するのは掛金。もらえる額は運用しだいで変わる。
- 確定給付(DB) … 確定するのは給付額。もらえる額が先に約束される。
そして確定拠出年金には2種類ある。
- 企業型DC … 会社(事業主)が掛金を出すタイプ。
- 個人型iDeCo … 自分で掛金を出すタイプ。
詳しく:この表だけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。中身は次の2つの表につまっている。
確定拠出(DC)と確定給付(DB)の違い
| 確定拠出(DC) | 確定給付(DB) | |
|---|---|---|
| 確定するもの | 掛金(拠出額) | 給付額 |
| 運用するのは | 加入者自身 | 制度(会社・基金など) |
| もらえる額 | 運用の結果で変わる | あらかじめ約束される |
確定拠出年金には企業型DC(会社が掛金を出す)と個人型iDeCo(自分で掛金を出す)の2種類があり、iDeCoの加入対象は2017年1月に大きく広がった。
iDeCoの加入対象(2017年1月に拡大)
| 内容 | |
|---|---|
| 2017年1月から入れるようになった人 | 公務員・第3号被保険者(専業主婦など)・企業年金に入っている会社員 |
| 入れない人(注意) | 国民年金保険料の免除を受けている人・農業者年金の被保険者など |
ここが狙われる。2017年1月で対象は広がったが、全員が入れるわけではない。つまり、免除を受けている人などは入れないので「全被保険者が加入できる」は誤り。
そして確定拠出年金には税優遇が3段階ある。
税優遇の3段階
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 拠出時 | 掛金が所得控除の対象になる |
| 運用時 | 運用で増えた利益が非課税になる |
| 受給時 | 受け取るときに課税の優遇がある |
なお、掛金の上限額(拠出限度額)は立場(被保険者の区分や他の年金制度への加入状況)によって違い、法改正でよく変わるので、試験では受験する年度の最新を確認する。
わかりやすく言い換えると
要するに、こう覚えるとラク。
確定拠出(DC)は「自分で育てる年金」。毎月いくら積むか(掛金)は先に決まっているが、もらえる額は運用の成績で変わる。一方、確定給付(DB)は「もらえる額が先に約束された年金」。この向きが逆。
種類は2つ。会社が出すなら企業型DC、自分で出すならiDeCo、と覚える。
試験のツボ
🔴 一番出る:DC と DB の対比
①確定拠出(DC)= 掛金が確定・給付は運用しだい
②確定給付(DB)= 給付額が約束される
🔴 次に出る:iDeCoの加入対象(2017年1月に拡大)
①公務員・第3号被保険者・企業年金加入の会社員も入れるようになった
②ただし免除者・農業者年金の被保険者などは入れない(=全員ではない)
🟡 押さえると安定:税優遇は3段階
①拠出時=掛金が所得控除
②運用時=運用益が非課税
③受給時=課税の優遇あり
よくある間違い
①「確定拠出年金は給付額があらかじめ約束されている」→ ✗ 約束されるのは確定給付(DB)。確定拠出(DC)は運用しだいで変わる。
②「2017年1月の拡大で全員がiDeCoに入れる」→ ✗ 公務員や第3号被保険者には広がったが、免除者などは入れない。
③「確定拠出年金には税の優遇がほとんどない」→ ✗ 拠出・運用・受給の3段階で優遇がある。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(DC と DB の対比)
確定拠出年金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 確定拠出年金は将来の給付額があらかじめ約束され、掛金の額が運用の結果に応じて変動するものとされている
- 確定拠出年金は掛金の額が確定し、給付額は加入者自身の運用の結果に応じて決まるものとされている
- 確定拠出年金は掛金も給付額も国が一律に定め、加入者が運用に関与する余地はないものとされている
- 確定拠出年金は事業主のみが給付額を保証し、加入者は掛金にも運用にも関与しないものとされている
解答は 2 だよ。
確定拠出(DC)で確定しているのは掛金で、給付額は運用の結果で決まるんだ。選択肢1は「給付額が約束される」としていて、これは確定給付(DB)の説明だから誤り。選択肢3・4のように国や事業主が額を決めて加入者が運用に関与しない、というのも違うよ。運用するのは加入者自身なんだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 給付額が約束されるのはDB |
| 2 | ✓ | 掛金が確定・給付は運用しだい |
| 3 | ✗ | 運用は加入者が担う |
| 4 | ✗ | 給付保証はDBの性格 |
掛金は確定・給付額は運用の結果しだい――これだよ。
オリジナル問題2(税優遇の3段階)
確定拠出年金の税制上の取扱いに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 確定拠出年金は掛金を拠出しても所得控除は受けられず、運用で得た利益にも通常どおり課税されるものとされる
- 確定拠出年金は受給するときにのみ重い課税が行われ、拠出するときや運用するときには何らの優遇もないものとされる
- 確定拠出年金は運用で得た利益には課税されるが、拠出時の所得控除だけは例外的に認められているものとされる
- 確定拠出年金は拠出時の所得控除・運用益の非課税・受給時の課税優遇という3段階で優遇を受けられるとされている
解答は 4 である。
確定拠出年金の税優遇は、掛金を出すとき(所得控除)・運用で増えるとき(非課税)・受け取るとき(課税優遇)の3段階である。選択肢1の「所得控除なし・運用益に課税」、選択肢2の「受給時のみ課税」、選択肢3の「運用益に課税」は、いずれも優遇の段階を取り違えているため誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 掛金は所得控除の対象 |
| 2 | ✗ | 拠出時・運用時も優遇 |
| 3 | ✗ | 運用益は非課税 |
| 4 | ✓ | 3段階で優遇 |
拠出の所得控除・運用益の非課税・受給時の優遇――この3段階と押さえるのが肝要である。
オリジナル問題3(iDeCoの加入対象)
個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入対象に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 2017年1月にiDeCoの加入対象が公務員・第3号被保険者・企業年金加入の会社員へ拡大されたとされている
- 2017年1月の改正で、iDeCoは国民年金保険料の免除を受けている者を含む全被保険者が加入できるとされた
- 個人型iDeCoは2017年1月の時点でも、公務員や第3号被保険者は加入できないままであるものとされている
- 確定拠出年金は個人型iDeCoのみで、事業主が掛金を拠出する企業型は法律上存在しないものとされている
解答は 1 だっ。
2017年1月にiDeCoの対象が公務員・第3号被保険者・企業年金加入の会社員へ広がったんだっ。選択肢2の「全被保険者が加入できる」は誤りで、免除を受けている人などは入れないっ。選択肢3は逆で、2017年1月にこれらの人が対象へ加わったんだっ。選択肢4も違って、確定拠出年金には企業型DCもちゃんと存在するっ!
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 2017年1月に対象が拡大 |
| 2 | ✗ | 免除者などは加入できない |
| 3 | ✗ | 2017年1月に対象へ加わった |
| 4 | ✗ | 企業型DCも存在する |
対象は広がった、でも全員ではない――ここを取り違えないのが要だっ!
まとめ
押さえどころ
- 🔴 確定拠出(DC) = 掛金が確定・給付は運用しだい。給付額が約束される確定給付(DB)との向きを逆にしない。
- 🔴 2種類 = 会社が掛金を出す企業型DCと、自分で出す個人型iDeCo。iDeCoの対象は2017年1月に拡大(ただし免除者などは入れない=全員ではない)。
- 🟡 税優遇は3段階 = 拠出時の所得控除・運用益の非課税・受給時の課税優遇。掛金の上限額は立場で違い改正で変わるので受験年度の最新を確認。
次に学ぶ
- 確定給付企業年金法 ── 給付額が先に約束されるDBの制度。確定拠出と「給付が確定/掛金が確定」で対をなす。
- 企業年金(確定給付・確定拠出) ── 公的年金に上乗せする企業年金の全体像。DBとDCの両方を含む。
- 第3号被保険者 ── 2017年1月にiDeCoの対象へ加わった区分の一つ。
執筆: SikakuQuest編集部