遺族の範囲・順位とは(全体像)
家計を支えてきた人が亡くなったとき、誰がどの順番で遺族厚生年金を受け取れるかを定めたのがこのルール。限られた給付を、生活の基盤を失いやすい遺族から順に届けるための仕組み。
押さえるのは3点。
- 範囲 … 配偶者・子・父母・孫・祖父母の5種類(兄弟姉妹は入らない)。
- 順位 … 第1順位は配偶者と子で、次いで父母 → 孫 → 祖父母。先順位がいれば後順位には出ない。
- 対象ごとの要件 … 夫側(夫・父母・祖父母)は55歳以上で支給は原則60歳から、妻は年齢不問。子・孫は18歳年度末まで(または20歳未満で障害)かつ未婚。
範囲が「子のある配偶者」または「子」に限られるのは遺族基礎年金のほう。遺族厚生年金は父母・孫・祖父母まで広い、という対比で押さえる。
詳しく:範囲・順位・要件を表でつかむ
ここが心臓部。「誰が・どの順で・どんな要件で」は次の表に全部つまっている。
遺族の範囲と順位
| 順位 | 遺族 | 主な要件 |
|---|---|---|
| 第1順位 | 配偶者と子(同順位) | 妻は年齢不問/夫は55歳以上・支給は原則60歳から |
| 第2順位 | 父母 | 55歳以上・支給は原則60歳から |
| 第3順位 | 孫 | 18歳年度末まで(または20歳未満で障害)・未婚 |
| 第4順位 | 祖父母 | 55歳以上・支給は原則60歳から |
| 受給 | 先順位がいれば後順位は出ない(排他的) | 全員に生計維持が前提 |
押さえどころは、①範囲は配偶者・子・父母・孫・祖父母、②第1順位は配偶者と子で先順位のみ受給、③夫側は55歳以上(支給60歳から)・妻は年齢不問・子孫は18歳年度末(または20歳未満障害)かつ未婚、の3つ。
補足として、生計維持は「死亡当時に生計を同じくし、原則として年収850万円未満」で判定する。死亡当時にお腹にいた子(胎児)は、生まれたときに受給権が生じる。子のない30歳未満の妻は5年の有期支給。
わかりやすく言い換えると
要するに「亡くなった人に養われていた家族のうち、誰がどの順番で遺族厚生年金を受け取れるかを決めたルール」。
つまり、範囲には父母・孫・祖父母まで入るけれど、配偶者や子がいる間は、後ろの順位の人には回ってこない。そして男女で扱いが違い、夫・父母・祖父母は55歳以上が条件(お金が出るのは原則60歳から)、妻だけは年齢を問われない。
試験のツボ
🔴 一番出る:範囲は配偶者・子・父母・孫・祖父母
①兄弟姉妹は入らない
②範囲が「子のある配偶者」か「子」に限られるのは遺族基礎年金のほう
🔴 次に出る:第1順位は配偶者と子・先順位のみ受給
①配偶者と子は同順位で最先
②先順位がいる間は後順位(父母・孫・祖父母)には出ない(排他的)
🟡 押さえると安定:男女で年齢要件が違う
①夫・父母・祖父母は55歳以上が要件・支給は原則60歳から
②妻は年齢不問。子・孫は18歳年度末まで(または20歳未満で障害)かつ未婚
よくある間違い
①「範囲は配偶者と子だけ」→ ✗ 遺族厚生年金の範囲は父母・孫・祖父母も含む。配偶者と子だけなのは遺族基礎年金のほう。
②「夫も妻と同じく年齢不問・55歳から直ちに支給」→ ✗ 夫・父母・祖父母は55歳以上が要件で、支給は原則60歳から。妻だけ年齢不問。
③「先順位がいても後順位にも同時に出る」→ ✗ 先順位の遺族がいる間は、後順位の遺族には支給されない(排他的)。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(遺族の範囲)
遺族厚生年金の遺族の範囲に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 遺族厚生年金の遺族の範囲は、死亡した人の配偶者と子にかぎられ、父母や祖父母は含まれないものとされる
- 遺族厚生年金の遺族の範囲は、死亡当時に生計を維持されていた配偶者・子・父母・孫・祖父母とされている
- 遺族厚生年金の遺族の範囲は、死亡した人と同居していた親族なら続柄を問わず広く含まれるものとされている
- 遺族厚生年金の遺族の範囲は、死亡した人の兄弟姉妹までを当然に含むものとして法に定められているとされる
解答は 2 だよ。
範囲は配偶者・子・父母・孫・祖父母の5種類。死亡当時に生計を維持されていたことが前提なんだ。
選択肢1の「配偶者と子だけ」、選択肢3の「同居なら続柄不問」、選択肢4の「兄弟姉妹も」は、いずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 父母・孫・祖父母も範囲に含まれる |
| 2 | ✓ | 配偶者・子・父母・孫・祖父母が範囲 |
| 3 | ✗ | 範囲は続柄で限定されている |
| 4 | ✗ | 兄弟姉妹は遺族の範囲に含まれない |
オリジナル問題2(対象ごとの要件)
遺族厚生年金の遺族の要件に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 夫は妻と同様に年齢を問わず遺族となることができ、年齢の要件はいっさい課されないものとされている
- 子は年齢の要件さえ満たせば、現に婚姻している場合でも当然に遺族となることができるものとされている
- 父母や祖父母は、死亡した当時の年齢にかかわらず、誰でも直ちに支給の対象になるものとされている
- 夫・父母・祖父母は死亡当時55歳以上であることが要件で、支給は原則として60歳からとされている
解答は 4 だっ。
夫・父母・祖父母は死亡当時55歳以上が要件で、しかも支給は原則60歳からなんだっ。妻だけが年齢不問だっ。
選択肢1の「夫も年齢不問」、選択肢2の「婚姻していても可」、選択肢3の「年齢にかかわらず直ちに」は、いずれも誤りだっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 夫は55歳以上が要件で年齢不問ではない |
| 2 | ✗ | 子は未婚であることが必要 |
| 3 | ✗ | 55歳以上が要件で支給は原則60歳から |
| 4 | ✓ | 55歳以上が要件・支給は原則60歳から |
オリジナル問題3(順位の働き)
遺族厚生年金の遺族の順位に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 遺族厚生年金は、第1順位の配偶者と子がいる場合でも、後順位の父母や孫にも同時に支給されるとされる
- 遺族厚生年金は、孫と祖父母が配偶者や子よりも常に優先して受給するものとして法に定められているとされる
- 遺族厚生年金の第1順位は配偶者と子で、先順位の遺族がいれば後順位の遺族には支給されないものとされる
- 遺族厚生年金は、範囲に含まれる遺族の全員に対し、その人数で等分した額が一律に支給されるものとされる
解答は 3 である。
第1順位は配偶者と子で、先順位の遺族がいる間は後順位の遺族には支給されない(排他的)。配偶者や子がいれば、父母・孫・祖父母には回らない。
選択肢1の「同時に支給」、選択肢2の「孫・祖父母が優先」、選択肢4の「人数で等分」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 先順位がいれば後順位には支給されない |
| 2 | ✗ | 配偶者と子が先で孫・祖父母は後 |
| 3 | ✓ | 第1順位は配偶者と子・先順位のみ受給 |
| 4 | ✗ | 人数で等分する仕組みではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 範囲 = 配偶者・子・父母・孫・祖父母の5種類(兄弟姉妹は入らない)。配偶者と子だけなのは遺族基礎年金のほう。
- 🔴 順位 = 第1順位は配偶者と子。先順位がいれば後順位(父母・孫・祖父母)には出ない(排他的)。
- 🟡 対象ごとの要件 = 夫・父母・祖父母は55歳以上(支給は原則60歳から)、妻は年齢不問。子・孫は18歳年度末まで(または20歳未満で障害)かつ未婚。
次に学ぶ
- 遺族厚生年金 ── この範囲・順位に従って報酬比例部分の4分の3を支給する給付そのもの。
- 遺族基礎年金 ── 範囲が「子のある配偶者」か「子」に限られる土台の年金。範囲の広さの対比で覚える。
- 報酬比例部分 ── 遺族厚生年金の額(4分の3)の計算のもとになる部分。
執筆: SikakuQuest編集部