情報システム化計画とは(全体像)
情報システム化計画とは、「こういう業務をしたい」という要望にもとづいて、情報システムを作る前に立てる計画のこと。
大事な考え方は、いきなり作り始めないということ。何を作るかが固まっていないまま開発に入ると、後で「思っていたのと違う」となり、やり直しでムダが増える。だから、計画の段階でしっかり中身を詰めるのが基本だ。
進め方は、大きく5つの段階に分かれる。「ざっくり方針 → くわしく中身 → 段取り → 作る → 使う」という順で、だんだん具体的になっていく。
詳しく:5つの段階と優先順位の決め方
ここが心臓部。まず、5つの段階を表で押さえよう。
情報システム化の5つの段階
| 段階 | やること |
|---|---|
| ① システム化構想 | 会社の戦略に合わせて、大まかな方針を決める |
| ② 要件定義 | 必要な機能や条件を、くわしく決める |
| ③ システム化計画 | スケジュール・体制・費用を決める |
| ④ 開発 | 設計し、作り、テストする |
| ⑤ 移行・運用 | 新しいしくみに切り替えて、使い始める |
とくに大事なのが、②の要件定義。これは「何ができるシステムにするか(必要な機能や条件)を、はっきり決める」段階のこと。ここがあいまいだと、あとの開発で迷子になる。
もうひとつ大事なのが、優先順位の決め方。複数の案があるとき、何を先にやるかを決める必要がある。このとき、ROI(投資対効果)だけで決めないのがポイント。
※ROIは「Return On Investment」の略で、「かけたお金に対して、どれだけ見返りがあるか」のこと。
ROIが高くても、リスクが大きすぎたり、会社の戦略に合っていなかったりすれば、優先すべきではない。ROI・リスク・戦略との合いぐあいをあわせて見て決める、というのが正しい考え方だ。
わかりやすく言い換えると
身近なたとえで整理しよう。
情報システム化計画は、旅行の「計画を立ててから出発する」イメージ。行き先(構想)→ 持ち物や予定(要件定義)→ 日程と予算(計画)→ 実際に行く(開発)→ 現地で過ごす(運用)、という流れだ。要するに、行き当たりばったりにしない、ということ。
要件定義は、「何を持っていくか」をはっきり決める段階。ここがあいまいだと、現地で「あれを忘れた」となる。つまり、最初にしっかり決めるほど後がスムーズになる。
ROIだけで決めない、というのは、「安いから」だけで宿を選ばないのと同じ。値段(ROI)だけでなく、立地や安全(リスク・戦略)も見て選ぶ、という考え方だ。
試験のツボ
🔴 一番出る:5つの段階
①構想 → 要件定義 → 計画 → 開発 → 運用
②だんだん具体的になっていく流れ
🔴 次に出る:要件定義の役割
①何ができるシステムにするか(必要な機能や条件)を、はっきり決める
②ここがあいまいだと、あとの開発で迷子になる
🟡 押さえると安定:優先順位の決め方
①ROI(投資対効果)だけで決めない
②リスクや戦略との合いぐあいもあわせて見る
よくある間違い
①「システムは、計画せずにいきなり作り始めてよい」→ ✗ 計画の段階で中身をしっかり詰めるのが基本。あとのやり直しを減らせる。
②「優先順位は、ROI(投資対効果)だけで決めればよい」→ ✗ ROIだけでなく、リスクや戦略との合いぐあいもあわせて見て決める。
③「要件定義とは、完成したシステムの不具合を直す作業のことだ」→ ✗ 要件定義は、何を作るか(必要な機能や条件)を決める段階。作る前の話。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(情報システム化計画とは)
情報システム化計画に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 完成したシステムの不具合を、運用しながら見つけて直す日々の作業のことである
- 業務の要望にもとづいて、システムを作る前に立てる計画のことを指している
- 社員の出退勤の時刻を記録して、毎月の給与を計算するためのしくみである
- 取引先へ毎月の請求書を郵送する、決まった事務作業のことだけを指している
解答は 2 だよ。
情報システム化計画は、業務の要望にもとづいて、システムを作る前に立てる計画だよ。いきなり作り始めないのが大事なんだ。
選択肢1は運用中の修正、選択肢3は勤怠と給与、選択肢4は請求書の事務で、どれも違うよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 運用中の不具合修正の話 |
| 2 | ✓ | 作る前に立てる計画で正しい |
| 3 | ✗ | 勤怠・給与のしくみの話 |
| 4 | ✗ | 請求書の事務の話 |
オリジナル問題2(要件定義)
要件定義に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 何ができるシステムにするか、必要な機能や条件をはっきり決める段階である
- 完成したシステムを実際に動かしながら、不具合を見つけて直していく段階である
- 社員を集めて、来年の旅行の行き先を多数決で決めるための話し合いである
- 取引先に送る請求書を、毎月もれなく郵送するための事務作業のことである
解答は 1 だよ。
要件定義は、何ができるシステムにするか、必要な機能や条件をはっきり決める段階だよ。ここがあいまいだと、あとの開発で迷子になるんだ。
選択肢2は運用中の修正、選択肢3は旅行の話し合い、選択肢4は請求書の事務で、どれも違うよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 機能や条件をはっきり決める段階で正しい |
| 2 | ✗ | 運用中の修正の話 |
| 3 | ✗ | 旅行の話し合いの話 |
| 4 | ✗ | 請求書の事務の話 |
オリジナル問題3(優先順位の決め方)
複数のシステム案の優先順位の決め方として、最も適切なものはどれか。
- いちばん作るのが簡単なものから順に、内容を見ずに着手するのが正しいとされる
- 社員の人数が多い部署の案を、中身にいっさい関係なく必ず最優先にするのが基本である
- くじ引きで順番を決めるのがよく、費用や効果はいっさい見ないものとされている
- ROI(投資対効果)だけでなく、リスクや戦略との合いぐあいもあわせて見て決める
解答は 4 だよ。
優先順位は、ROI(投資対効果)だけでなく、リスクや戦略との合いぐあいもあわせて見て決めるよ。もうけだけで決めないのがポイントだね。
選択肢1の「簡単な順」、選択肢2の「人数だけ」、選択肢3の「くじ引き」は、いずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 内容を見ずに決めるのは誤り |
| 2 | ✗ | 人数だけで決めるのは誤り |
| 3 | ✗ | 費用や効果を見ないのは誤り |
| 4 | ✓ | ROI・リスク・戦略をあわせて見るで正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 5つの段階 = 構想 → 要件定義 → 計画 → 開発 → 運用。だんだん具体的になる。
- 🔴 要件定義 = 何ができるシステムにするか(必要な機能や条件)を、はっきり決める段階。
- 🟡 優先順位 = ROI(投資対効果)だけでなく、リスクや戦略との合いぐあいもあわせて見て決める。
次に学ぶ
- システム戦略立案 ── 経営戦略に合わせてITの全体像を設計する活動。計画づくりの土台になる。
- 業務プロセスモデリング ── 仕事の流れを図で見える化する手法。要件定義の前提として役立つ。
執筆: SikakuQuest編集部