地方税とは(全体像)
高みから地方の統治を見渡そう。地方税とは、地方公共団体が自ら課税の主体となって集める税金のことだ。住民税・固定資産税・地方消費税・自動車税など、身近な税の多くがこれにあたる。
押さえるのは、地方税が地方財政を支える基幹財源だということ。国からもらう地方交付税と並んで、地方の仕事の元手になる。
- 課税の主体 … 国ではなく、都道府県や市町村。
- 役割 … 地方の仕事を支える、いちばんの元手(基幹財源)。
「税金はすべて国が集めて配るだけ」と思い込まないこと。地方公共団体も、自分で課税する主体だ。
詳しく:課税のしくみと法定外税
ここが心臓部。だれが何を決めるのか、独自の税は作れるのかを上から俯瞰する。
地方税のしくみ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本の税目 | 地方税法が定める(住民税・固定資産税など) |
| 税率などの決定 | 各自治体が条例で定める(議会の議決が必要) |
| 独自の税(法定外税) | 総務大臣との協議を経て作れる |
まず課税のしくみ。税金をかけるには、国の法律で決める「租税法律主義」がある。地方ではこれが条例の形になり、地方税は条例で定める。条例には議会の議決がいるので、住民の代表である議会のチェックを通すわけだ。
ここで取り違えやすいのが、自治体の自由の範囲。基本的な税目(どんな税があるか)は地方税法が定めている。自治体が自由に決められるのは、おもに税率などだ。「税の種類まで自治体が好きに作れる」わけではない。
だれが決める?
| 決めるもの | だれが | |
|---|---|---|
| 税目 | どんな税があるか | 地方税法(国) |
| 税率など | いくらにするか | 各自治体が条例で |
そして法定外税。地方税法に名前のない独自の税も、まったく作れないわけではない。総務大臣との協議を経れば、法定外普通税・法定外目的税として作れる。宿泊税のような独自税がその例だ。
わかりやすく言い換えると
要するに、地方税は地方公共団体の「自前の財布の中身」。
つまり、①国が配るお金(地方交付税)とは別に、地方が自分で集める税金がある。これが地方の仕事の元手になる。
②ただし、税のメニュー(税目)は国の地方税法が用意している。自治体が自由に決めるのは、おもに値段(税率など)で、しかも条例=議会のOKが必要だ。社長が勝手に値段を決めず、取締役会を通すイメージ。
③メニューにないオリジナルの税(法定外税)を出したいときは、総務大臣に相談(協議)して作れる。まったく不可能ではない、と押さえておこう。
試験のツボ
🔴 一番出る:税目は法、税率などは条例
①基本の税目は地方税法が定める
②税率などは各自治体が条例で決める(自主決定)
🔴 次に出る:条例には議会の議決
①地方税は条例で定める
②条例の制定には議会の議決が必要
🟡 押さえると安定:法定外税
①地方税法にない独自の税も作れる
②総務大臣との協議を経て創設する
よくある間違い
①「地方税の税目は自治体が自由に作れる」→ ✗ 基本の税目は地方税法が定める。自治体が自由に決めるのは、おもに税率など。
②「地方税は議会の議決なしに長が決められる」→ ✗ 地方税は条例で定め、条例の制定には議会の議決が必要。
③「法定外税は一切認められない」→ ✗ 総務大臣との協議を経れば、法定外普通税・法定外目的税を作れる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(地方税の性格)
地方税に関する記述として、正しいものはどれか。
- 地方税は国が課税して集め、地方公共団体には課税の主体となる資格がないものとされる
- 地方税は地方の財政には影響せず、もっぱら国の財源として使われるものとされている
- 地方税は地方公共団体が課税の主体となって集める税金で、地方財政の基幹財源である
- 地方税は寄付に近い任意の負担で、住民が払うかどうかを自由に選べるものとされている
解答は 3 だ。
上から見渡そう。地方税は、地方公共団体が自ら課税の主体となって集める税。地方財政を支える基幹財源だぞ。
選択肢1のように「国だけが課税」ではない。地方公共団体も課税の主体だ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 地方公共団体も課税の主体になれる |
| 2 | ✗ | 地方財政の基幹財源で、国の財源ではない |
| 3 | ✓ | 地方が課税主体で、基幹財源である |
| 4 | ✗ | 任意の負担ではなく、義務として課される税 |
オリジナル問題2(課税のしくみ)
地方税の課税のしくみに関する記述として、正しいものはどれか。
- 地方税は長が単独で定めることができ、議会の議決は必要ないものとされている
- 地方税の税目も税率も、すべて各自治体が自由に決めてよいものとされている
- 地方税は国の法律だけで決まり、自治体には条例で定める余地がないものとされる
- 地方税は条例で定め、その条例の制定には議会の議決が必要であるものとされる
解答は 4 だ。
全体像を俯瞰しよう。地方税は条例で定める。条例の制定には議会の議決がいるので、住民の代表のチェックを通すぞ。
選択肢2のように「税目まで自由」ではない。基本の税目は地方税法が定め、自由なのはおもに税率などだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 長の単独ではなく議会の議決が必要 |
| 2 | ✗ | 税目は地方税法が定め、自由なのは税率など |
| 3 | ✗ | 条例で定める余地がある |
| 4 | ✓ | 条例で定め、その制定に議会の議決が必要 |
オリジナル問題3(法定外税)
法定外税に関する記述として、正しいものはどれか。
- 法定外税は自治体が単独の判断で自由に創設でき、国への手続は不要であるとされる
- 法定外税は、総務大臣との協議を経たうえで創設することができるものとされている
- 法定外税は法律にないため、いかなる場合も創設することができないものとされる
- 法定外税は住民投票で過半数の同意を得た場合にのみ創設できるものとされている
解答は 2 だ。
高みから見渡そう。地方税法にない独自の税(法定外税)も、総務大臣との協議を経れば作れる。まったく不可能ではないぞ。
選択肢1のように国への手続なしで自由に作れるわけではなく、選択肢3のように一切作れないわけでもない。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 総務大臣との協議が必要で、自由ではない |
| 2 | ✓ | 総務大臣との協議を経て創設できる |
| 3 | ✗ | 一切創設できないわけではない |
| 4 | ✗ | 住民投票の同意が要件とされているのではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 税目と税率 = 基本の税目は地方税法が定め、税率などは各自治体が条例で決める(自主決定)。
- 🔴 条例と議決 = 地方税は条例で定め、条例の制定には議会の議決が必要。
- 🟡 法定外税 = 地方税法にない独自の税も、総務大臣との協議を経て作れる。
次に学ぶ
- 長の権限 ── 予算や地方税の賦課徴収を担う長の権限の全体像。財政の動かし手がわかる。
- 監査委員 ── 集めた地方税などお金の使い方をチェックする見張り役。財政の出口を押さえる。
- 拒否権 ── 条例や予算の議決に長が異議を唱える再議のしくみ。条例で定める地方税にもつながる。
執筆: SikakuQuest編集部