解除とは(全体像)
解除とは、約束が守られないとき、その契約を「なかったこと」にして抜け出すしくみのこと。解除すると、契約ははじめにさかのぼって解消され、受け取った物やお金は返し合う(原状回復)。
解除には大きく2つのやり方がある。
- 催告解除 … 相当の期間を定めて「履行して」と催告し、それでも履行がなければ解除する。
- 無催告解除 … 履行不能や、決まった日にやらなければ意味がない契約(定期行為)などでは、催告なしに解除できる。
そして、2020年改正で大きく変わったのが帰責事由の扱いだ。
詳しく:帰責事由と例外をこの表で押さえる
ここが記事の心臓部。解除は、「債務者の帰責事由は不要」「軽微な不履行は解除不可」「債権者の帰責事由なら解除不可」が問われやすい。
解除のポイント(2020年改正)
| 論点 | 結論 | 引っかけ |
|---|---|---|
| 債務者の帰責事由 | 不要(落ち度がなくても解除できる) | 「帰責事由が必要」ではない |
| 軽微な不履行 | 解除できない | 軽微でも解除できる、ではない |
| 債権者の帰責事由 | あるときは解除できない | — |
| 効果 | 原状回復義務(+損害賠償の請求も可能) | — |
いちばん引っかかるのが債務者の帰責事由。かつては「解除には債務者の責めに帰すべき事由が必要」とされたが、2020年改正で帰責事由は不要になった。約束が果たされない以上、相手に落ち度がなくても、契約から抜けられる。
ただし2つの例外。①不履行が軽微なときは解除できない(小さな不履行で契約全体を白紙にするのは行きすぎだから)。そして②債権者の側に帰責事由があるときは解除できない(自分のせいで履行されなかったのに解除するのは筋が通らないから)。
なお、解除しても損害賠償は別に請求できる。
わかりやすく言い換えると
つまり、解除は「約束が守られないので、この契約から降ります」という宣言とイメージするとつかみやすい。降りれば、受け取ったものは返し合う(原状回復)。
要するに、いまは「相手が悪い(帰責事由がある)」必要はない。約束が果たされなければ、相手に落ち度がなくても降りられる(2020年改正)。
ただし、ほんの小さな不履行(軽微)では降りられないし、自分のせいで履行されなかったとき(債権者に帰責事由)も降りられない——この2つの例外が試験のキモだ。
試験のツボ
🔴 一番出る:債務者の帰責事由は不要(2020年改正)
①解除に債務者の帰責事由(責めに帰すべき事由)は不要
②約束が守られなければ、相手に落ち度がなくても解除できる
🔴 次に出る:2つの例外
①軽微な不履行では解除できない
②債権者に帰責事由があるときは解除できない
🟡 押さえると安定:種類と効果
①催告解除と無催告解除
②効果は原状回復義務(損害賠償も別に請求できる)
よくある間違い
①「解除には、債務者の帰責事由が必要だ」→ ✗ 2020年改正で帰責事由は不要になった。
②「どんなに軽微な不履行でも、解除できる」→ ✗ 軽微な不履行では解除できない。
③「債権者の側に帰責事由があっても、解除できる」→ ✗ 債権者に帰責事由があるときは解除できない。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(解除の意味と帰責事由)
解除について、2020年改正後の正しいものはどれか。
- 解除には、債務者の帰責事由がつねに必要だとされているのである
- 解除をしても、契約はさかのぼって解消されないものとされているのである
- 解除には、債権者の帰責事由が必要だとされているのである
- 解除に債務者の帰責事由は不要で、契約をさかのぼって解消する制度である
解答は 4 である。
解除に債務者の帰責事由は不要で、契約をさかのぼって解消する制度なのだ(2020年改正)。
選択肢1「帰責事由がつねに必要」、選択肢2「さかのぼって解消されない」、選択肢3「債権者の帰責事由が必要」は、いずれも誤りであろう。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 債務者の帰責事由は不要 |
| 2 | ✗ | さかのぼって解消される |
| 3 | ✗ | 債権者の帰責事由は要件ではない |
| 4 | ✓ | 帰責事由不要・さかのぼり解消で正しい |
オリジナル問題2(軽微な不履行)
軽微な不履行と解除について、正しいものはどれか。
- 軽微な不履行であっても、債権者はつねに契約を解除できるとされている
- 不履行が軽微なときは、契約を解除することができないものとされている
- 軽微な不履行のときは、債務者が望めば解除できるとされているのである
- 不履行の軽重は、解除の可否とは関係がないとされているのである
解答は 2 である。
不履行が軽微なときは、契約を解除することができないのだ。小さな不履行で契約全体を白紙にするのは行きすぎだからである。
選択肢1「つねに解除できる」、選択肢3「債務者が望めば解除」、選択肢4「軽重は関係がない」は、いずれも誤りであろう。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 軽微なら解除できない |
| 2 | ✓ | 軽微な不履行では解除できないで正しい |
| 3 | ✗ | 債務者の希望によるのではない |
| 4 | ✗ | 軽重は解除の可否に関係する |
オリジナル問題3(債権者の帰責事由)
債権者の帰責事由と解除について、正しいものはどれか。
- 債権者に帰責事由があっても、当然に解除できるとされているのである
- 債権者の帰責事由は、解除の可否とまったく関係がないとされている
- 債権者に帰責事由があるときは、契約を解除することができないとされる
- 債権者に帰責事由があると、債務者の側が解除しなければならないとされている
解答は 3 である。
債権者に帰責事由があるときは、契約を解除することができないのだ。自分のせいで履行されなかったのに解除するのは筋が通らないからである。
選択肢1「当然に解除できる」、選択肢2「まったく関係がない」、選択肢4「債務者が解除しなければならない」は、いずれも誤りであろう。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 債権者に帰責事由があると解除できない |
| 2 | ✗ | 解除の可否に関係する |
| 3 | ✓ | 債権者に帰責事由があれば解除不可で正しい |
| 4 | ✗ | 債務者が解除を強いられるのではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 債務者の帰責事由 = 不要(2020年改正)。相手に落ち度がなくても解除できる。
- 🔴 2つの例外 = 軽微な不履行では解除できない/債権者に帰責事由があるときは解除できない。
- 🟡 種類と効果 = 催告解除・無催告解除/原状回復義務(損害賠償も別に請求できる)。
次に学ぶ
- 債務不履行 ── 解除の前提となる不履行。3類型と帰責事由を押さえられる。
- 損害賠償 ── 解除とあわせて請求できる賠償。範囲を整理できる。
- 同時履行の抗弁権 ── 双務契約での履行拒絶。解除後の原状回復にも関わる。
執筆: SikakuQuest編集部