まず、3分野ってなに?
iパスの問題は、大きく3つの分野から出ます。最初に、それぞれがどんな世界かをつかんでおきましょう。
ITパスポートの3分野
| 分野 | ざっくり言うと | 身近さ |
|---|---|---|
| ストラテジ系 | 経営・会社・お金まわりの話 | 高い(社会人に身近) |
| マネジメント系 | システム開発やプロジェクトの進め方 | 中くらい |
| テクノロジ系 | ITの技術・しくみ・計算 | 低め(未経験者は不慣れ) |
ストラテジ系は、経営戦略やマーケティング、会計、それに知的財産権などの法律まで含む「会社まわり」の話。たとえばCSR・コーポレートガバナンスのような、ニュースでも耳にする言葉が並びます。働いている人なら、なんとなく聞き覚えのある話が多い分野です。
マネジメント系は、システムを作る・管理する進め方の話。プロジェクトの進め方やシステム監査などが出てきます。要件定義のように「何を作るかをまず決める」といった、仕事の段取りに近い考え方が中心です。
テクノロジ系は、ITそのものの技術やしくみ。ネットワークやセキュリティ、データベース、それに計算問題までが範囲です。論理演算や2進数の計算など、未経験の人がいちばん身構えやすいのが、この分野になります。
各分野でよく出るテーマの例
出題数は3分野からバランスよく出ます。どれか一つを捨てて受かる試験ではないので、最終的には3分野すべてに触れる必要があります。この「3分野まんべんなく」という形は、IT全体を広く浅く問うiパスらしさそのもの。だからこそ、「どこから始めるか」で、勉強の乗りやすさが変わってくるんです。
おすすめの順番は「身近な順」
では、本題の順番です。先に答えを言ってしまうと、ストラテジ → マネジメント → テクノロジ の順がおすすめです。
これは「身近で分かりやすい順」に並べたもの。社会人にとってなじみのある経営・お金の話から入り、仕事の段取りに近いマネジメントへ進み、最後にいちばん不慣れな技術分野に取り組む——という流れです。
ストラテジ → マネジメント → テクノロジ。身近でとっつきやすい順に並べています。最初に「分かる」という手応えを得られると、勢いがつき、いちばん苦手な技術分野にたどり着くころには、もう勉強のリズムができあがっています。
なぜ身近な順がいいのか。理由はシンプルで、最初に「分かった」という成功体験を作りたいからです。
勉強を始めたばかりのころに、いきなり2進数の計算でつまずくと、「やっぱり自分には向いてないかも」と心が折れやすい。でも、聞き覚えのある経営の話から入れば、「あ、これ知ってる」「意外といけるかも」と感じられます。この小さな自信が、続けるための土台になるんです。
想像してみてください。同じ未経験の二人が、片方は2進数の計算から、もう片方は知っている経営用語から勉強を始めたとします。一週間後、最初の手応えを得やすいのはどちらでしょうか。多くの場合、後者です。スタートでつまずかなかった人は、「次もやってみよう」と机に向かいやすい。最初のとっかかりの軽さが、その後の続けやすさを、思った以上に左右します。
ただし、これはあくまで「迷ったときの基本形」。絶対の正解ではありません。
たとえば、もともとIT系の仕事をしている人なら、得意なテクノロジ系から入って弾みをつけてもいい。逆に、苦手なものを先に片づけたいタイプの人は、テクノロジ系から始めるのも一つの手です。要するに、大事なのは「自分が続けやすい入口」を選ぶこと。身近な順は、その目安にすぎません。
分野ごとに、力の入れ方を変えていい
順番と並んで知っておくと得なのが、分野によって「効く勉強法」と「かける時間」を少し変えていい、ということです。
ストラテジ系とマネジメント系は、用語とその意味を覚える暗記の要素が大きい分野です。聞き慣れない横文字も多いですが、裏を返せば、言葉の意味さえ押さえれば点につながりやすい。過去問を繰り返して用語に「見慣れる」ことが、いちばんの近道になります。
いっぽうテクノロジ系は、暗記だけでは乗り切りにくい分野。2進数の計算や論理の問題は、意味を理解して、実際に手を動かして慣れる必要があります。とはいえ、解き方の手順を一度つかめば、似た問題で点を稼げるようになる。最初だけ少し粘って、しくみを腑に落とすのがコツです。
つまり、暗記寄りのストラテジ・マネジメントは「過去問で見慣れる」、理解寄りのテクノロジは「手を動かして慣れる」。同じ勉強時間でも、分野の性質に合わせてやり方を変えると、手応えが変わってきます。
時間のかけ方も、均等である必要はありません。すでに馴染みのある分野はさらっと、不慣れで時間のかかる分野は少し厚めに。自分の得意・不得意に合わせて、配分を調整していきましょう。たとえば文系で技術に不慣れな人なら、テクノロジ系にやや多めの時間を見込んでおくと、後半で慌てずに済みます。
なぜ「3分野を行き来する」といいのか
順番を決めたら、次は回し方です。ここで知っておいてほしいのが、1分野を完璧にしてから次へ、と進めないほうがいい、ということ。
ありがちな失敗が、「まずストラテジを完璧にしよう」と一つの分野に何週間もかけてしまうパターン。そうすると、テクノロジにたどり着くころには、最初に覚えたストラテジの内容を忘れてしまっています。
おすすめは、3分野を浅く何度も回すやり方です。1分野ずつ完璧を目指すのではなく、「全分野をざっと一周」を繰り返す。こうすると、忘れたころにまた同じ分野へ戻ってくるので、記憶が何度も呼び覚まされ、定着しやすくなります。
これは学習科学で「分散学習」と呼ばれる考え方に沿っています。同じ分量を勉強するなら、一気に詰め込むより、間隔をあけて何度も触れたほうが記憶に残りやすい、と言われています。3分野を順ぐりに回すやり方は、自然とこの「間隔をあけて復習する」形になるんです。
具体的なイメージとしては、たとえば1週間でストラテジ→マネジメント→テクノロジを一巡し、翌週もまた同じ順で一巡する、という回し方。1回ごとは浅くてよいので、週を追うごとに、同じ分野へ何度も戻ってくることになります。この「戻ってくる」回数が、そのまま記憶の定着につながっていきます。
つまり、順番は「身近な順」で決めつつ、進め方は「全分野を薄く何周も」。この組み合わせが、iパスの広く浅い出題と、いちばん相性がいい。最初の一周は分からないところだらけでも、二周目、三周目と回すうちに、ぼんやりしていた知識が、だんだん輪郭を持ってきます。
二周目で景色が変わるのは、一周目で「全体の地図」が頭に入っているからです。初めて聞いたときはチンプンカンプンだった用語も、二度目には「あ、これ前に見た」という手がかりがある。この「見たことがある」の積み重ねが、理解のスピードを上げてくれます。だから、一周目で完璧を目指す必要はありません。むしろ、早く一周を終えて二周目に入るほうが、結果的に近道になります。
もう一つ、行き来することには利点があります。気分転換になるんです。テクノロジの計算に疲れたら、身近なストラテジの話に戻る。飽きや行き詰まりを感じたら、別の分野へ移る。こうして気分を切り替えながら進めると、一つの分野でずっと足踏みするより、ずっと続けやすくなります。
- iパスはストラテジ・マネジメント・テクノロジの3分野から出る
- 迷ったら身近な順に「ストラテジ → マネジメント → テクノロジ」
- 理由は、最初に「分かった」の成功体験を作って勢いをつけるため
- ただし得意分野から始めてもよい。続けやすい入口を選ぶのが一番
- 1分野ずつ完璧にせず、3分野を薄く何周も回す(分散学習)
理解度チェック
ここまでの話、どれくらい整理できたか確かめてみましょう。
ITパスポートの3分野のうち、ITの技術やしくみ・計算を主に扱うのはどれか。
- 経営戦略や会計のしくみを扱う、ストラテジ系
- ITの技術やしくみを扱う、テクノロジ系
- 開発の進め方を扱う、マネジメント系
- 申込み手続きだけを扱う、受験事務系
解答は 2 である。
テクノロジ系は、ITそのものの技術やしくみ、2進数のような計算を扱う分野だ。つまり、未経験の人がいちばん身構えやすいのが、ここなのである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | ストラテジは経営・お金まわり |
| 2 | ✓ 正解 | 技術・しくみ・計算はテクノロジ |
| 3 | ✗ 誤り | マネジメントは開発の進め方 |
| 4 | ✗ 誤り | 「申込み系」という分野はない |
3分野の役割を分けて押さえておくとよいのである。
本文が勧める、迷ったときの基本の勉強順として正しいものはどれか。
- テクノロジ系の計算問題だけを、最初に徹底して固める
- 3分野を完全に無視して、模試だけを繰り返し受ける
- 苦手分野を開かず、避けたまま受験する
- 身近なストラテジから入り、技術分野は後に回す
解答は 4 である。
迷ったときの基本は「ストラテジ → マネジメント → テクノロジ」。身近で分かりやすい順だ。最初に成功体験を作り、勢いをつけてから苦手分野へ向かう、という流れである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 最難所からは心が折れやすい |
| 2 | ✗ 誤り | 知識の土台づくりが先 |
| 3 | ✗ 誤り | 全分野に触れる必要がある |
| 4 | ✓ 正解 | 身近な順で勢いをつける |
ただし得意分野から始めてもよい。続けやすさが一番なのである。
本文が勧める、3分野の効果的な進め方として正しいものはどれか。
- 3分野を浅く、何度も繰り返し一周する
- 最初の1分野を完璧に固めてから、次の分野へ進む
- いちばん得意な1分野だけを、ひたすら深く掘り続ける
- 試験前日に、3分野を一気に詰め込む
解答は 1 である。
3分野は、浅く何度も回すのがよい。これは分散学習と呼ばれる考え方で、間隔をあけて繰り返すほど記憶に残りやすい。噛み砕いて言えば、一気に固めるより、薄く何周もするほうが効くということなのである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ 正解 | 薄く何周も=分散学習で定着 |
| 2 | ✗ 誤り | 完璧主義は他分野を忘れる |
| 3 | ✗ 誤り | 全分野に触れる必要がある |
| 4 | ✗ 誤り | 一夜漬けは定着しにくい |
回しているうちに、知識の輪郭がはっきりしてくるのである。
「ITパスポート、これなら進め方が見えてきた」と思ってもらえたなら、編集部としては嬉しいです。
3分野を薄く何周も回す勉強を、スキマ時間から始めたい人は、シカクエのアプリを使ってみるのも一つの方法です。1日10問、5分のスキマ時間から、分野を行き来しながら積み上げられます。
もちろん、市販のテキストを分野ごとに進めるのもいい方法です。大事なのは、続けやすい入口を選び、3分野を行き来しながら何周も回していくことだと思います。
次に読むなら、こんな記事もどうぞ。
→ CSR・コーポレートガバナンス — 会社が果たすべき責任と健全な経営のしくみ → 要件定義 — システム開発で「何を作るか」を最初に固める工程 → 論理演算 — AND・OR・NOTなど、コンピュータの判断の土台になる計算