処分等の求めとは(全体像)
処分等の求めとは、何人も、法令に違反する事実を見つけ、その是正のためにされるべき処分や行政指導(法律を根拠とするもの)がされていないと思うとき、その権限を持つ行政庁などに、それをするよう申し出ることができる制度のこと。比較的新しく設けられた制度だ。
ポイントは、申し出られるのが「何人も」だということ。つまり、その問題に法律上の利益を持たない人でも申し出てよい。広く一般の人に、「役所に動いてほしい」と求める道を開いた制度だ。
中止等の求めが「やめさせてほしい」(指導を受けた相手)なのに対し、処分等の求めは「動いてほしい」(何人も)という、向きの違う制度、と押さえるとよい。
詳しく:「何人も」と応答義務
ここが心臓部。「何人も」できること、応答義務がないことを押さえる。
処分等の求めのポイント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申し出られる人 | 何人も(法律上の利益は不要) |
| 求める内容 | されるべき処分・行政指導の発動 |
| 応答義務 | なし(発動を促すだけ) |
まず「何人も」。これは、取消訴訟を起こせる人(法律上の利益が必要)とは違い、広く一般の人が申し出られるという意味だ。「自分に直接関係がなくても申し出てよい」と押さえる。
次に応答義務。申出を受けた行政機関には、それに応える義務(応答義務)はない。あくまで、行政機関が自分から動くことを促す制度で、求めたとおりの処分を必ずさせるものではない。だから、義務付け訴訟(裁判で処分を義務づける手続)とは別物だ。
そして、よく対比されるのが中止等の求め。
中止等の求めとの対比
| 制度 | 向き | 申し出られる人 |
|---|---|---|
| 処分等の求め | 動いてほしい(発動を求める) | 何人も |
| 中止等の求め | やめてほしい(中止を求める) | 指導を受けた相手方 |
わかりやすく言い換えると
つまり処分等の求めは「役所に動いてほしい、と誰でも申し出られる制度」。ただし、役所がそれに必ず応える義務はない。
要するに押さえどころは2つ。①「何人も」できる(法律上の利益は不要)、②応答義務はない(義務付け訴訟とは別)。
試験のツボ
🔴 一番出る:「何人も」できる
①申し出られるのは何人も(法律上の利益は不要)
②取消訴訟の原告適格(法律上の利益が必要)とは違う
🔴 次に出る:応答義務はない
申出に応える義務はなく、発動を促すだけ。義務付け訴訟とは別の制度。
🟡 押さえると安定:中止等の求めとの対比
処分等の求めは「動いてほしい」(何人も)、中止等の求めは「やめてほしい」(指導の相手方)。
よくある間違い
①「処分等の求めには、法律上の利益が必要」→ ✗ 「何人も」申し出られる。取消訴訟の原告適格とは異なる。
②「処分等の求めには、応答義務がある」→ ✗ 応答義務はない。発動を促すだけで、義務付け訴訟とは別。
③「処分等の求めは、受けた行政指導をやめさせる制度」→ ✗ それは中止等の求め。処分等の求めは「動いてほしい」と求めるもの。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(処分等の求めの意味)
処分等の求めに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 処分等の求めとは、すべき処分や行政指導がされていないとき、それを求める制度
- 処分等の求めとは、自分が受けた行政指導の中止を求める制度をいうものとされる
- 処分等の求めとは、不利益処分の前に相手が意見を述べる機会をいうものとされる
- 処分等の求めとは、処分の取消しを裁判所に求める訴訟をいうものとされている
解答は 1 です。
処分等の求めとは、されるべき処分や行政指導がされていないと思うとき、それをするよう求められる制度です。「役所に動いてほしい」と申し出るしくみと考えるとわかりやすいです。
選択肢2は中止等の求め、選択肢3は不利益処分の事前手続、選択肢4は取消訴訟の説明であって、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | されるべき処分などの発動を求めるで正しい |
| 2 | ✗ | それは中止等の求め |
| 3 | ✗ | 不利益処分の事前手続とは別 |
| 4 | ✗ | 裁判所への取消訴訟とは別 |
オリジナル問題2(「何人も」できる)
処分等の求めを申し出られる人に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 処分等の求めは、取消訴訟と同じく、法律上の利益をもつ者だけができるとされる
- 処分等の求めは、その処分の相手方となる人だけが申し出られるものとされている
- 処分等の求めは「何人も」できる制度で、法律上の利益は必要とされない
- 処分等の求めは、行政機関の職員だけが内部で行えるものとされている
解答は 3 です。
処分等の求めは、「何人も」できる制度で、法律上の利益は必要とされません。取消訴訟の原告適格(法律上の利益が必要)とは違う点に注意しましょう。
選択肢1の「法律上の利益が必要」、選択肢2の「相手方だけ」、選択肢4の「職員だけ」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 法律上の利益は不要 |
| 2 | ✗ | 何人も申し出られる |
| 3 | ✓ | 何人も・法律上の利益不要で正しい |
| 4 | ✗ | 一般の人が申し出られる |
オリジナル問題3(応答義務)
処分等の求めの効果に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 処分等の求めをすると、行政機関は必ず求めどおりの処分をしなければならない
- 処分等の求めに応答する義務はなく、義務付け訴訟とは異なる別の制度である
- 処分等の求めには応答義務があり、無応答は直ちに違法になるものとされる
- 処分等の求めは、受けた行政指導をやめさせるための制度であるとされている
解答は 2 です。
処分等の求めには、応答する義務はなく、求めたとおりの処分を必ずさせるものでもありません。だから、義務付け訴訟とは別の制度です。
選択肢1の「必ず処分する」、選択肢3の「応答義務がある」、選択肢4の「指導をやめさせる」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 求めどおりの処分を義務づけるものではない |
| 2 | ✓ | 応答義務なし・義務付け訴訟とは別で正しい |
| 3 | ✗ | 応答義務はない |
| 4 | ✗ | それは中止等の求め |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 意味 = されるべき処分や行政指導がされていないと思うとき、その発動を求められる制度。
- 🔴 「何人も」できる = 法律上の利益は不要(取消訴訟の原告適格とは違う)。
- 🟡 応答義務なし/対比 = 応答義務はなく義務付け訴訟とは別。中止等の求め(やめさせる)と向きが逆。
次に学ぶ
- 行政指導の中止等の求め ── 「やめてほしい」と求める、向きが逆の制度。対比で押さえる。
- 行政指導 ── 処分等の求めの対象にもなる、行政指導そのもののしくみ。
- 行政行為(行政処分) ── 処分等の求めが発動を促す「処分」とは何かを押さえる。
執筆: SikakuQuest編集部