予算とは(全体像)
高みから地方の統治を見渡そう。予算とは、地方公共団体の1年間の収入(歳入)と支出(歳出)を定めた計画のことだ。「どこからいくら集め、何にいくら使うか」を、前もって決めておく設計図にあたる。
押さえるのは、予算が長と議会の役割分担で決まること。
- 長 … 予算案を作る(調製する)。
- 議会 … その案を議決して確定させる。
「予算は議会が作る」と思い込まないこと。作るのは長、確定させるのは議会だ。これは、長と議会が役割を分け合う二元代表制の具体例で、議会が長の財政をチェックするしくみになっている。
詳しく:予算の原則と、単年度主義の例外
ここが心臓部。予算を貫く原則と、その例外を上から俯瞰する。
予算の基本
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作る・確定 | 長が調製し、議会の議決で確定する |
| 総計予算主義 | 収入も支出も全額もれなく予算に計上する |
| 単年度主義 | 原則として1年で完結(ただし例外あり) |
まず総計予算主義。これは、収入と支出を全額もれなく予算に計上するという原則だ。一部だけを抜き出して差し引きで見せる、といったことはせず、すべてを予算の表に載せる。お金の流れを丸ごと見えるようにするためだ。
次に単年度主義。予算は原則としてその年の1年で完結させる。ただし、これには大事な例外がある。
単年度主義の例外
| 例外 | 内容 |
|---|---|
| 継続費 | 数年度にわたる事業の経費を、あらかじめ計上する |
| 繰越明許費 | 年度内に使い切れない経費を、翌年度に繰り越す |
| 債務負担行為 | 将来の負担となる契約を、あらかじめ予算で決めておく |
たとえば、何年もかかる建設事業は1年では終わらない。そこで継続費として、数年度分の経費をまとめて計上できる。「予算はぜんぶ1年で完結」と思い込むと、この例外で足をすくわれる。
わかりやすく言い換えると
要するに、予算は地方公共団体の「1年分の家計簿の計画」。
つまり、①計画を作るのは長(家計を切り盛りする人)、それを承認するのは議会(家族会議)。作る人と承認する人が分かれている。
②原則は2つ。収入も支出も全部もれなく書く(総計予算主義)。そして1年ごとに区切る(単年度主義)。どんぶり勘定にせず、毎年きちんと締める。
③ただし、何年もかかる買い物(建設など)は1年では収まらない。だから継続費のように、複数年でOKにする例外がある。「原則1年、でも例外あり」と押さえておこう。
試験のツボ
🔴 一番出る:長が調製、議会が議決
①予算案を作る(調製する)のは長
②議会の議決で確定する(議会が作るのではない)
🔴 次に出る:総計予算主義
①収入も支出も全額もれなく予算に計上する
②差し引きだけで見せることはしない
🟡 押さえると安定:単年度主義の例外
①原則は1年で完結(単年度主義)
②継続費・繰越明許費・債務負担行為などの例外がある
よくある間違い
①「予算は議会が調製する」→ ✗ 予算案を作るのは長。議会はそれを議決して確定させる。
②「予算はすべて1年で完結する」→ ✗ 継続費・繰越明許費・債務負担行為など、単年度主義の例外がある。
③「収入や支出は一部だけ予算に載せればよい」→ ✗ 総計予算主義により、収入も支出も全額もれなく計上する。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(予算を作る主体)
地方公共団体の予算を作り、確定させる主体に関する記述として、正しいものはどれか。
- 予算は議会が調製し、長はその内容を執行するだけで関与しないものとされている
- 予算は長が調製し、議会の議決を経てはじめて確定するものとされている
- 予算は住民の直接投票で確定し、長や議会は関与しないものとされる
- 予算は長が単独で調製も確定もでき、議会の議決は不要であるものとされる
解答は 2 だ。
上から見渡そう。予算は、長が調製し、議会の議決を経て確定する。作るのは長、確定させるのは議会だぞ。
選択肢1のように「議会が作る」のではない。長と議会の役割分担を取り違えないこと。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 調製するのは議会ではなく長 |
| 2 | ✓ | 長が調製し、議会の議決で確定する |
| 3 | ✗ | 住民の直接投票で確定するのではない |
| 4 | ✗ | 議会の議決は必要である |
オリジナル問題2(総計予算主義)
総計予算主義に関する記述として、正しいものはどれか。
- 収入も支出も全額もれなく予算に計上しなければならないものとされる
- 収入から支出を差し引いた残額だけを予算に計上すればよいものとされる
- 支出だけを予算に計上し、収入は予算に計上しなくてよいものとされている
- 重要な収入と支出だけを選んで予算に計上すればよいものとされている
解答は 1 だ。
全体像を俯瞰しよう。総計予算主義は、収入も支出も全額もれなく予算に計上するという原則だぞ。お金の流れを丸ごと見えるようにするためだ。
選択肢2の「差し引きだけ」や選択肢3の「支出だけ」では、全体が見えなくなる。だから全額を載せる。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 収入も支出も全額もれなく計上する |
| 2 | ✗ | 差し引きの残額だけではない |
| 3 | ✗ | 収入も計上する |
| 4 | ✗ | 重要なものだけを選ぶのではない |
オリジナル問題3(単年度主義の例外)
予算の単年度主義とその例外に関する記述として、正しいものはどれか。
- 予算は例外なくすべて単年度で完結し、複数年度にわたる処理は認められないとされる
- 単年度主義の例外として、収入を全額計上しないことが認められているものとされる
- 単年度主義の例外として、予算を議会の議決なしに変更できるものとされている
- 単年度主義の例外として、継続費・繰越明許費・債務負担行為などが認められる
解答は 4 だ。
高みから見渡そう。予算は原則1年で完結する単年度主義だが、例外がある。継続費・繰越明許費・債務負担行為など、数年度にまたがる処理が認められるぞ。
選択肢1の「例外なくすべて単年度」が誤りだ。例外があることを見落とさないこと。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 複数年度にわたる例外が認められる |
| 2 | ✗ | 例外は計上の話ではない(総計予算主義は守る) |
| 3 | ✗ | 議会の議決なしの変更が例外なのではない |
| 4 | ✓ | 継続費・繰越明許費・債務負担行為などが例外 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 役割分担 = 予算案を作る(調製する)のは長、確定させるのは議会の議決。
- 🔴 総計予算主義 = 収入も支出も全額もれなく予算に計上する。
- 🟡 単年度主義の例外 = 原則1年だが、継続費・繰越明許費・債務負担行為などの例外がある。
次に学ぶ
- 長の権限 ── 予算を調製し執行する長の権限の全体像。財政の動かし手がわかる。
- 地方税 ── 予算の収入側を支える地方税。条例で定め議会の議決を経るしくみ。
- 拒否権 ── 予算の議決に長が異議を唱える再議のしくみ。長と議会の関係を深める。
執筆: SikakuQuest編集部