当事者訴訟とは(全体像)
当事者訴訟とは、公法上の法律関係に関する訴訟のうち、抗告訴訟以外のもののこと。行政庁の処分を「取り消せ」「やめろ」と攻める抗告訴訟と違い、対等な当事者どうしが、公法上の権利義務そのものを争うイメージだ。
押さえるのは、当事者訴訟が2つの類型に分かれること。
- ①形式的当事者訴訟 … 処分などを前提に、当事者の間で争うもの。土地収用の補償額をめぐる訴訟が典型。
- ②実質的当事者訴訟 … 公法上の法律関係そのものを争うもの。公務員の地位確認などが典型。
この形式的・実質的の区別が、試験のポイントになる。
詳しく:2類型の区別と被告
ここが心臓部。2類型のちがいと、誰を被告にするかを押さえる。
形式的当事者訴訟と実質的当事者訴訟
| 形式的当事者訴訟 | 実質的当事者訴訟 | |
|---|---|---|
| 争う対象 | 処分を前提に当事者間で争う | 公法上の法律関係そのもの |
| 典型例 | 土地収用の補償額をめぐる訴訟 | 公務員の地位確認の訴訟 |
| 被告 | 起業者など、法令で定められた当事者 | 国や公共団体 |
まず形式的当事者訴訟。処分そのものの効力ではなく、処分を前提とした当事者間の争いを扱う。たとえば、土地収用で補償額に不満があるとき、収用裁決を攻めるのではなく、起業者を相手に補償額を争う。被告は、法令で定められた当事者の一方になる。
次に実質的当事者訴訟。公法上の法律関係そのものの確認などを求めるもの。たとえば、公務員の地位の確認を求めるケースだ。この場合、被告は国や公共団体になるのが典型。
抗告訴訟との違い
| 抗告訴訟 | 当事者訴訟 | |
|---|---|---|
| 争い方 | 行政庁の処分を攻める | 対等な当事者間で争う |
| 被告(典型) | 処分をした行政庁の側 | 国・公共団体や法令上の当事者 |
当事者訴訟は、抗告訴訟とは別の類型。「当事者訴訟も抗告訴訟の一種だ」と思い込まないことが大切だ。
わかりやすく言い換えると
つまり当事者訴訟は「処分を攻めるのではなく、対等な立場で公法上の権利を争う訴訟」。形式的(補償額が典型)と実質的(地位確認が典型)の2つに分かれ、実質的では国や公共団体が被告になる。
要するに押さえどころは2つ。①当事者訴訟は抗告訴訟以外の類型で、形式的・実質的の2つに分かれる、②実質的当事者訴訟では国や公共団体が被告になるのが典型。
試験のツボ
🔴 一番出る:形式的・実質的の区別
①形式的当事者訴訟 = 処分を前提に当事者間で争う。土地収用の補償額が典型
②実質的当事者訴訟 = 公法上の法律関係そのものを争う。公務員の地位確認が典型
🔴 次に出る:抗告訴訟との違い
当事者訴訟は抗告訴訟以外の類型。処分を攻めるのではなく、対等な当事者間で争う。
🟡 押さえると安定:被告
実質的当事者訴訟では国や公共団体が被告。形式的では法令で定められた当事者。
よくある間違い
①「当事者訴訟も、抗告訴訟の一種である」→ ✗ 当事者訴訟は抗告訴訟以外の別類型。対等な当事者間で争う点が異なる。
②「形式的当事者訴訟と実質的当事者訴訟を、区別する必要はない」→ ✗ 要件も典型例も異なり、明確に区別される。
③「実質的当事者訴訟でも、被告は処分をした行政庁である」→ ✗ 実質的当事者訴訟では、国や公共団体が被告になるのが典型。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(当事者訴訟の意味)
当事者訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 当事者訴訟とは、公法上の法律関係を、対等な当事者の間で争う訴訟をいう
- 当事者訴訟とは、行政庁の処分の取消しを求める抗告訴訟をいうものとされる
- 当事者訴訟とは、行政機関に不服を申し立てる審査請求をいうものとされる
- 当事者訴訟とは、命令等の案について意見を募る手続をいうものとされる
解答は 1 だ。
当事者訴訟とは、公法上の法律関係を、対等な当事者の間で争う訴訟だ。抗告訴訟以外のタイプで、処分を攻めるのではない点が特徴だ。
選択肢2は抗告訴訟(取消訴訟)、選択肢3は審査請求、選択肢4はパブコメであって、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 対等な当事者間で公法上の関係を争う訴訟で正しい |
| 2 | ✗ | それは抗告訴訟 |
| 3 | ✗ | 審査請求は訴訟ではない |
| 4 | ✗ | パブコメとは別 |
オリジナル問題2(2つの類型)
当事者訴訟の類型に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 当事者訴訟は、形式的当事者訴訟のただ1つの類型だけからなるとされる
- 当事者訴訟は、すべて抗告訴訟の一種に分類されるものとされている
- 当事者訴訟には、形式的・実質的という区別はないものとされている
- 当事者訴訟は、形式的当事者訴訟と実質的当事者訴訟の2つに分かれる
解答は 4 だ。
当事者訴訟は、形式的当事者訴訟と実質的当事者訴訟の2つに分かれる。形式的は補償額、実質的は地位確認が典型だと覚えよう。
選択肢1の「1つだけ」、選択肢2の「抗告訴訟の一種」、選択肢3の「区別はない」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 2つの類型がある |
| 2 | ✗ | 抗告訴訟以外の別類型 |
| 3 | ✗ | 形式的・実質的に区別される |
| 4 | ✓ | 形式的・実質的の2類型で正しい |
オリジナル問題3(被告)
当事者訴訟の被告に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 実質的当事者訴訟では、行政庁が被告となるのが原則とされる
- 実質的当事者訴訟では、国や公共団体が被告となるのが典型である
- 当事者訴訟は、つねに行政庁を被告として提起するものとされている
- 当事者訴訟は、抗告訴訟と被告の決め方がまったく同じであるとされる
解答は 2 だ。
実質的当事者訴訟では、国や公共団体が被告になるのが典型だ。処分をした行政庁を相手にする抗告訴訟とは、ここが違うぞ。
選択肢1の「行政庁が原則」、選択肢3の「つねに行政庁」、選択肢4の「抗告訴訟と同じ」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 国や公共団体が被告 |
| 2 | ✓ | 国や公共団体が被告となるのが典型で正しい |
| 3 | ✗ | 行政庁を被告とするとは限らない |
| 4 | ✗ | 抗告訴訟とは被告の決め方が異なる |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 意味 = 公法上の法律関係を、対等な当事者の間で争う、抗告訴訟以外の訴訟。
- 🔴 2類型 = 形式的当事者訴訟(補償額が典型)と実質的当事者訴訟(地位確認が典型)。
- 🟡 被告 = 実質的当事者訴訟では国や公共団体。形式的では法令で定められた当事者。
次に学ぶ
- 抗告訴訟 ── 当事者訴訟と対比される、処分を攻める訴訟の総称。
- 民衆訴訟・機関訴訟 ── 当事者訴訟と同じく、抗告訴訟以外の訴訟類型。
- 取消訴訟 ── 抗告訴訟の中核。対比で訴訟類型の全体像を押さえる。
執筆: SikakuQuest編集部