仮の義務付け・仮の差止めとは?厳しい要件と、執行停止との違い

公開: 更新: カテゴリ: 行政法

30秒で結論

仮の義務付け・仮の差止めとは(全体像)

仮の義務付け・仮の差止めとは、義務付け訴訟や差止訴訟で、判決(本案)を待っていられないほど切迫したときに、裁判所が仮に(暫定的に)義務付けや差止めを命ずる制度のこと。判決前の応急の救済だ。

執行停止が「処分を止める」方向の救済なのに対し、こちらは義務付け・差止訴訟とセットの仮の救済だ。


詳しく:厳しい要件と、執行停止との違い

ここが心臓部。3つの要件と、執行停止より厳しい理由を押さえる。

仮の義務付け・仮の差止めの要件

区分内容
本案訴訟の提起義務付け訴訟・差止訴訟が起こされていること
償えない損害+緊急性償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があること
本案に理由本案について理由があるとみえること

まず本案訴訟が前提。仮の義務付け・仮の差止めは、義務付け訴訟・差止訴訟が起こされていてはじめて使える。本案の訴訟なしには申し立てられない。

次に、執行停止との違いがいちばんのヤマだ。

執行停止との損害要件の違い

制度損害の要件
執行停止重大な損害を避けるため緊急の必要
仮の義務付け・仮の差止め償うことのできない損害を避けるため緊急の必要

執行停止の要件が「重大な損害」なのに対し、仮の義務付け・仮の差止めは、より厳しい「償うことのできない損害」が必要だ。なぜ厳しいかというと、まだ本案で勝つ前の段階で、行政に「処分をせよ」と積極的な義務を課すことになるからだ。これに加えて、本案に理由があるとみえることも要る。

わかりやすく言い換えると

つまり仮の義務付け・仮の差止めは「判決を待てないときの、義務付け・差止訴訟版の緊急救済」。本案訴訟が前提で、償えない損害を避ける緊急の必要と、本案に理由があることが要る。執行停止より要件は厳しい。

要するに押さえどころは2つ。①本案訴訟の提起が前提で、償えない損害を避ける緊急の必要と本案に理由があることが要件②執行停止の「重大な損害」より厳しい「償えない損害」が課される


試験のツボ

🔴 一番出る:執行停止との要件比較

①執行停止 = 重大な損害を避ける緊急の必要

②仮の義務付け・仮の差止め = 償えない損害を避ける緊急の必要(より厳しい)

🔴 次に出る:本案訴訟が前提

義務付け訴訟・差止訴訟が起こされていることが前提。本案なしには使えない。

🟡 押さえると安定:本案に理由

本案について理由があるとみえることも要件になる。


よくある間違い

「執行停止と仮の義務付けは、まったく同じ要件である」→ ✗  仮の義務付け・仮の差止めは「償えない損害」で、執行停止より厳しい。

「本案訴訟を起こさなくても、仮の義務付けはできる」→ ✗  義務付け訴訟・差止訴訟の提起が前提になる。

「仮の義務付けは、本案に理由がないと見えても認められる」→ ✗  本案について理由があるとみえることも要件。


試験での出題パターン

実際の問題でたしかめてみよう。

オリジナル問題1(仮の義務付け・仮の差止めの意味)

📝 オリジナル問題 1 仮の義務付け・仮の差止めの意味

仮の義務付け・仮の差止めに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 仮の義務付け・仮の差止めとは、本案の判決そのものをいうものとされる
  2. 仮の義務付け・仮の差止めとは、私人間の紛争を解決する制度をいう
  3. 仮の義務付け・仮の差止めは、本案判決を待てないときの暫定的な救済
  4. 仮の義務付け・仮の差止めとは、処分の取消しを求める訴訟をいうとされる
アドゴレ
アドゴレ 解答・解説

解答は 3 だ。

仮の義務付け・仮の差止めは、本案判決を待てないときに、暫定的に義務付けや差止めを命ずる緊急救済だ。義務付け訴訟・差止訴訟とセットの仮の救済だぞ。

選択肢1の「本案の判決そのもの」、選択肢2の「私人間の紛争」、選択肢4の「取消しを求める訴訟」は、いずれも誤りだ。

選択肢判定理由
1判決そのものではなく仮の救済
2私人間の紛争とは別
3本案判決を待てないときの暫定的救済で正しい
4取消訴訟とは別

オリジナル問題2(要件)

📝 オリジナル問題 2 仮の義務付け・仮の差止めの要件

仮の義務付け・仮の差止めの要件に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 仮の義務付けには、本案訴訟の提起はまったく必要ないものとされる
  2. 仮の義務付けは、損害の程度に関係なく認められるものとされる
  3. 仮の義務付けは、本案に理由がないと見えても認められるとされる
  4. 仮の義務付けには、本案訴訟の提起と償えない損害の緊急性が要る
アドゴレ
アドゴレ 解答・解説

解答は 4 だ。

仮の義務付けには、本案訴訟の提起と、償えない損害を避ける緊急の必要が要る。本案に理由があるとみえることも要件だぞ。

選択肢1の「本案訴訟が不要」、選択肢2の「損害に関係なく」、選択肢3の「理由がなくても」は、いずれも誤りだ。

選択肢判定理由
1本案訴訟の提起が前提
2償えない損害の緊急性が必要
3本案に理由があるとみえることが必要
4本案訴訟の提起+償えない損害の緊急性で正しい

オリジナル問題3(執行停止との比較)

📝 オリジナル問題 3 執行停止との要件比較

執行停止との比較に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 仮の義務付けは、執行停止とまったく同じ要件で認められるとされている
  2. 仮の義務付けは、執行停止より厳しい「償えない損害」が要件である
  3. 仮の義務付けは、執行停止よりもゆるい要件で認められるとされる
  4. 仮の義務付けは、執行停止と異なり要件がまったくないとされる
アドゴレ
アドゴレ 解答・解説

解答は 2 だ。

仮の義務付け・仮の差止めは、執行停止の「重大な損害」より厳しい、「償えない損害」が要件だ。行政に積極的義務を課すから、ハードルが高いぞ。

選択肢1の「まったく同じ」、選択肢3の「よりゆるい」、選択肢4の「要件がない」は、いずれも誤りだ。

選択肢判定理由
1損害の要件が異なる
2執行停止より厳しい「償えない損害」で正しい
3むしろ厳しい要件
4厳格な要件がある

まとめ

押さえどころ

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執筆: SikakuQuest編集部

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