履行遅滞・履行不能とは?履行遅滞は履行できるのに期日を過ぎても履行しない状態

公開: 更新: カテゴリ: 民法

30秒で結論

履行遅滞・履行不能とは(全体像)

履行遅滞と履行不能は、どちらも債務不履行の代表的な型だ。

このうち、履行遅滞がいつから始まるかは、期限の定め方で変わる。

ここで「期限の定めがない場合」と「原始的不能」が試験で狙われる。


詳しく:遅滞の起算点と原始的不能をこの表で押さえる

ここが記事の心臓部。「履行遅滞の起算点」と「原始的不能でも契約有効(2020年改正)」が問われやすい。

履行遅滞の起算点

期限の定めいつから遅滞か注意点
確定期限期限が来た時から
不確定期限期限到来後の催告、または到来を知った時
期限の定めなし債権者が催告した時から契約成立時からではない

いちばん引っかかるのが期限の定めがない場合。「すぐに履行すべきだから、契約成立時から遅滞では?」と思いがちだが、正しくは債権者が催告した時から遅滞になる。「成立時から遅滞」と読むのは誤りだ。

次に原始的不能。契約をした時点で、すでに履行が不可能だった場合(売る約束をした建物が契約前に焼けていた等)。昔は「そんな契約は無効」とされたが、2020年改正で契約は有効となり、損害賠償を請求できる。「原始的不能の契約は無効」と覚えていると間違える。

わかりやすく言い換えると

つまり、履行遅滞は「やればできるのに、やらないで遅れている」状態、履行不能は「もうできない」状態とイメージするとつかみやすい。

要するに、遅滞が始まるタイミングは期限しだい。確定期限なら期限が来た時から、期限が決まっていなければ「払って(やって)」と催告された時から。何も言われなくても成立時から遅刻扱い、ではない。

そして、契約の前から履行が不可能だったとき(原始的不能)でも、契約自体は有効。だから、約束を果たせなかった分の損害賠償を求められる——これが2020年改正の勘どころだ。


試験のツボ

🔴 一番出る:履行遅滞の起算点

①確定期限は期限が来た時から遅滞

②期限の定めがなければ、債権者が催告した時から遅滞(成立時からではない)

🔴 次に出る:原始的不能でも契約有効

①契約の時点で履行が不可能でも、2020年改正で契約は有効

②約束を果たせなかった分の損害賠償を請求できる

🟡 押さえると安定:2つの型

①履行遅滞=できるのに遅れている

②履行不能=そもそもできない


よくある間違い

「期限の定めがない債務は、契約成立時から遅滞になる」→ ✗  債権者が催告した時から遅滞になる。

「契約の時点で履行が不可能なら、その契約は無効だ」→ ✗  2020年改正で契約は有効。損害賠償を請求できる。

「履行不能とは、期日に遅れている状態のことだ」→ ✗  それは履行遅滞。履行不能はそもそも履行ができない状態。


試験での出題パターン

実際の問題でたしかめてみよう。

オリジナル問題1(確定期限の起算点)

📝 オリジナル問題 1 確定期限と履行遅滞

確定期限のある債務の履行遅滞について、正しいものはどれか。

  1. 確定期限のある債務は、契約が成立した時から当然に遅滞になるとされている
  2. 確定期限のある債務は、債権者が催告するまで遅滞にならないとされているのである
  3. 確定期限のある債務は、その期限が到来した時から遅滞になるものとされている
  4. 確定期限のある債務は、いつまでたっても遅滞にならないとされているのである
シビヒュドラ
シビヒュドラ 解答・解説

解答は 3 である。

確定期限のある債務は、その期限が来た時から遅滞になるのだ。

選択肢1「成立した時から」、選択肢2「催告するまで遅滞にならない」、選択肢4「いつまでも遅滞にならない」は、いずれも誤りであろう。

選択肢判定理由
1成立時ではなく期限到来時
2確定期限では催告は不要
3期限が来た時から遅滞で正しい
4期限到来で遅滞になる

オリジナル問題2(期限の定めがない場合)

📝 オリジナル問題 2 期限の定めがない債務

期限の定めがない債務の履行遅滞について、正しいものはどれか。

  1. 期限の定めがない債務は、債権者が催告した時から遅滞になるものとされている
  2. 期限の定めがない債務は、契約が成立した時から当然に遅滞になるとされている
  3. 期限の定めがない債務は、まったく遅滞にならないものとされているのである
  4. 期限の定めがない債務は、債務者が望んだ時から遅滞になるとされているのである
シビヒュドラ
シビヒュドラ 解答・解説

解答は 1 である。

期限の定めがない債務は、債権者が催告した時から遅滞になるのだ。成立した時からではない。

選択肢2「成立した時から」、選択肢3「まったく遅滞にならない」、選択肢4「債務者が望んだ時から」は、いずれも誤りであろう。

選択肢判定理由
1催告した時から遅滞で正しい
2成立時からではない
3催告により遅滞になる
4債務者の希望によるのではない

オリジナル問題3(原始的不能)

📝 オリジナル問題 3 原始的不能

契約の時点ですでに履行が不可能だった場合について、正しいものはどれか。

  1. 原始的不能の契約は、はじめから当然に無効だとされているのである
  2. 原始的不能の場合、債権者はいっさい損害賠償を請求できないとされている
  3. 原始的不能の契約は、債務者が望めば有効になるとされているのである
  4. 原始的不能でも契約は有効で、損害賠償を請求できる場合があるとされる
シビヒュドラ
シビヒュドラ 解答・解説

解答は 4 である。

契約の時点ですでに履行が不可能(原始的不能)でも、2020年改正で契約は有効とされ、損害賠償を請求できる場合があるのだ。

選択肢1「はじめから無効」、選択肢2「損害賠償を請求できない」、選択肢3「債務者が望めば有効」は、いずれも誤りであろう。

選択肢判定理由
1改正で契約は有効
2損害賠償を請求できる
3債務者の希望によらず有効
4契約有効・損害賠償可で正しい

まとめ

押さえどころ

次に学ぶ


執筆: SikakuQuest編集部

勉強は、クエストになった。

資格の勉強を、冒険に変えるRPG学習アプリ

App Storeで見る