システム戦略立案とは(全体像)
システム戦略立案とは、会社全体の方針(経営戦略)に合わせて、「どんなITや情報システムを、いつ・どう整えるか」の全体像を設計する活動のこと。
ここで一番大事なのは、経営戦略とITをそろえる(整合させる)こと。会社の目標と関係なくシステムを作っても、ムダになりやすい。「会社が目指す方向」と「ITで作るもの」が、同じ方向を向いている必要がある。
この活動の責任者をCIO(Chief Information Officer、最高情報責任者)という。会社の情報システム全般に責任を持つ役職だ。成果物としては、数年先を見すえたIT計画・投資計画・人材育成計画などをまとめる。
詳しく:CIOとCDO、攻めと守り
ここが心臓部。まず、よく似た2つの役職を区別しよう。
CIOとCDOの違い
| 役職 | 正式名(意味) | おもな役割 |
|---|---|---|
| CIO | Chief Information Officer(最高情報責任者) | 会社の情報システム全般に責任を持つ |
| CDO | Chief Digital Officer(最高デジタル責任者) | デジタル変革(DX)を引っぱる |
※DX(デジタルトランスフォーメーション)は、「デジタルの力で、仕事のしかたやサービスそのものを新しく変えること」。ただ紙をデータにするだけでなく、価値の生み方を変える、という意味あいだ。
次に、IT戦略の2つの方向。「攻め」と「守り」の両輪で考えるのが今の主流だ。
攻めのITと守りのIT
| 方向 | ねらい | 例のイメージ |
|---|---|---|
| 攻めのIT | ITで新しい価値や売上を生み出す | 新しいデジタルサービスを始める |
| 守りのIT | 今ある業務を効率化し、コストを下げる | 社内の事務をシステムで自動化する |
昔は「守り(効率化)」が中心だったが、今は攻めと守りの両方をそろえて回すのが大事、とされている。どちらか一方ではない、という点がよく問われる。
わかりやすく言い換えると
身近なたとえで整理しよう。
システム戦略立案は、家を建てる前の「設計図づくり」のイメージ。住む人の暮らし方(経営戦略)に合わせて、間取りや設備(IT)を決める。暮らし方を無視して設備だけ豪華にしてもムダになる、という関係だ。
CIOとCDOは、「家全体を管理する人」と「新しいリフォームを進める人」の違いに近い。要するに、CIOがシステム全般、CDOがデジタル変革(DX)の担当だ。
攻めと守りは、「新しいお店を出す」か「今のお店のムダを減らす」かの違い。つまり、ITで増やす方向と、ITで整える方向。今はこの両方が大事なんだ。
試験のツボ
🔴 一番出る:経営戦略との整合
①システム戦略は、会社の方針(経営戦略)に合わせて立てる
②目標と関係なく作るとムダになりやすい
🔴 次に出る:CIOとCDOの違い
①CIO=情報システム全般の責任者
②CDO=デジタル変革(DX)を引っぱる責任者
🟡 押さえると安定:攻めと守りの両輪
①攻め=ITで新しい価値・売上を生む
②守り=今ある業務を効率化する。今は両方が大事
よくある間違い
①「CIOとCDOは、まったく同じ役職だ」→ ✗ CIOは情報システム全般、CDOはデジタル変革(DX)を引っぱる役割。守備範囲が違う。
②「IT戦略は、業務を効率化する『守り』だけを考えればよい」→ ✗ 今は、新しい価値を生む『攻め』と効率化の『守り』の両輪が大事とされている。
③「システムは、経営戦略と関係なく作ってよい」→ ✗ 経営戦略とITをそろえるのが基本。関係なく作るとムダになりやすい。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(システム戦略立案とは)
システム戦略立案に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 完成したシステムの不具合を、運用中に見つけて直す日々の作業のことを指している
- 社員一人ひとりのパソコンの使い方を、個別に教える研修のことだけを指している
- 取引先へ送る請求書を、毎月もれなく印刷して郵送する事務作業のことを指している
- 経営戦略に合わせ、ITや情報システムの全体像を設計する活動のことを指している
解答は 4 だよ。
システム戦略立案は、経営戦略(会社の方針)に合わせて、ITや情報システムの全体像を設計する活動だよ。会社の目標とITをそろえるのが大事なんだ。
選択肢1は運用中の修正、選択肢2は研修、選択肢3は請求書の事務で、どれも違うよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 運用中の不具合修正の話 |
| 2 | ✗ | パソコン研修の話 |
| 3 | ✗ | 請求書の事務の話 |
| 4 | ✓ | 経営戦略に合わせた全体像の設計で正しい |
オリジナル問題2(CIOとCDOの違い)
CIOとCDOの違いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- CIOは情報システム全般の責任者、CDOはデジタル変革を引っぱる責任者である
- CIOもCDOも、社員の給与計算だけを担当する経理の責任者のことを指している
- CIOはデジタル変革だけ、CDOは情報システム全般だけを担当する役職である
- CIOもCDOも、工場で製品を組み立てる作業の責任者のことを指す言葉である
解答は 1 だよ。
CIOは情報システム全般の責任者、CDOはデジタル変革(DX)を引っぱる責任者だよ。役割が違うんだ。
選択肢2は給与計算、選択肢3はCIOとCDOが逆、選択肢4は工場の作業の話で、どれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | CIOはシステム全般・CDOはDXで正しい |
| 2 | ✗ | 給与計算の責任者ではない |
| 3 | ✗ | CIOとCDOの説明が逆 |
| 4 | ✗ | 工場の作業の責任者ではない |
オリジナル問題3(攻めと守りの両輪)
攻めのITと守りのITに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 攻めも守りも、どちらも今ある業務をなくして社員を減らすことだけを指している
- 攻めは新しい価値を生むIT、守りは業務を効率化するITで、両輪が大事とされる
- 守りのITだけを考えればよく、攻めのITはまったく不要なものだとされている
- 攻めのITとは、ライバル会社のシステムをこっそり止める行為のことを指している
解答は 2 だよ。
攻めのITは新しい価値や売上を生むIT、守りのITは今ある業務を効率化するITだよ。今はこの両輪をそろえて回すのが大事とされているんだ。
選択肢1の「社員を減らすだけ」、選択肢3の「攻めは不要」、選択肢4の「ライバルを止める」は、いずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 人を減らすことだけが目的ではない |
| 2 | ✓ | 攻めは新価値・守りは効率化で正しい |
| 3 | ✗ | 攻めのITも大事 |
| 4 | ✗ | 他社を止める行為ではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 整合 = システム戦略は、経営戦略(会社の方針)に合わせて立てる。
- 🔴 CIOとCDO = CIOは情報システム全般、CDOはデジタル変革(DX)を引っぱる。
- 🟡 攻めと守り = 攻めは新しい価値を生むIT、守りは効率化のIT。今は両輪が大事。
次に学ぶ
- DX推進指標 ── デジタル変革(DX)がどれくらい進んでいるかを測るものさし。攻めのIT戦略の進み具合を確かめるのに使う。
執筆: SikakuQuest編集部